嫌われ者は異世界で王弟殿下に愛される

希咲さき

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番外編

ウィリアムの誕生日

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 ーーそれは、盛大に行われた。

「すっごーい……!!」
「そりゃあ、国王陛下の誕生パーティーともなればな」

 解放された大広間には、たくさんの着飾った者たちが集い、別室には山のようにウィリアムへのプレゼントが積まれている。
 料理人たちが腕を振るって作られた料理がテーブルには所狭しと並び、客人たちの賑やかな声が響く。

 ミレイアの時も驚いたが、今回はそれ以上だ。
 枢は目をぱちくりとさせながら、会場を見渡す。

「えっと、あちらがデニーズ伯爵家のご当主様で、こちらはレインスワーズ侯爵家の嫡男様。それでそちらの方が……」
「大分と客人の名前と顔が分かるようになってきたな」
「えぇ、まぁ。ちゃんと覚えなくちゃいけないですからね」
「その調子で頑張ってくれ」

 貴族たちの名前を確認する枢を、アシュレイは優しい目で見ている。自分のために努力するその姿が愛おしいと言ったところだ。

「さて、大分と落ち着いた頃だろう。私たちも行くか」
「あ、はい!」

 先程からウィリアムのもとへと訪れていた客足が落ち着いたのを見計らい、枢たちも彼らのもとへと向かう。

「ご挨拶が遅くなりまして申し訳ございません。ウィリアム国王陛下、お誕生日おめでとうございます」
「おめでとうございます!!」
「アシュレイ、カナメ。ありがとう」
「ささやかではございますが、こちらは私とカナメ、二人で選んだ贈り物でございます」

 そういってアシュレイが差し出したのは万年筆だった。
 キャップの先端部にはウィリアムの瞳とおなじ色のアクアマリンを飾り、黒い胴軸部には彼の名前を彫り込んだ。
 この日のために二人で相談して、素材からデザインまでオーダーメイドで作ってもらったものだった。

「何がいいかわからなくて、でも普段使いできるものがいいかな? とか思ってですね? ほんと、他の人に比べたら大したことない物なんですけど……っ」
「それ以上言うでない。お前たちが私のためを思って準備してくれたものだろう? それならどんなものであろうと嬉しいに決まっている。二人とも、このような素敵なものを頂き感謝する。大切に使わせてもらうな」
「ほら、言った通りだろう? 兄上はどんなものでも喜んでくれる」
「っ、はい!! 僕も嬉しいです! 本当におめでとうございます陛下!」

 喜んでくれるか不安だった枢をよそに、柔らかい笑顔で受け取ってくれたウィリアム。それを見て枢も嬉しくなった。

 その後はミレイアも含めた四人で楽しく会話をしたり、いつかのようにダンスに興じたりする。
 そうしていればあっという間に楽しい時間は終わりを告げる。

「皆様、本日はお集まり頂きありがとうございました」

 エルチェット宰相から終了の挨拶が述べられると、ぞろぞろと来賓が帰ってゆくのが見える。

「カナメ様、カナメ様」
「? どうしましたミレイア様」
「ちょっとよろしくて? 実は……」

 客人を見送っていれば、こっそりとミレイアに呼ばれる。耳を寄せて話を聞くと、枢はにっこりと笑った。

「それ、とってもいいですね! 明日でいいですか?」
「ええ、大丈夫だと思いますわ。明日の午後、なんとしてでも時間を作って頂きます!」
「分かりました。では明日の朝、厨房で」
「はい……!」

 顔を見合せて頷き合えば、放っておかれた美男二人が割って入ってくる。

「二人だけでなにコソコソしてるんだ?」
「私たちも仲間に入れてくれ」
「ダメですわ! これは私とカナメ様の秘密ですの!」
「そうです! 秘密です!!」

 言い切った枢とミレイアに、国王兄弟は顔を見合せ首を傾げている。

 その後それぞれ部屋に戻るが、その道中アシュレイは何の話か枢に訊ねてきた。

「んー……、まぁ、アシュレイならいいか。あのね……?」

 そうして聞かされた内容に、アシュレイも「それはいい!」と言って賛同してくれた。

 ーーそして次の日の午後。
 ミレイアに執務室から連れ出されたウィリアムは、自室のテーブルに座らせられていた。しかも目隠しをされて。

「一体なんなのだ?」
「まぁまぁ、もうすぐですからそのまま待っていて下さいませ」

 隣にいるロイドの声しか聞こえない。頭の中はハテナでいっぱいだが、そうして待っていると「目隠しをとって頂いて構いません」と声がする。
 言われるまま視界を覆うものを外し、目をあけるとそこには。

「お誕生日おめでとうございます、陛下!」
「お祝い申し上げますわ!!」

 色とりどりにカットされたフルーツが載ったケーキが、テーブルの上に鎮座している。その向こうには満面の笑みでこちらを見る、ミレイアや枢、アシュレイがいた。

「これ、は……」
「朝から私とカナメ様とで作ったケーキですわ!」
「とっても上手に出来たんです! 味も美味しかったですよ」
「兄上にサプライズがしたかったらしいぞ?」
「皆様に祝っていただくのも勿論良いのですけれど、カナメ様の時のように私たち"家族"でお祝いしたかったんですの。喜んで頂けますかしら……?」

 悪戯が成功したことに喜ぶ反面、ウィリアムがどんな反応をするか不安な顔のミレイア。
 大きく目を見開いたあと俯くと、ウィリアムは肩を震わせ出した。

「っ、く……。あははは!! まったく、王妃ともあろう者が自らケーキを作るとは! 本当にお前はお転婆だな!」
「まぁ! ウィル様!?」
「だが、とても嬉しい!! 最高の気分だ!」

 言うなり立ち上がり、ウィリアムはミレイアを抱きしめる。

「きゃっ!」
「ありがとうミレイア! ありがとうカナメ!! 私は今とても幸せだぞ!」

 それは国王としてではなく、ただ一人のウィリアムとして見せた笑顔。

 一日過ぎた家族だけのサプライズ誕生パーティーは、こうして大成功を収めたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ということでウィリアムの誕生パーティーでした。
大々的にするより身内だけでひっそりやるのもいいよね、というお話。

最近こんな話ばっかりですね??

最近の枢とミレイアはめちゃめちゃ仲良しです。
厨房使用頻度爆上がり中。
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