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番外編
彼と騎士と侍従長③
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スピンオフその③。本格的にロイドが動き出します。
♢♦︎♢
「ユーリ」
呼ばれた声に、ユリウスはどきりと肩を跳ねさせた。振り向いた先には思った通りの人物が。
「っ、ロイド、殿……」
「この間はえらく楽しそうなことしてたねぇ」
「……何のことでしょう」
「精霊の森でのお茶会だよ。賑わってたみたいじゃないか」
見られていたのか、とユリウスは少しだけ苦い気持ちになる。
咎められる何かがあるわけではないし、ロイドには関係のないことなのだからそう思う必要はまったくない。けれど、彼の前で笑顔を見せないようにしている手前、あの現場を見られていたのはなんとなくバツが悪かった。
「ねぇユーリ? どうして俺には笑わなくなったの?」
「そ、れは……っ。ロイド殿の、気のせいでは?」
「呼び方もよそよそしいしねぇ? 前は『ロイドさん』って呼んでくれてたじゃないか。なぁ、なんで?」
頬と頬が触れ合いそうなほど、顔を近づけられる。耳元で囁かれた声に小さく身動ぐと、クスリと笑われた。
「もしかして、俺がお前のことからかってると思ってる?」
「っ……‼︎」
「やっぱりかぁ~」
「や、めてください……ッ!」
揶揄するような響きに、ユリウスは一歩距離を取ろうとする。しかしロイドはそれを許さなかった。
いつの間にか腰に回された腕が、ユリウスの動きを封じ込める。
「な、んで⁉︎ 離し……ッ」
「離さないよ。俺、前に言ったよね? お前の一番になりたいって。騎士としても術師としても、一人前になろうとするお前の支えになりたいって。……忘れたのか?」
「…………っ」
「なにを勘違いしてるか知らないが、リオンなら俺のーー」
「ユリウス?」
ロイドが何か言う寸前、第三者の声がした。
驚いて振り返れば、そこにはマクシミリアンが立っている。
「マクシミリアン‼︎」
「何をしてるんだそんなところで? もうすぐ交代の時間だぞ」
「あっ、あぁ‼︎ すまない! すぐ行くっ」
「っ、おいユーリ……」
「申し訳ありませんが! 職務がありますので私はこれで!」
「オイ‼︎」
ロイドを押しやるようにして体を離すと、ユリウスはこちらの顔も見ずに走り去っていく。
なんとも言えない気持ちでその背を見送っていれば、じっとりと視線が突き刺さる。
「……何か御用ですか? マクシミリアン副団長殿」
「貴方は、なぜユリウスに近づくのですか?」
「なぜ、とは? 理由を貴殿に離す必要がありますか?」
「どのような理由か知りませんが、騎士の仕事に支障をきたされては困るのです。貴方が近くにいるとアレは落ち着かない」
「……へぇ? 私が近づくと落ち着かないと?」
「そうです。なにかしでかしてからでは遅いのです。できるだけユリウスの心を乱さないでいただきたい」
「…………まぁ、善処いたします」
「そうしてください。……それでは私はこれで」
一礼するとマクシミリアンはロイドに背を向け歩き出そうとする。ーー瞬間。
「あぁそうだ。副団長殿の初恋の君は見つかりましたか?」
「ーーっ⁉︎」
聞こえた言葉に目を見開き、マクシミリアンは慌てて振り向く。
しかしその時には、何事もなかったように悠然と歩き出した、男の背中しか見えなかった。
「どうして、貴方がそれをーー‼︎」
問いかけた声にいらえる者はなく。角を曲がって見えなくなったロイドの背中を、見つめることしかできないマクシミリアンだけが残された。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
出会いの話にまだ触れられない!
どうなってるんですかね?
