Ice in love

最後の氷

氷の考え

『再び城に帰ってきた。

  みんなで帰ってきた。

  全てを守るために…』



 私は、レイラとの会話を終えみんなと相談して城に戻る事にした。

 『レイラを手助けして、国のバランスを安定させる。』

 みんなにそう伝え、屋敷を出た。

 みんなには、そう伝えたが…
 私は最後の決断を深く伝えていない…

 私はまた、今度はレイラを助ける為に力を使う。

 しかし、私の力をも万能ではない。故にまた眠りにつかなくてはいけない。

 前回は、記憶を失うだけで済んだが、次はそうは行かない。

 範囲が広いだけあって時間も力も沢山消費する。その為一瞬だけの瞬発的な力でなく持続した力が必要。

 レイラと私は【眠りにつく】事で力を持続的に使わなくてはいけない。

 ということは…またしばらくグレンにみんなに会えない。

 寂しいけど、宿命みたいなものだし…

 (私は…)

 伝えるのが怖い事もあるが、最後の最後まで私は、笑顔で居たいからその事を言わないでいた。

(グレン…貴方には全てお見通しなんだろうけど。)

 屋敷を出てからもグレンは、私の手を離さない。
 
 側に居たくて望んだ結果だが…少し心配。

 またグレンと離れ離れになる。
 今度は記憶はあってもいつまで会えないか分からない。

 (早くて10日、長くて…)

 「ユリア？…どうかしたか？」

 優しくグレンが問いかける。もうこの声もしばらく聞けない。
 この腕や身体に触れる事が出来ない。

 知らず知らず握る手に力が入る。

 …側に居る事が出来ない。

 「…がぃなくなったら…グレンは」

「ユリア?!今なんて？」

「へ？あっごめん、何でもない！大丈夫だ!!」

「ユ…」
「さっ、みんなに先越されしまう。急がなきゃ、グレン行こ!!」

 「あっ…あぁ。」
(今は考えていても仕方ない！前に進まなきゃいけない。全てを守るために。愛する人の笑顔を守るために。)

 ユリアとグレンは互いに手を取り合い歩き出す。

 まだ見ぬ先に互いに想いを巡らせ確かに互いを感じながら一歩一歩と踏みしめ歩き出す。

 みなそれぞれの意思を抱き目的地へと向かう。

 全てを守るために
愛する人を守るために


 さぁ、目的地まであと少し

                     国崩壊まであと1週間