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番外編
そのときの彼ら①〜リオンとジュード〜
しおりを挟む※26話の「アッシュ殿下」呼びの裏側の話。
♢♦︎♢
ーーパタン。
『二人にしてくれ』とアシュレイに言われ客間から出た二人は、廊下で向かい合っていた。
「……ジュード」
「…………はい」
「ちょっと来い」
「っ、はい……」
ギロ、とリオンの冷たい目に見つめられたジュードは、ビクリと肩を震わせながら歩き出す彼についてゆく。
向かうのは隣の部屋。普段ジュードが控えている場所だ。
中に入るや否や、リオンから詰め寄られた。
「お前は、神子様がアシュレイ殿下を愛称で呼ぶのを知っていたのか?」
「……う、その……っ。はい……」
「いつからだ」
「昨日から、です……」
「なぜ早く言わなかった!そもそも、どうしてその時にやめるよう伝えないのだ!?」
「っ、だって……ッ」
「だってではない!主人を諌めるのも侍従の務めだろう!?何をしているんだ全く……!」
「……申し訳、ありません……」
「…………はぁ。まぁどうせ殿下がそう呼ぶよう、神子様に伝えていたんだろう?」
「はい……」
「新人のお前が、王子であるあの方に物申す事などできないのはわかる。大体言ったところで殿下が聞くわけがないだろうしな。だが、彼らの好きなように、思う通りにさせるのは違う。間違ったことをするのならそれを止めるのも我々の仕事だ。その時は遠慮せずに発言したらいい」
「リオンさん……」
「今後は気をつけるように。いいな?」
「っ、はい‼︎ 本当に申し訳ありませんでした!」
ガバッと頭を下げるジュード。するとその背にアシュレイから声がかかる。
呼ばれるまま彼は客間へと戻っていった。
そして入れ違いに己が主人が出てくる。
「殿下」
「言いたいことはわかっている。だが、なんと言われようと呼び方を変えるつもりはないからな」
「…………本当に、特別なんだな?」
「何度も言わせるな。この話はこれで終わりだ」
そう言い捨てて部屋に戻っていくアシュレイ。その背を見ながら、深いため息をつくしかないリオンだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
久々の更新です。書く書く詐欺で申し訳ないです本当にっ!
客間に戻ったジュードは、枢にきちんと忠告しなかったことを謝ろうとしましたが、枢からの「一人にしてほしい」というセリフに言えずじまいなのでした。
悪くないのに怒られるジュードかわいそう……。
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