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二匹の出逢い
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『逃げて、早く…』
「はっ…」
(夢か。)
布団から起き上がり窓を開ける。
ピヨピヨと小鳥が飛んでいる。
(なんであんな夢を、今更になって)
開けた窓を覗き込み溜息をついた。空を見上げ窓を閉め黒のカーテンを閉め光を遮断する。
そして、朝食を取り旅支度を始める。
(もう、この家に帰る事は無いわね。)
不意に見た机上には、仲良く肩を寄せ合う男女が居た。そこに映るのは男女だけでなく小さな女の子と黒い犬が居た。
女の子は犬を抱きしめるようにしながら写真に写っていた。
「バイバイ。ーありがとう。」
(忘れない。きっとやり遂げるから、見守っていて。)
扉を開け外に出る。振り返ると大きな屋敷がそこに見えた。
”屋敷には、仲の良い親子が住んでいた。
いつも笑の絶えない家族で誰からも羨まれる理想の家族
…あの日が来るまではー”
森の中に屋敷はあった。
森から出、足は屋敷からどんどん遠ざかる。
顔を隠すように深くフードを被り、街を過ぎ去ろうとする。
「そうなのよ、最近あの森から…」
「なんですって!それ本当…」
住民が各々会話をしている。だが今は…
(あと少しで街から出られる!…っ)
他人に気付かれないように街を出ようと歩くがやはり気付く奴がいる。
…グゥゥ
街には首輪を付けてはいるが放し飼いにされている”犬”だ。見ると殆どの犬が私に牙を剥いている。
(やはり、犬は騙せないか!)
「あら?どうしたの?ムーちゃん?すみませんねぇ」
「いえ…」
軽く頭を下げ過ぎ去ろうとするが、犬はブーツを噛んで離さない。
「こら、ムーちゃん 離しなさいっ!」
飼い主が引っ張っても離れない。
(ちっ…こうなれば)
ムーと呼ばれた犬を見る。
ただ見るのでは無い。睨むのだ
”離せ、ついてくるな”
犬は尾を垂らし縮こまる。
騒ぎを聞きつけ住民が群がってきた。厄介な事になる前に街を出なくては
犬が離した隙に歩き出そうとした途端、嫌な声が聞こえた。
「どうかしましたか?」
「何故かムーちゃんが離れなくて」
(厄介な奴が来たわね)
「そちらの方は大丈っ!服が破けてしまっているじゃないですか!怪我とかっ!?」
「いえ。大丈夫なので、これで」
「そんな訳には」
歩き出そうとしたが道を塞がれ上手く進めない。
すると、きまぐれか小さな男の子が近づきフード下を覗いた。
全くの予想外だった。しくじったのだ。まさか、見られるなんて
”ギャーーーーーーーーーーー!”
街中パニックだ。まさか森から出て来るなんて。皆そう言った。
「おっ…お前は!」
もう、隠せないか。私はフードを取り去り、叫んだ。
「私は!お前達が恐れをなした森の獣人クロウだ。殺されたくなければ道を開け。」
フード下は真っ黒な長い髪に真っ赤な瞳の女性だった。
騎士団に連絡をしようとする者も居たが、多くの者は道を開いた。
私は全力で走り抜け街を後にした。
(やはり…こうなったか。まぁ、いい早くこの魂を。)
何があっても今は捕まる訳にはいかない
”コロセバ ヨカッタモノヲ”
(…煩い、黙っていろ)
「待てっ!!貴様は…」
背後を振り向き言い放つ。
「私は私のやるべき事がある。それを邪魔するなら誰であろうと許さない!!」
「っ…」
街を後にした私は、これからどうして行くか考えながら旅を始めた。
やらなくてはいけない事がある。
その為なら何だってする。
悪党上等だ。
”黒髪の獣人クロウ”
村に配属されてから、気になっていたがその正体を知りはしなかった。
初めて目の前に現れた時、誰か分からなかった事もあって気付かなかった。
犬達が騒いで居たから騒ぎの場所に行っただけだったが…
「彼女は一体…しかし、あの気迫。それと目的は一体…調べる必要がありそうだな。」
「騎士団長っ!!シーロ様!!」
風と太陽によりキラリと輝く白い髪をたなびかせ騎士団長の羽織を纏い団員達の元に戻っていった。
ーー2つが重なる時 運命は動き始める。
この先にあるのは、幸か不幸か…はたまた破滅か。
