エイトゲヘナ~出会って秒で食べられました、けど今は凄く幸せです~

中谷 獏天

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234 天然。

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 天然、と言う言葉は確かに両極端な面しか無いが。
 マジで、シイラの場合は良い意味だ。

 と、説明している最中も。

『せいっ』
「ひひっ」
《こらヒナ、説明中だ》

『シイラの笑う分を均等にしています』
「理屈がっ、くふっ」
《はぁ》

『笑いのツボ、つまりは観点が違う事は悪い事では有りません、せいっ』
「ふひっ」

『寧ろ良い事です、ですが違いは目立ちます、私も目立つ方だと思います』
《だな、けど多様性の時代、豊かな世界なら許容しない方が悪い》

『せいっ』
「ひっ」
《あのなぁ、相槌みたいに突くな》
「ぐふっ」
「またっ」
『くっ、私はっ、まだ大丈夫です』

『せいっ』
『コッチかっ』
《ヒナぁ》

『笑わせるのがこんなに楽しいとは思いませんでした』
《楽しいか》

『はい、ですが天然の説明もします』
『なら、もう終わりだよ、でないとシイラが笑い死にしてしまうからね』

『本当に死んでしまいますか』
『暫くはね、さ、どうぞ』

『シイラも私も他と少し違いますが、少しです、成長すれば笑えるかも知れません。なので以降はレンズがしっかり、説明と解説をしてくれます』

「ふふっ、レンズさん、宜しくお願いしますね」
「頑張って下さいねレンズ」
『楽しみですねぇ』
『はい、楽しみです』
「ふふふっ」

 仕方無い。
 コレも笑って説明が出来無かった、俺のせいだしな。

《おう、バッチ来い》



 カノンから涙の匂いがする。

《何で泣いたの》

「良い事と悲しい昔の事と、それに面白い事が有ったから」
『どうすれば、そこまで笑わせる事が出来る』

「ふふっ」
《教えて》

「今度ね、はー、ふふふっ」
《悔しい》
『あぁ、そうだな』

「はいはい、今度ね、ふふふ」

 聖獣や魔獣にも、苦手な事が有る。
 笑わせる事、嬉しい方じゃない笑い。

《悔しい》
『だな』
「ふふふっ」



 ネネから涙の匂い。
 けれど色んな種類が混ざって。

 一体、何が起きたんだろう。

《ネネ》
「あぁ、顔とお腹が痛いので暫く安静にさせて下さい」

《そう、成程、ネネでも大笑いする事が有るんだね》
「当たり前じゃないですか、と言うか、それこそアナタはどうなんですか」

《クッカーニャ》

「性格が本当に悪いですね」
《だって、あの頃は脳が未発達だったし、凄く滑稽で》

「他には?」

《言えない》

「何でですか」

《名誉に関わるから》
「何なら対価にしますか」

《んー》
「もしかして結婚したら落ち着く派ですか」

《そこは、少しは落ち着くだろうけれど、それなりに大きな対価が必要だから》
「そこまで、ではレオンハルトに相談してきます」

《そこは先ず、僕から》
「成程、レオンハルト関連なんですね」

 どうして、いや、勘が良い事に関しては嬉しい事だけれど。

《あっ》
「笑わせるのって楽しいんですよ?知ってました?」

 悲しみの涙も混ざっていたのに、今日は良い日だったらしい。

《分かった、けど交渉はさせて貰う》
「短時間でお願いします、でないと突入します、全裸で」

《ふふふ、ネネを閉じ込める案は、やっぱり愚策でしかないね》
「全裸待機ですからね、ほら、行きますよ」



 タエを閉じ込めないで、本当に良かったと思う。

「色んな匂いがする」
『あー、涙の匂い、ですかね?』

「うん、悲しいとか楽しいとか、大変だった?」

『少し、ですが子供を持つなら、ちゃんと知ろうと思いました』
「子供の事?」

『向こうの虐めです、虐められたって加害者に仕立て上げようとしたり、殺されたり。でも、多分、そこも作戦だったかも知れないんですよね』

「殺される事が?」
『はい、怪我で済めば良いな。けど、死んでも、問題無いなって』

「生き返らないのに?」
『そこなんですよね、多分、凄く輪廻転生を信じてたかも知れない。凄いんですよ、自分を犠牲にしましたが、法律を良い方へ変えさせた。しかも3つも』

「凄いね、変えるのって大変なんでしょ?」
『はい、とても。1つは暴露について、もう1つは胎児について。それと最後に、知能や能力、境界知能の方について』

「最後のって、ココだと、普通に暮らすのがちょっと難しい者?」
『はい、ザッと言うと責任能力についてなんですが、管理能力についても他者に負わせる事が可能になりました』

