8 / 31
第七話
しおりを挟む
市場から歩いて五分、そこには真っ白な教会があった。
別に自分はこの教会の信徒という訳ではない、むしろこの教会の教えが、僕は嫌いだ。
この教会が祀っているのは『勇炎教』という。
平たく言えばこの教会は、炎大好き集団だ。
理由は簡単だ、炎とは勇者の象徴、世界を脅かす存在があるならば、その対抗策としての何かが合ってもおかしくない、それを信仰するモノも然り、だ。
でも僕は炎が嫌いだ、だから、この教会も嫌いだ。
そんな嫌いな教会の門をたたき、僕は中に入った。
「ウィッシュさん、僕です、リグレットです」
広い教会に自分一人の声が響く、ちょっとだけ恥ずかしい。
「あら、その声はリグレットかしら?」
椅子に座っていた一人の女性が立ち上がり、こちらに歩いてきた。
歳はブレイバさんと同じぐらいのとてもきれいなお婆さんだ。
「お久しぶりですウィッシュさん、ブレイバさんの預け物を受け取りに来ました」
「お久しぶりリグレット、偉いわねぇあんな枯葉のお手伝いだなんて」
「いやいや、買い物のついでですよ」
にこやかに笑うウィッシュさん、まるで聖母のようだ。
「それで、ブレイバさんの預け物というのは?」
「あらあら、話が長かったかしら、ごめんなさいね」
恥ずかしそうに口元を抑えながら、ウィッシュさんは自分の座っていた椅子へと歩いて行った。
「これよこれ、はい、どうぞ」
「おっと・・・・・これは、剣?」
別に剣が珍しい訳ではない、ただ、渡された剣が余りにも意を放っていた。
まず、鞘も柄も見えなかった。
鎖によって封印されている、ぐるぐる巻きにされたその剣は、軽く力を加えたぐらいではその刀身を拝む事さえままならない。
「変な剣よね、その子」
ウィッシュさんの声に肩が震えた。
「でも、何となくいい子だとも思う」
言っている事の意図が分からない。
「それは・・・・・・・よく切れるってことですか?」
「ううん、逆よ」
困った顔の僕をクスクスと笑うウィッシュさんは、そのまま言った。
「さあ、もう日が暮れるわ、早くお帰りなさい」
「あっ、はい、ありがとうございました」
僕は軽く頭を下げた後、教会を後にした。
そして僕の人生は、少しずつ燃え始めていた。
別に自分はこの教会の信徒という訳ではない、むしろこの教会の教えが、僕は嫌いだ。
この教会が祀っているのは『勇炎教』という。
平たく言えばこの教会は、炎大好き集団だ。
理由は簡単だ、炎とは勇者の象徴、世界を脅かす存在があるならば、その対抗策としての何かが合ってもおかしくない、それを信仰するモノも然り、だ。
でも僕は炎が嫌いだ、だから、この教会も嫌いだ。
そんな嫌いな教会の門をたたき、僕は中に入った。
「ウィッシュさん、僕です、リグレットです」
広い教会に自分一人の声が響く、ちょっとだけ恥ずかしい。
「あら、その声はリグレットかしら?」
椅子に座っていた一人の女性が立ち上がり、こちらに歩いてきた。
歳はブレイバさんと同じぐらいのとてもきれいなお婆さんだ。
「お久しぶりですウィッシュさん、ブレイバさんの預け物を受け取りに来ました」
「お久しぶりリグレット、偉いわねぇあんな枯葉のお手伝いだなんて」
「いやいや、買い物のついでですよ」
にこやかに笑うウィッシュさん、まるで聖母のようだ。
「それで、ブレイバさんの預け物というのは?」
「あらあら、話が長かったかしら、ごめんなさいね」
恥ずかしそうに口元を抑えながら、ウィッシュさんは自分の座っていた椅子へと歩いて行った。
「これよこれ、はい、どうぞ」
「おっと・・・・・これは、剣?」
別に剣が珍しい訳ではない、ただ、渡された剣が余りにも意を放っていた。
まず、鞘も柄も見えなかった。
鎖によって封印されている、ぐるぐる巻きにされたその剣は、軽く力を加えたぐらいではその刀身を拝む事さえままならない。
「変な剣よね、その子」
ウィッシュさんの声に肩が震えた。
「でも、何となくいい子だとも思う」
言っている事の意図が分からない。
「それは・・・・・・・よく切れるってことですか?」
「ううん、逆よ」
困った顔の僕をクスクスと笑うウィッシュさんは、そのまま言った。
「さあ、もう日が暮れるわ、早くお帰りなさい」
「あっ、はい、ありがとうございました」
僕は軽く頭を下げた後、教会を後にした。
そして僕の人生は、少しずつ燃え始めていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる