19 / 20

第十九話,再出発

しおりを挟む
 ルナを連れて、ジーヴェルの待っている自宅へ帰って来た。家のドアをノックすると、ドタドタと奥から足音が聞こえてきた。暫くすると、ガチャッとドアが開き、満面の笑みのジーヴェルが出てくる。

「ルカ様っ! お帰りなさい……と、そちらの方は?」

 ジーヴェルが、俺の後ろに居たルナに気が付き、ルナの方をじっと見つめる。それに気付いたルナは軽くお辞儀をした。

「あなたが、ジーヴェルさん?」

「そうだけど……」

 そう言いながら、ジーヴェルはルナを睨む。

(まぁ、そんないきなり上手くいくはずないよな)

「ジーヴェル、この人はルナ。前、一緒にパーティーを組んでいたメンバーのうちの一人だ」

「よろしくね?」

 俺が紹介し、ルナが握手を求めても、ジーヴェルは警戒を解かない。

「ルカ様、こいつって、あのイグニのパーティーの奴じゃ……」

「そうだけど、色々事情があったんだよ。ちゃんと説明するから、中に入れてくれるか? 勿論、ルナも一緒に」

「……分かりました」

 ジーヴェルは渋々、俺とルナを招き入れた。警戒しながらも俺とルナにお茶を入れてくれ、お菓子も用意してくれた。

「ジーヴェル、ありがとうな。ジーヴェルが警戒するのも分かるよ」

「いえ、ルカ様が許したのなら、私は構いませんが、イグニのパーティーでルカ様がされた事を考えると……」

 そう言い、ジーヴェルはまた、ルナをチラッと見て、俺の方に向き直す。

「そのことについて、ちゃんと説明するよ」

 俺は、ルナに確認しながら事の経緯を話した。ジーヴェルは黙って、時に頷きながら真剣に聞いていた。そして、話が終わると、ルナの方を向いた。

「ルナさん、酷いことを言ってごめんなさい。ずっとルカ様を庇ってくださっていたんですね。しかし、イグニって奴は酷いですね」
「ジーヴェルさん、気にしないで下さい。あなたがルカの事を慕っているのは、一目見て分かりました。魔剣士さんなんですね。これからよろしくお願いします」

(竜族って事は、まだ黙っておいた方が良いかな)

 ジーヴェルも正体を明かすか悩んでいたんだろう。俺の方を見て少し不安そうにしていた。俺がそれに気付いて頷くと、安心した様に向き直った。

「良かった。誤解は解けたみたいだな。それでな、ルナもここに住んでもらおうかと思っているんだけど、二人ともどうだ? 部屋も余ってるし」

 俺の提案に二人とも驚いたが、ジーヴェルよりも更に驚いたのは、ルナの方だった。

「ルカ様が良いのなら、私は構いませんよ」

「そうか! ルナはどうだ?」

「あ、あの、ルカ!? 有り難い提案ではあるんだけど、そこまでしてもらうのは悪いわよ。暫くは街の宿に泊まるし、ギルドの方々も格安で部屋も貸してくれるもの。だから、大丈夫よ?」

(ギルドの部屋が格安!? あの部屋、通常はお金かかったのか!? カイオスにまた、お礼しに行かないと)

「ルナ、家に来いよ。ここならお金もかからないしさ」

「それは流石に悪いわよ。それと……言い難いんだけど、男二人の家に私一人っていうのも気になって……えっとね、ルカやジーヴェルさんが何かするとは思ってないんだけど、でも、あの……」

 ルナは、恥ずかしそうにもじもじしている。

(そうだよな。この家にルナ一人女性だ。気になるよな……)

 どうしようかと思っていたら、ジーヴェルが提案をする。

「ルカ様、一番奥の部屋はどうでしょう? 鍵を付けたいのでしたら、私が直ぐに対応しますし。それと、ルナさん専用のお風呂も作りますか?」

「鍵は俺も賛成だけど、風呂を作る!? そんな簡単に?」

 俺が驚いて声を上げると、ジーヴェルは得意げにした。

「結構簡単に作れますよ? 実際、私の国でも女性たちからの要望は多いので。材料も森で直ぐに手に入る筈です」

「ジーヴェルさん、そこまでしてもらうのは何だか悪いわ」

「良いんですよ。それに私も反省したんです。あなたに酷いことを言ってしまいましたし」

「ジーヴェルもこう言ってる事だし、作ってもらったら良いよ」

「うん! ジーヴェルさん、ありがとう」

「ルナ、これでこの家に住むのは抵抗ない?」

「うん。ルカ、本当にごめんなさい」

「もう、謝るな。そういう時はありがとうだよ?」

「ルカ、ジーヴェルさん、本当にありがとう! これからよろしくお願いします」

 それからは、皆でこれからの事を話し合った。ルナは冒険者として復帰したいと言っていたが、俺はあまり気が進まないので、あくまでもサポートとして一緒に同行することにした。

 次の日、冒険者ギルドへ行き、パーティー登録をする。メンバーは勿論、俺とジーヴェル、そしてルナだ。カイオスはかなり喜んでくれていた。パーティーを結成したというより、ルナと仲直りした事が嬉しかった様だ。

「ルカも遂にパーティーのリーダーだな。ルナとの間にも誤解が解けて良かったよ」

「カイオスさん、色々とご協力ありがとうございました。私一人だったら、ルカとまたこうやって一緒に居られる事は無かったから」

「礼には及ばないよ。君がルカの味方だって分かった時は嬉しかった。ルナの優しくて真っ直ぐな気持ちがルカに伝わったんだ。ジーヴェルも君を認めてる」

 カイオスはルナに対し、優しい目をしながら話していた。俺もそれに応える。

「うん、ルナが俺の事を思っていてくれたことは、十分伝わったよ。それなのに、疑ってばかりで本当にごめん。これからもよろしくな」

「私の方こそ助けられなくて、本当にごめんなさい。信じてくれて、受け入れてくれてありがとう」

 そんな俺たちを見ながら、カイオスは咳払いをして、こちらを見る。

「そろそろ、登録作業をしても良いか? 二人とも謝りすぎだ。まぁ、仲良いのは良いことだがな」

 そんなカイオスに、何となく照れて焦ってしまう。

「か、カイオス。待たせてすまない」

「か、カイオスさん、すみません」

 ルナと同時に叫ぶ。それを見たカイオスが吹き出す。

「ははっ。ほんっと、仲良いな。これなら大丈夫だ。登録するぞ」

『はいっ!』

 また同時に叫んで、顔を見合わせ笑う。

「ルカ様、私も入れてくださいよー」

 ジーヴェルも楽しそうだ。

 登録作業を終え、帰路につく。

「これでまた、ルカと一緒に旅にも出られるのよね」

 ルナが遠い目をしながら、嬉しそうに言う。

「そうだ。色々あったけど、これからはまた一緒だよ」

 それに俺が答えると、ルナはにっこりと微笑む。

「私が居るのも忘れないで下さいね?」 

 ジーヴェルが俺の肩を組む。

「勿論、忘れないさ。これから皆で……ルナともここから再出発だ!」

 皆でハイタッチし、遅くまで色々な事を話した。

 ————翌日、

 新聞に、勇者パーティー結成! と大きく一面に載っていた。イグニの勇者パーティーが解散してから、初めての勇者パーティー結成ということで、かなり注目された様だ————。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

処理中です...