「向こうに無かったんだ」
『管理者責任とは何だー、物や犬扱いするなーって、でも灰色の方が殺人を起こしたので変わりました。自由に殺せる様にお金を与え、自由にし、警告すらしなかった。野放しにしたらどうなるか分かってるのに、放置した』

「残念だね」
『はい、ですけど、だから死も計画の範囲内だったんじゃないかと思うんです。もう、虐められた時から、ずっと考えてた。そう思える位に、子供の頃から頭が良かったんですけど、それも家が不安定だったから』

「賢く生きないと、何度も苦痛を感じる事になるから」
『はい、必要悪とか何じゃそりゃ、とか思ってましたが。少し、考えを改めようかと』

「僕はしない、ココは平和で幸せだし、死ぬならタエと一緒が良い」

『いや、もしそうなるなら、子供の面倒をお願いしますよ』
「成人までね、そこで子育ては終わり、後は余暇だよ」

『余暇、困る』
「一緒に考えよう、あ、旅行しよう」

『まぁ、けど船はお願いしますよ、直ぐに船酔いするので』
「うん」



 天然への指摘が、最後の一撃だった。

『おめでとう、2回目の知恵熱だね』

「こんな、短期間に」
『コレはココに馴染む為の通過儀礼、君は他より早く馴染む、受け入れられた証』

「何に、受け入れられたんですか」

『世界ちゃん』

「あぁ、神とは違う第三の観測者、ですか」
『ココまでにしよう、それなら短期間で収まるから』

「観測者をも観測する、観測者」
『長引くと本当に周囲を困らせてしまうよ』

「私は、天然ですか」
『そうだね、音痴な鯨の子、けれど唯一じゃない。いつか同じ鯨に会いに行こう、さ、目を瞑って』

「音痴な子に番が居ないのは、可哀想だと思います」
『そうだね、だから用意してあるよ、大丈夫』

 向こうとは違い、番を生み出し野に放つなんて、造作も無い事。
 人とは違い、薄っぺらな倫理より、個体の幸福を願えるからね。



《あー、もう本当、情緒が乱高下だった》
『疲れましたか』

《あぁ、泣いたしな》

『熱は無いですが、休んだ方が良いと思います』
《なー、けどこの時間に昼寝すると、睡眠時間が崩れる可能性が高い》

『私なら可能です』
《お》

 初めてなので、ちょっと調整を間違えたかも知れません。

『誰に助力を求めれば良いですか』
《僕だね》

『お久し振りですボティス』
《久し振りだね。ふふ、思った以上に直ぐに入眠してしまって、驚いたんだね》

『はい、もうアレは気絶です』
《そうだね。入眠には心地良さも含まれる、けれど君は比較的、直ぐに入眠してしまう事が多い》

『はい』
《思うよりも軽く、焦らず、導入するだけで十分》

『ちょっと焦ってしまったかも知れません、早く寝て落ち着いて貰いたかったです』
《知恵熱が怖かったんだね》

『はい』
《今回、君は寧ろ安全に気絶させられた、そこは成功している。次はゆっくり、焦らず、導くだけで十分》

『はい』
《じゃあ、次は何をしようか》

『笑わせる以外に、面白い事は有りますか』

《あぁ、彼が眠って居る間に、面白い事を増やす事は可能だよ》

『それは何ですか』
《何か書く物、出来るなら液体のを幾つか頼むよ》

『はい』

 それからボティスに面白い事を教えて貰いました。
 そして、実践しました。

《はっ》
『おそようございます』

《眠らせたのか》
『はい、思うよりも効きが早過ぎて驚きましたが、助言を貰ったので次はゆっくり出来ます』

《そうか、ありがとうヒナ。凄いスッキリしたわ》
『いえ』

 それからレンズが気付くまで、私はかくれんぼを勝手にしました。
 悪戯と、笑わせる事は、とても楽しいです。

《ヒナー、出て来ーい》



 何で、あんなブスに相手が居て、何で私には誰も居ないか。
 本当に、意味が分からない。

「は~い、じゃ、後は頑張って~」
『じゃあね~』
《そうやって、口調を誂ってイジメるのって》

「嫌なら直しなさい」
『注意する前に、先ずは自身の行動を改めるべきでは』

《別に、たかが口調位で》
「そんな事も直せないのに、そんな事を気にするなんて、あまりにも道理が通りませんよ」
『その程度の事、そう扱うから、コチラも同じ事をしているまでですが。それをイジメ、ですか』

《だって、貶したワケでも》
「ココは全体主義、しかも個性は全く、必要としてはおりません」
『従うか従わないか、馴染むか馴染まないか、その程度の事も分かりませんか』

《そうやって、2対1で》
「どうぞ」
『ありがとうございます』

《もう良いです》

「では、失礼します」
『ご機嫌よう』

 何で私がイジメられないといけないの。
 訛りは許されてるのに。

 何で、どうしてなのよ。

《もう!本当に面倒臭い!!》
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