エイトゲヘナ~出会って秒で食べられました、けど今は凄く幸せです~

中谷 獏天

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224 シイラの真実。2

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『こ、ココは』
「大丈夫?私の事、誰か分かる?」

《あっ》
『ごめん、けど私達、何で』
『僕らの結婚式に出ようとして、事故に巻き込まれたんだってね?』

『そ、そうなの、私達』
《あんな事をしたけど、ずっと、苦しくて》

『だから、謝ろうと思って、本当にごめん』
《ごめんね、ずっと大変だったよね、なのに本当に》
「どっちから始めた事なんですか」

 ココは今、試練エクスペリメントムロクス
 病室には俺とシイラ、サレオス。

 それとシイラを虐めた、主犯格が2人。

『それはこの子が』
《違うの、私は◯子に》

『なっ、アンタ』
『どちらかには黙ってて貰うよ、進まないからね』

 今なら分かる。
 明らかに可笑しい事も、ココだと違和感を抱かない、抱けない。

 けど、同時に分かる事も有る。
 俺は確かに、向こうに戻った。

《◯子ちゃんが、気に食わないよねって。しかも皆も同調したから、だから、言うべきだと思って》

 〇美の発言に、悪魔達の手に口を塞がれていた◯子が、鬼の形相で勢いよく振り解くと。

『◯美だって言ってたじゃない!面倒だとかウザいとか、最初に懲らしめたいって言ったのアンタじゃない!!』
《だってアンタに同調しないと不機嫌になるんだもん!!》

『私のせいにしないでよ!率先して言ってたのアンタじゃない!!』
《アンタだって!落ち込んでるの見て爆笑してたクセに!!》

『アンタだって一緒に笑ってたじゃない!!』
《そうしないと、仲間外れにされると思ったから!!仕方無いじゃない》

 コレが本当だったらな。

 けど俺は見てきた。
 本を通してその場で、確かに見た。

 2人共に、心から愉快そうにしていた顔を。

『そう、でもアンタが私の悪口言ってたの、知ってるんだよ?』

《何それ》
『例のサイト、試しにアンタの本名入れたら見れたんだよね。偉そうに仕切るからウザい、大して可愛くないクセに男が途切れないとか、マジでテク凄過ぎんだろ》

《な、それ、私じゃない。誰かが私の》
『それ、どう証明すんの?』

《証明って》
『出来るワケ無いよね、絶対に、無理なんだよアンタは。だって、その書き込んだ日、◯菜とずっと一緒だったじゃん。◯菜の悪口も書き込んでたよね、一緒に居る時間に』

《そこまで調べてるとか、マジでキモい、何その粘着質》
『ほら、性格悪いの◯美の方なんだ、全部この女が指示したんだってば』

《ちょっ、違うし!アンタが》
『ね?本当にごめん、謝るからさ、ね?私は全部、本当は嫌いじゃなかったのに、言わされたんだ』

《はぁ?!アンタ》
『ほら擦り付けようとして』
《たんま、このままじゃ埒が明かなさそうだから、口を挟ませて貰う。離婚して大変そうだね、可哀想だね、そう言ったのが始まりなんだよな?》

『それは、そうですけど』
《その言葉のまま、大変そうだな、可哀想だなと思っただけなんだよな?》

 シイラもなまじ純粋なガキだったからこそ、分かる事だって有った。
 本当に、眉をひそめて、広める気も無しに言っただけ。

 けど、それだけなんだよ、本当にそれだけ。

「はい」
《だが小4で、まさか母親が不倫してどっちからも捨てられたんだろう、だなんて思うワケが無いよな?》

『ちょっ、何で、そんな事まで知って』
《まぁまぁ。で、知ってたか?離婚の原因や不倫の事》

「多分、不倫って、何の事か分からなかったかと」
『だから、そう物知らずだから』
《アンタさ、自分の恥を暴露された、と思い込んで仲間はずれにしたんだよな?》

『それが、勘違いだったなら、ごめんとは思いますけど』
《ずっと孤立させられてきた事は、大した問題じゃないと本気で思ってるのか?》

『あの時は、色々、大変で』
《けど祖父母には大切にされてたよな。しかもコイツだって大変だったんだ、メシマズでクソな母親、家に帰れば常に姉と比べられ続けて。更には、父親が帰って来る事は殆ど無い。でアンタはそこも知ってて、空気が読めないとか、有り得ないって言ってたのか?》

