1 / 11
【声劇台本】優しいお兄ちゃんと見返したい弟【男声2名】
しおりを挟むキャスト
弟:
兄:
親の再婚で急にできた兄と弟。2人に挟まれてヤキモキする話。
────
◯学校から帰ってくると、弟が不機嫌な顔で待ち構えていた。
弟:お、お帰り。遅かったな。どこで道草食ってたんだよ。
は? 草じゃなくてポテト食ってた? あのな、別にマジで草食ってたのかって聞いてるわけじゃねえんだよ。お前、アホだろ。国語の点数低いだろ。
で、誰といたんだよ。どういう意味って、誰かと一緒にポテト食ってきたんだろ。じゃなきゃ、大概お前、まっすぐ帰ってくるじゃねえか。怒んねえから。誰といたのか、言えよ。
兄:俺だよ。
弟:兄貴……。
兄:帰りにね、偶然会ったもんだから、ちょっと寄り道してきたんだよ。ちょっとだけだよ、ちょっとだけ。だから、そんな顔で見るなって。
弟:そんな顔って、どんな顔だよ! あっそ。兄貴といたんなら、別にいいけど?
兄:なんだか、棘がある言い方だね。ヤキモチ、焼いてるんでしょ。正直に白状しなさい。
弟:や、焼いてねーし! バッカじゃねーの!? あー、くっだらねー。遅いから気にしてた俺がバカみてーじゃねーか。
兄:やっぱり、気にしてたんだ。
弟:してないし! ぜんっぜん気にしてないし!
兄:あはははは。あー、面白い。可愛い弟をいじめるのは面白いね。君も、ちょっとぐらい連絡してあげても良かったのに。メッセージ、きてたんでしょ、まだ帰ってこないのかって。
それとも、君もそうやって弟を焦らして、遊んでいるのかな?
弟:俺で遊ぶな! ったく、年上が二人も揃って、大人げねーんだよ! 特に兄貴。かーちゃんの再婚で女の兄妹ができたからって、浮つきやがって。帰り道によく拉致ってんの、知ってんだからな! 車持ってるからって、いい気になるなよ!
兄:拉致って言い方、酷いなー。俺は、この子と帰り道がちょうど一緒で、偶然下校時間に俺も通るから、送迎がてらすこーし、寄り道しているだけだよ。別に、お前が考えているようなあんなことやこんなことなんて、微塵もないから安心しろ。
弟:は、どーだか。兄貴、前まで楽だからって、向こうの道使って帰ってきてたじゃねーか。
なんでいきなり、こいつの学校前の道、使うようになったんだよ。それに、下校時間にあの道を通るってのも、嘘だね。「あー、今日も残業だー」って、夜に帰ってくることばっかだったじゃねえか。なんで最近になって、定時退社するようになったんだよ。あと、毎回寄り道する必要もないだろ。……兄貴こそ、何かやましいこと、考えてんだろーが。
兄:そりゃあ、つい3ヶ月前にできたばっかりの妹だったって、俺の可愛い妹であることには違いはないんだからさ。長男として気にするのは当然だろう。お前だって、毎日心配してメッセージ入れてるの、知ってるんだからな。お互い様だ。
弟:にーちゃんの方が、こいつの拘束時間長いだろーが!
兄:おや? やっぱりヤキモチ焼いてるな? 弟よ。
弟:焼いてねーし!全然ちげーし!!
兄:ははは。まあ、たかが1時間弱とはいえ、独占してたのは謝るよ。彼女は、俺たち二人の、兄妹だもんな。
弟:独占ってのが、引っかかるけど、まあ、そーだよ。
兄:さて、和解できたところで、どうする? ご飯にするか、お風呂にするか。それとも……
弟:お、れ、とか言うつもりか? いくら兄貴でもそれは流石にねーよ。引くから。
兄:いや、みんなで映画に行こうかって言おうと思ったんだけど。弟の発想力には、いつも感心させられるなー。
弟:まっ、違っ、また茶化しやがって!! くそー。で、映画って、何。なんでまた。
兄:いやさっきね、二人でいる時に、妹が見たい映画があるって話をしてて。たまにはさ、兄弟仲良く映画を観に行くっていうのも、いいかなって思ってな。
弟:あっそ。どんなやつだよ。
兄:大丈夫。ホラーとかサスペンスとかじゃないから。こわーいお化けやモンスターは出てこないよ。
弟:ま、まーた子供扱いしやがって! 別に、ホラーくらい、怖くないからな!
兄:つい数日前、一人でトイレに行けなかった人が、何言ってるのかな?
弟:あれは! 別に! 違うし! にーちゃんだって、この間来てた叔父さんの怪談話に、嫌な顔でやめてくれって言ってなかったっけ?」
兄:(しれっと)うん、俺はお化けは嫌いだよ。だって、幽霊や得体の知れないものって、どう対処していいかわからないじゃないか。そういう話はゾッとするから、聞きたくないんだ。
弟:う……俺も、そんな感じだよ。
(姉に)お、お前も、何ニヤニヤしてんだよ! くそ!
兄:で、どうする? 映画、行くか?
弟:う……(どうしようかな……)
兄:無理に、とは言わないよ。勉強とか、やりたいゲームとか、色々あるもんな。気にしなくていいよ。映画は、妹と二人で行ってくるから。お留守番よろしく。
弟:だー!れも、行かねーっつってねーだろお!?
あれだ、ゲームは全部クリアしちまったし? 勉強も成績いいからしなくていいし?
やることねーからな、仕方なく着いてってやるよ!!
兄:そーか、そーか。それは良かった。それじゃ、お兄ちゃんが連れてってあげるから、二人とも、準備しておいで。夕食も、外で食べてこようか。何がいいかな?
END
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる