26 / 50
番外編
枢の誕生日①※
しおりを挟む「カナメ、誕生日おめでとう」
ーー今日は花の三の月の二十日。枢の誕生日だった。
「ありがとうございます、アッシュ殿下……‼︎」
「おめでとうございますカナメ様‼︎」
「おめでとうございます!」
「みんなもありがとう‼︎」
少し前から準備が進められていた枢の誕生パーティー。本来なら貴賓を招いて盛大に行うのだが、まだ王家と繋がりのある者や、力のある貴族などを覚えきれていない枢が恐縮してしまい、それならばと近しい者たちだけで行うこととなった。
そのため枢は心から喜び、笑顔を見せている。
「本当にみんなありがとう。なんか色んなプレゼントも貰ったし、こんな素敵な服まで……」
「遠慮することはない。皆カナメに喜んで欲しくて準備したのだ。その服だって、私がお前に着てほしくて贈ったんだ。とてもよく似合っている」
大分と暖かくなってきたため通気性の良い素材で作られた、上等な黒地のタキシードジャケット。襟や袖口には銀の糸で細やかな刺繍がされており、所々紫のビーズやスパンコールがあしらわれ、煌びやかさを演出している。枢の体にフィットするよう、一から採寸を行いオーダーメイドで仕立てられたそれは、この日のためにアシュレイから贈られたプレゼントだった。
「本当にありがとうございますっ。大事にしますね……!!」
「あぁ、そうしてくれると私も嬉しい。……さぁ! 盛大にお祝いをしよう!」
そう言って和やかなムードで誕生パーティーは始まった。
アシュレイやミレイアと会話を楽しんだり、豪華な食事を食べたり、食後にほんの少しだけダンスを踊ったり……。
ーーそうして楽しい時間はあっという間に過ぎた。
「……本当に、今日はありがとう」
「お前の誕生日なんだ、これくらい当然だろう?」
「そう、なのかな? こんなに幸せだったの初めてだから」
「カナメ……」
今は二人、アシュレイのベッドの縁に腰かけている。
「カナメ、これをお前に」
「え?」
枢の浮かべたはにかんだような笑みを見ると、アシュレイは何かを取りだし、こちらに渡してくる。
「これは……ピアス?」
「そうだ。私の瞳とおなじ色の宝石を使って作ったものだ。そしてこれと同じデザインになっている」
言いながらアシュレイは髪を耳にかける。そこには黒い輝きが。
「それって……」
「カナメの目の色と同じだな」
「ッこんな、素敵なものまで貰っていいの……? 服だけでも充分なのに」
「私がお前につけて欲しいんだ。いつでもお前の傍に私がいると、感じて欲しい」
「アシュレイ……っ。ね、付けてくれる……?」
潤んだ瞳で見詰めると、小さく頷いてアシュレイは準備を始めた。
「痛いと思うが、一瞬だ。怖いなら私に抱きついていいからな?」
「うん。ありがと」
目をつぶり、彼の言葉に甘えて抱きつく。「いくぞ」という声が聞こえた次の瞬間、ブツッという音と痛みが走る。
「っつ……!!」
「続けていくぞ」
「ぅんっ」
反対側にも同じ痛みが。
キュッと唇を噛んで耐えていると、しばらくして声がかかる。
「よし。完成したぞ。大丈夫か?」
「……ん。ジンジンするけど、大丈夫」
そっと指を伸ばすと、硬く冷たい感触。
「アシュレイと、おそろい……。ふふっ、嬉しい」
「カナメ……。本当に誕生日おめでとう」
言いながらアシュレイは付けたばかりのピアスに口付けを落とす。
ピリッとした痛みに枢が肩をすくめると、宥めるように背中を上から下へと撫でる。
「んッ……」
「可愛いな、カナメ」
顔中にキスを降らせながら枢をベッドへと押し倒す。
互いに夜着を脱がせ合うと素肌を重ね、その熱さにクラリとする。
枢の白い首筋から鎖骨、胸へと紅い花が散らされ、やがてアシュレイの唇は胸の尖りを捉える。
啄むように食んでは舐め上げ、チュウっと吸い付く。そうすればみるみるうちに赤く色付き、もっと可愛がって欲しいとでもいうようにピンと立ち上がる。
「ふぁ、あ……っ」
「気持ちいいか?」
「んッ、きもち……もっと、して?」
淫らな吐息をこぼしながら、枢は蕩けた瞳でアシュレイを誘う。
「お前が望むままに」
「ッア!!」
反対の乳首を片手で弄りながら、アシュレイの唇は下へとおりてゆく。
薄い下生えに辿り着くとそこに鼻をうずめ、震えるモノの根元をひと舐めする。
「んぁ、アシュレイ……っ」
「……ンっ」
根元から先端へ、舌先でくすぐると頭をもたげてきたそれをパクリと口に含む。
「ひ、ぁアッ!!」
ゆっくりとストロークし、唾液をまぶしていく。時折口をすぼめたり、亀頭まで来た際そこを重点的に責めたりすれば、枢は快感で身体を震わせ咥えられたモノから蜜をこぼし始める。
「ァあ、んっ!! で、ちゃうよ……ぉ!」
「んー……」
枢の言葉を聞いているのかいないのか。アシュレイは口を離さず未だに刺激を続ける。そればかりか、いつの間にか香油を纏った指で後孔に触れている。
「りょ……ほうはッ、ア!! だめって……ンンっ!」
「気持ちいいだろう?」
「ィ、ひ……ッ!! だっ、め! 強いィ……!!」
枢の屹立からやっと口を離したアシュレイは、自分の唇をペロリと舐める。その淫靡さに目を奪われると同時に、いつの間にか胸をいじるのをやめていた手が、唾液に濡れ冷たさを感じる猛りを擦り上げていた。
前と後ろ。両方の刺激に追い詰められた枢は呆気なく精を放ってしまう。
35
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
* ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)
インスタ @yuruyu0
Youtube @BL小説動画 です!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
ヴィル×ノィユのお話です。
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけのお話を更新するかもです。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。