『そこまでは、知らなかったけど』
《なら似た様な条件なんじゃないのか?確かに大勢の前で言う事は無神経だが、小4で、しかも配慮出来る様な環境じゃなかった。それに、そもそも不倫かどうか、それさえ知らなかった。本来なら、ある程度育てば、お互い様で終わった事が。高校生になっても、無神経でバカだ、って広めてたんだよな》

『けど、その後』
《大人になったからって、勝手に改心したワケじゃないよな?入れ込んでた男に調べられて、もし謝って許して貰えたら、結婚しても良い。って言われたからだよな?》

『それも、だけど、改めて悪かったなと思って』
《で、アンタは堅い仕事をしてる婚約者に調べられて、和解が無理なら婚約破棄だって言われたからだよな?》

《私は、元々、いつか謝ろうと思って。でも、また、傷を抉るのもどうかなと思って》
《はぁ、良く言うよ、お互いに凄い事を書いてたよな。まだアレが独りぼっちとかウケる、永遠に独身のままで死ぬのがお似合いだ、無神経でバカで本当にムカつく》
『それは、この子に合わせてただけで』

《私だって、アンタに合わせて無いと、今度は私がと思って》
『アンタの事今まで何もして無いじゃん!』

《〇〇香にだってしてたじゃん!!》
『アレは、あの子が不倫親子とかバカにしたから』

《しょうがないじゃん、実際にしてたんだし、お金取られてたじゃん》
『アレは、知らなくて』

《絶対、嘘、だって指輪の跡がハッキリ写ってたのに有り得ないし。本当に知らなかったら、お金なんて取られるワケ無いじゃん》

『まさか、アンタがバラしたんじゃ』
《おぉ、良く分かったな、金をくれたら情報やるって言って接触してたんだよな》
《何でそこまで》

《なー、何でだろうな?》

 本人が知らない事まで知れるのが、真実の書。

『で、僕の伴侶に、何が言いたかったのかな?』

『お願い、謝るから、出来るだけの事は』
《お金なら払うからお願い!許して、お願い》

 どう見ても、追い詰められたから謝罪してるだけ。
 嘘だって感覚が、特にココだと鋭敏になる。

 ヒナが感じる感覚は、コレなのかも知れないな。

「本当に、私を虐めてたの?」

『それは、流れで』
《何となく、そのまま、で》

『だって泣かなかったし、止めろとも言わなかったし』
《別に、もう、気にして無いのかなって》
《嘘は、残り各1回まで許すが、いい加減にしろよ?女子の人生なんて簡単に潰せる、そう示す為にも噂を流し続け、仲間を支配してただけだろ。〇菜ちゃん、機嫌を損ねるのが怖くて仕方無いって、それから〇愛ちゃんも。〇依ちゃん、〇咲ちゃん、〇葵ちゃんもな》