おまけにここに来て今度はマクシミリアンの初恋の君……。
収拾つかなくなってきました‼︎
リオンは出てこないけど、ユリウスとロイドを
2人にさせない第三者が必ずいる……。
だからこその『彼と騎士と侍従長』なんですが。
♢♦︎♢
「ユーリ」
呼ばれた声に、ユリウスはどきりと肩を跳ねさせた。振り向いた先には思った通りの人物が。
「っ、ロイド、殿……」
「この間はえらく楽しそうなことしてたねぇ」
「……何のことでしょう」
「精霊の森でのお茶会だよ。賑わってたみたいじゃないか」
見られていたのか、とユリウスは少しだけ苦い気持ちになる。
咎められる何かがあるわけではないし、ロイドには関係のないことなのだからそう思う必要はまったくない。けれど、彼の前で笑顔を見せないようにしている手前、あの現場を見られていたのはなんとなくバツが悪かった。
「ねぇユーリ? どうして俺には笑わなくなったの?」
「そ、れは……っ。ロイド殿の、気のせいでは?」
「呼び方もよそよそしいしねぇ? 前は『ロイドさん』って呼んでくれてたじゃないか。なぁ、なんで?」
頬と頬が触れ合いそうなほど、顔を近づけられる。耳元で囁かれた声に小さく身動ぐと、クスリと笑われた。
「もしかして、俺がお前のことからかってると思ってる?」
「っ……‼︎」
「やっぱりかぁ~」
「や、めてください……ッ!」
揶揄するような響きに、ユリウスは一歩距離を取ろうとする。しかしロイドはそれを許さなかった。
いつの間にか腰に回された腕が、ユリウスの動きを封じ込める。
「な、んで⁉︎ 離し……ッ」
「離さないよ。俺、前に言ったよね? お前の一番になりたいって。騎士としても術師としても、一人前になろうとするお前の支えになりたいって。……忘れたのか?」
「…………っ」
「なにを勘違いしてるか知らないが、リオンなら俺のーー」
「ユリウス?」
ロイドが何か言う寸前、第三者の声がした。
驚いて振り返れば、そこにはマクシミリアンが立っている。
「マクシミリアン‼︎」
「何をしてるんだそんなところで? もうすぐ交代の時間だぞ」
「あっ、あぁ‼︎ すまない! すぐ行くっ」
「っ、おいユーリ……」
「申し訳ありませんが! 職務がありますので私はこれで!」
「オイ‼︎」
ロイドを押しやるようにして体を離すと、ユリウスはこちらの顔も見ずに走り去っていく。
なんとも言えない気持ちでその背を見送っていれば、じっとりと視線が突き刺さる。
「……何か御用ですか? マクシミリアン副団長殿」
「貴方は、なぜユリウスに近づくのですか?」
「なぜ、とは? 理由を貴殿に離す必要がありますか?」
「どのような理由か知りませんが、騎士の仕事に支障をきたされては困るのです。貴方が近くにいるとアレは落ち着かない」
「……へぇ? 私が近づくと落ち着かないと?」
「そうです。なにかしでかしてからでは遅いのです。できるだけユリウスの心を乱さないでいただきたい」
「…………まぁ、善処いたします」
「そうしてください。……それでは私はこれで」
一礼するとマクシミリアンはロイドに背を向け歩き出そうとする。ーー瞬間。
「あぁそうだ。副団長殿の初恋の君は見つかりましたか?」
「ーーっ⁉︎」
聞こえた言葉に目を見開き、マクシミリアンは慌てて振り向く。
しかしその時には、何事もなかったように悠然と歩き出した、男の背中しか見えなかった。
「どうして、貴方がそれをーー‼︎」
問いかけた声にいらえる者はなく。角を曲がって見えなくなったロイドの背中を、見つめることしかできないマクシミリアンだけが残された。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
出会いの話にまだ触れられない!
どうなってるんですかね?
おまけにここに来て今度はマクシミリアンの初恋の君……。
収拾つかなくなってきました‼︎
リオンは出てこないけど、ユリウスとロイドを
2人にさせない第三者が必ずいる……。
だからこその『彼と騎士と侍従長』なんですが。
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