この先を誰も予想できない。
2人は、別の道を進む。
「はっ…」
(夢か。)
布団から起き上がり窓を開ける。
ピヨピヨと小鳥が飛んでいる。
(なんであんな夢を、今更になって)
開けた窓を覗き込み溜息をついた。空を見上げ窓を閉め黒のカーテンを閉め光を遮断する。
そして、朝食を取り旅支度を始める。
(もう、この家に帰る事は無いわね。)
不意に見た机上には、仲良く肩を寄せ合う男女が居た。そこに映るのは男女だけでなく小さな女の子と黒い犬が居た。
女の子は犬を抱きしめるようにしながら写真に写っていた。
「バイバイ。ーありがとう。」
(忘れない。きっとやり遂げるから、見守っていて。)
扉を開け外に出る。振り返ると大きな屋敷がそこに見えた。
”屋敷には、仲の良い親子が住んでいた。
いつも笑の絶えない家族で誰からも羨まれる理想の家族
…あの日が来るまではー”
森の中に屋敷はあった。
森から出、足は屋敷からどんどん遠ざかる。
顔を隠すように深くフードを被り、街を過ぎ去ろうとする。
「そうなのよ、最近あの森から…」
「なんですって!それ本当…」
住民が各々会話をしている。だが今は…
(あと少しで街から出られる!…っ)
他人に気付かれないように街を出ようと歩くがやはり気付く奴がいる。
…グゥゥ
街には首輪を付けてはいるが放し飼いにされている”犬”だ。見ると殆どの犬が私に牙を剥いている。
(やはり、犬は騙せないか!)
「あら?どうしたの?ムーちゃん?すみませんねぇ」
「いえ…」
軽く頭を下げ過ぎ去ろうとするが、犬はブーツを噛んで離さない。
「こら、ムーちゃん 離しなさいっ!」
飼い主が引っ張っても離れない。
(ちっ…こうなれば)
ムーと呼ばれた犬を見る。
ただ見るのでは無い。睨むのだ
”離せ、ついてくるな”
犬は尾を垂らし縮こまる。
騒ぎを聞きつけ住民が群がってきた。厄介な事になる前に街を出なくては
犬が離した隙に歩き出そうとした途端、嫌な声が聞こえた。
「どうかしましたか?」
「何故かムーちゃんが離れなくて」
(厄介な奴が来たわね)
「そちらの方は大丈っ!服が破けてしまっているじゃないですか!怪我とかっ!?」
「いえ。大丈夫なので、これで」
「そんな訳には」
歩き出そうとしたが道を塞がれ上手く進めない。
すると、きまぐれか小さな男の子が近づきフード下を覗いた。
全くの予想外だった。しくじったのだ。まさか、見られるなんて
”ギャーーーーーーーーーーー!”
街中パニックだ。まさか森から出て来るなんて。皆そう言った。
「おっ…お前は!」
もう、隠せないか。私はフードを取り去り、叫んだ。
「私は!お前達が恐れをなした森の獣人クロウだ。殺されたくなければ道を開け。」
フード下は真っ黒な長い髪に真っ赤な瞳の女性だった。
騎士団に連絡をしようとする者も居たが、多くの者は道を開いた。
私は全力で走り抜け街を後にした。
(やはり…こうなったか。まぁ、いい早くこの魂を。)
何があっても今は捕まる訳にはいかない
”コロセバ ヨカッタモノヲ”
(…煩い、黙っていろ)
「待てっ!!貴様は…」
背後を振り向き言い放つ。
「私は私のやるべき事がある。それを邪魔するなら誰であろうと許さない!!」
「っ…」
街を後にした私は、これからどうして行くか考えながら旅を始めた。
やらなくてはいけない事がある。
その為なら何だってする。
悪党上等だ。
”黒髪の獣人クロウ”
村に配属されてから、気になっていたがその正体を知りはしなかった。
初めて目の前に現れた時、誰か分からなかった事もあって気付かなかった。
犬達が騒いで居たから騒ぎの場所に行っただけだったが…
「彼女は一体…しかし、あの気迫。それと目的は一体…調べる必要がありそうだな。」
「騎士団長っ!!シーロ様!!」
風と太陽によりキラリと輝く白い髪をたなびかせ騎士団長の羽織を纏い団員達の元に戻っていった。
ーー2つが重なる時 運命は動き始める。
この先にあるのは、幸か不幸か…はたまた破滅か。
この先を誰も予想できない。
2人は、別の道を進む。
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