《ほら、だから》
《アンタの事は、度が過ぎる、悪ノリに付いていけないとかだな。引いてたぞ、だから距離を置かれてた、相槌打って流してたのは寧ろ向こうだバカ》

 本当に、だからバカは嫌いなんだ。
 しかも反省が他人から言われて、だろ、悪質にも程が有る。



「もう1回聞くけど、本当に、私を虐めてたの?」

 このままだと、本当に埒が明かない。
 だから、其々の声を聞こえなくさせよう。

『最初は、違うけど』
《皆も同調してたから、だから、このままで良いかなと思って》

『段々、止められなくて』
《止め時が分からなくて、それに皆も、同じ意見だと思ってたから》

『そのまま、流れで、そうしてた』
《急に変えたら、友達が、離れちゃうと思って》

 其々に理由が有る。

 けれど被害者には、慮らない権利も有る。
 そして代償を支払うなら、許さない事も許される。

「お金は要らない、同じ時間、同じ苦しみを味わって欲しい」
《まぁ、そうなるよな》
『そうだね』

 さ、もう良いかな。

《なっ、何で、これだけ謝ってるのに》
『アンタだってどうせ、イジメた事だって有るんでしょ、なのに』
「無いです」

『そんなの、アンタが気付かなかっただけで』
「誰も関わってくれなかったので、虐める機会も、何も無かったです」

『それは、本当にごめん、けど』
《悪かったとは思うけど、でも、ソッチにも悪い所が有ったんだし》

『そうだよ、もう私は気にしてないけど』
《このままだと、お互い、苦しいままじゃない?》

『そうだよ、それこそ、子供の時の事なんだし』
《偶々、そう失敗しなかったのかもだけど、今許せないと後で自分も苦しむんだよ?》

 許さない対価。
 それは、他人から許されない事。

 少なくともシイラは、そう思っている。

「はい、構いません、私は私の罪を背負います。私は無神経でバカでした、不倫だとか本当の大変さを知らずに、母親がやる通りに同情の言葉をそのまま出した。だから許してくれなくて良いから、私を虐めた事は、絶対に許さない」

《何でよ!アンタはもう何でも持ってるんでしょ!!》
「じゃあ何人も子供が居たら、1人位は殺されても良いんですか」

《何でそう極端な事になるのよ!!》
「じゃあお金で良いです、いっぱい有るから、少し盗られても訴えないんですか」

《それは、だから、お金で償うから》
「なら幾らくれるつもりですか」

《300万、までなら、だけど》
「アナタのお金ですか、アナタが稼いだお金って」
《1000万も無いだろ、しかもどうせ、婚約者の金で過ごすんだろ》

《違う!私の稼ぎから出すのが、条件だって》
《けど、後の生活費は、向こう持ちだよな。良い家で暮らし、食費も生活費も向こう持ち。で、アンタは金の喪失だけ、金だけ払えば後は安泰》

《じゃあ!イジメた奴は、永遠に苦しんで、孤独で居ろって言うの?!》
《まぁ、人生潰したなら、それで良いんじゃないか?悪しき見本として、ネットで助言でもしてやれよ、それが償いってもんだろ》

《でも、私にだって、人生が》
《じゃあアンタ、殴られても金が貰えたら気が済むのか?自分の両足が無くなっても、子が殺されようとも、一生名前が晒されようとも。金が貰えさえすれば、許せるんだな》

《だから》
《謝罪は謝罪、償いは償い、償いの方法に不満が有るなら裁判でも何でもすれば良い》

《だから!それが嫌だからお金で納得して欲しいんだってば!!》

《誰の為に、だ》

《それは》

『でも、私達だって、苦しかったし』
《自業自得だろ、小学生の時期で終わらせておけば良かったものを、中高と長引かせたのはお前らだろうが》
《この子がコミュ障だから!》

《そうさせた原因が言うか?》

『でも、この子にだって』
《臭いから、汚いから、空気が読めないから。じゃあ、肌の色が違うから、虐めても良いワケだ》

『それとコレとは』
《いや一緒だろ、まぁ、臭いから避けるのも汚いから避けるのも分かる。けど事情が有るかも知れない、じゃあ仕方無い、で終わらせるのが大人だろうが。それをいつまでもいつまでもネチネチと。空気が読めないから、バラされたからって、8年だぞ?8年、子供が同じ思いをしても真っ直ぐに良い子に育つ、その子供だけの責任だってマジで言うのかよ》

 結婚し、子が欲しいから謝罪し、償おうとした。
 だなんて、だからこそ言えるワケが無い。

 もし言えば、もしかすれば、その身に降り掛かるかも知れないのだから。

『けれど、少なくとも、真っ直ぐに良い子に育ったよ』
《はいはい》

『仕方無いよ、環境だけじゃなく、性根が最初から曲がっていたのだから』
《まぁ、だろうな》
「許しません、お金も受け取りません。私が苦しんだ分、先ずは苦しんで下さい」
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