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番外編
彼と騎士と侍従長①
しおりを挟む※本編のスピンオフになります。新キャラ、登場します。
♢♦︎♢
花祭りが終わってすぐのこと。
「ーー近々、私たちの婚約を発表しようと思う」
お茶会をしよう、と集められたウィリアムの部屋で一同はそう告げられた。
「そこでなんだが、アシュレイたちも一緒にしないか?」
「一緒に……って、婚約発表をか?」
「あぁそうだ。国王兄弟が揃って発表すれば、何度も集まってもらう手間も省けるし、みんなを驚かせられるだろう?」
そう楽しそうに告げるウィリアム。ミレイアは彼から聞いて知っていたのだろう。ニコニコとしている。
「兄上はいつも急だな? まったく……。まぁ、私は構わんが。カナメはどうだ?」
「ぅえっ⁉︎ 僕ですかっ?」
「ああ。私たちだけの、盛大な婚約パーティーがやりたいと言うのならそれでも構わんが」
「んん……。えっと、アッシュ殿下がいいなら、それに僕も合わせます」
「そうか! それならよかった‼︎ ではパーティについての段取りを始めよう」
枢の返事を聞いたウィリアムは楽しそうにそう言う。
それから二組の合同婚約パーティーに向けて、慌ただしく準備が進められていった。
♢♦︎♢
ーーコンコン。
「入れ」
その声に促され入室してきたのは、緩くウェーブのかかった金髪を襟足で一つに結んだ、長身の男だった。
「失礼致します」
「……ああ、ロイドか。兄上からの伝言か?」
「ええ。それとリオンにも話があったもので」
"ロイド"と呼ばれた男は、華やかな印象の美しい顔に微笑を浮かべている。
「……侍従長。私への話ならあとで伺います。なので、殿下への用を済ませたら速やかにご退室願えますか?」
「そうツンケンしなくてもいいだろう?」
「殿下やカナメ様の前で、馴れ馴れしくしないでいただけますか」
「相変わらず冷たいなー、お前は」
「……お前たち。じゃれあいならよそでやってくれるか?」
アシュレイがそう発すると、ロイドとリオンが揃って振り向く。
そこでは枢がポカンとした表情で二人を見ていた。
「あ、の……?」
「……失礼いたしました。今のはなんでもございません」
「これはこれは、精霊の神子様。しっかりとお話しするのは初めてですね」
「あ、はいっ……! えと、ロイドさん? は陛下の……」
「はい。ウィリアム陛下の侍従でございます。それにこの城の侍従を束ねる、侍従長も仰せつかっております。ロイド・ファルバロンと申します。どうぞよろしくお願い申し上げます」
「あっ‼︎ はい! こちらこそよろしくお願いします……!」
「それだけではないぞカナメ。ロイドは……」
「はい、もういいですね? たいした用もないならさっさと出て行ってください。愛し合うつがいの邪魔はなさらないように! では‼︎」
何か言いかけるアシュレイを遮って、リオンはロイドを追い出しにかかった。
グイグイ背中を押されながらも、ヘラッと笑っているロイド。
扉の前まで来るとそこでピタリと足を止めた。
「そろそろ落ちる気になったか?」
「っ……‼︎」
扉の左側に立つユリウスは、視線を逸らしたまま肩を揺らす。
「結構待ったと思うんだけどなぁ?」
「そ、の…………」
「その顔も可愛いんだけど……ぉ、あ⁉︎ いたたたたっ‼︎」
「うるさいさっさと出て行けユリウス殿に絡むな」
妖しい流し目をするロイドの耳を引っ張ると、リオンは有無を言わさず室外に放り出す。
「口説くのは勝手ですが、私や殿下たちの迷惑にならないよう、プライベートな時間でお願いしますね!」
大きな音を立てて扉を閉めると、リオンは澄ました顔で主人たちの傍に戻ってきた。
「リオンさん……?」
「はい、なんでしょう」
「あの、ロイドさん……って」
「ただの侍従長です。もちろん、私となんの関係もございません。お気になさらず」
「は、はぁ……。さっきなんか扉の前で話してたのは……?」
「それこそカナメ様が気にしなくて良いことです。勝手にやらせておけばよろしい」
げんなりした様子で呟くリオン。
これ以上はロイドについて何も話す気はないというような様子の彼に、枢は口をつぐんだ。
それからチラリとユリウスに目をやる。
まっすぐ前を向いて、普段と変わらず護衛としての姿勢を崩さない。だが、その表情はどこか曇っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
というわけでやっと(?)スピンオフです。
以前近況ボードで皆様にお伺いして、コメントいただきましたが、あの時の候補と全く違った組み合わせとなっております。
(どうして???)
ロイドさん。大体想像つくと思いますがまぁ、はい。リオンの関係者です。
しかしチャラい匂いがしますね。
ちゃんと出会いの話しなども書きますのでお待ちいただければと。
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