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60 虹の国。
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《君が休んでいる間に出た課題だ》
《コレねー、その国に居た者だけが語れるんだってー》
「だから追加でヒナ様だけ行く事になってるんだ」
『そうなんですね、ありがとうございます』
可哀想な王子様の物語に、続きが有ると言う事をすっかり忘れていました。
《それで、その、少し良いだろうか》
『はい』
《あー、デートだー》
「行ってらっしゃーい」
デート。
あぁ、そう言えば婚約を保留していましたね。
《それで、婚約の事なんだけれど》
『兄に何も動かないなら止めた方が良いと言われたので止めます、ありがとうございました』
《あ、その、もし僕に何か》
『いえ、相性が悪いのだと思います、全く何も揺れ動かないので』
ネネさんが離れてしまうかもと思うと、とても悲しい。
ジュリアやロミオでも同じ。
それにアズールにすら揺れ動くんですから。
何も動かないのは、私に必要が全く無いと言う事。
では、アンバーは。
アンバーはまだ、特に揺れ動かないんですが。
惜しい。
そんな気がします。
《そう》
『はい、では失礼します、補習を受けなくてはいけませんから』
《あ、ううん》
すっかり忘れていましたが、物語の続き、虹の国が気になるので。
『何故、記憶から抜けていたのでしょうか』
《んー、関わって欲しく無かったんじゃないかな》
だろうな。
こんな俺を手元に置いてるんだ、たった1人で親の不始末を何とかしようとしている奴に、ヒナが何もしないワケが無い。
『ジュリア、何故そう飄々としてらっしゃるのでしょうか』
《だって、確かに母国らしいけど、見ず知らずの国だもん》
『帰りたくは』
《無い、だって向こうに戻った時の方が借金を返すの大変そうなんだもん。無理無理、全く興味無い》
『あ、だから愚かな人種が嫌いなんでしょうか』
《んー、無関係では無いけど、重要じゃないかな。シルキーを傷付けた奴らが大嫌い、が殆どかな》
『お母さんみたいだから、ですよね』
《うん》
『で、お兄さんは、どうかな』
ヒナはどうやらネグレクトの家系で育ったらしい。
だからこそ、負い目しか無い。
もしかすれば、俺のせいでそうなった、かも知れない。
《俺なら、もう少し上手くやった》
『はい、そうでしょうね』
《何でこんな男を?》
『兄としては素晴らしいですから』
仕事で稼いだ事、自体は褒められる。
それに弟を立派に育てた事も、母親への復讐も。
掛け値なしに褒められる様な場所に居なかったせいで、正直、どう反応すれば良いのか分からない。
《はぁ、否定すると良さを語られる、どうしたら良い》
《本性を現せば良いじゃない、騙して怒られて捨てられちゃえば良いのに》
『したいですか』
《いや》
『する理由、かな』
『なら作りましょうか、コレから無一文になりますが』
《止めてくれ》
『何故』
《そりゃ苦労したくないから、でしょうねぇ》
《稼ぐのは構わない、ただもう、騙す事を生業にするつもりは無い》
《で、ご職業は》
ヒナの友人の司書、ジュリアはかなり意地が悪い。
いや、確かに大事な弟にこんな知り合いが出来たなら、俺でも警戒するが。
《君の恋人は》
『おっと、僕を同性だと思って頼ろうとはしないで欲しいな、君とは全く違う生き物なのだから』
「僕もです、行動原理は分かりますが、もっと良い事でも稼げた筈です。アナタは考える事を惜しみ、弟さんから認められる手段を敢えて手放した」
ヒナの執事には特に攻撃性が有る。
未だに俺を認めてはおらず、出来るなら排除しようと考えている。
ただ、表立って何かして来る事は無い。
《すまない、仰る通りで》
《で、ご職業は?》
『まだ赤ちゃんです、ココを知ったばかりなので無職でも大丈夫です』
ヒナが最も攻撃力が高い。
しかも、被害者遺族かも知れない。
何度、血反吐を吐きたくなったか。
『君が最も攻撃力が高い事を教えておくよ』
『あ、何がダメでしたか』
《追い打ちも完璧》
《すまん、プライドのせいだと思う》
『無用なプライドは単なる邪魔な石では』
《あぁ》
『お兄様は賢いので大丈夫です、直ぐに馴染んで何とか出来ます』
期待され、褒められ。
自分の良き兄になれと言われ。
《全く、前世の経験も知識も生かせない》
『そうですか、なら頑張って学ぶしか無いですね』
《あぁ》
単なる正論に攻撃力が有るのは、俺には弱点ばかりだからなのだろう。
死ぬ程の苦痛では無いが、結構、クるものが有る。
「何故」
《確かに、似てるな》
『確かに、似てると思います、でも真似をしているつもりは』
「待った、何故ですかヒナちゃん」
『お兄ちゃんとしては優秀だからです』
「だけ、ですか」
『他にも有りますが、今はまだ赤ちゃんなので、皆さんには良く伝わらないのだと思います』
「犯罪者、ですよ」
『はい、なので言い過ぎる事を躊躇わずに済みますし、幾ら悲しい事を言っても罪悪感が湧かないので便利です』
《便利》
「成程、どうしても遠慮してしまいますか」
『はい、泣くより笑いたいです、笑って欲しいです』
子供には幾ばくか加虐性も有ると聞きますし。
真っ白な中で育てるよりは、確かに良いかも知れませんが。
明らかに執事君は不服そうですし。
実際、何故、どうしてを分からないと判断は難しい。
「私はあの場で起きた事の文字起こしだけを確認しましたが、アナタは詐欺師では」
《はい》
「私は男で嫌な目に遭った女です、何故、そんな事をしたのですか」
《弟を食わせる為、でした》
『綺麗な場所で綺麗に育ったので捨てられました』
「成程、完全に自業自得ですが、どうして善行で稼ごうとは思わなかったのでしょうか」
《全く、頭に無かった、手近で楽な仕事を選んだ》
「詐欺師たる者、良い様に言ってみて下さい」
《そうなる前に手を引くか、逃げる》
「成程、確かに学びは多いですが。もし向こうに戻り、償いが出来るなら、どうするつもりですか」
《少なくとも被害者には、被害者遺族には、金を返したい》
「マニュアルを売っていたそうですが、実際のアナタの被害者は居ますか」
《いや、訴えられたり刺されたら意味が無い、引き際や逃げる時期もしっかり書いた筈だった》
「ですが、被害者が出てしまった」
《出るとは思わなかった、だからこそ、どうしてそうなったのか良く覚えていない》
「ですが、何処に不備が有ったかは、予測が出来る筈」
《あぁ》
「なら詐欺師対策マニュアルを作って下さい、庶民用や貴族用、女性用に男性用にと。出来るだけ細かく、丁寧に、もしアナタの弟さんに教えるならと。そう作って下さい」
《あぁ》
『それで許してくれるんですか?』
「いいえ、ヒナちゃんのアンバーのお兄さん達の気持ちが良く分かりました、きっとお相手を認めるにはとても時間が掛かるでしょう」
『どうすれば受け入れてくれますか?』
可愛い。
ですが、絆される意味が無い。
「アナタに質問です」
《はい》
「本当にココに居たいですか」
途中で、やっぱり辛いから逃げます、死にます。
だなんてする位なら、多少は嫌われても。
《戻れるとしても、戻れないとしても、償いたい》
「何故、どうして」
《必要とされているから、もしかすれば、ヒナは被害者遺族かも知れな》
『それは大丈夫です、ウチとは無関係だとボティスに聞きました』
《そうか、良かった》
本気でホッとしている様に見えるけれど。
元は詐欺師。
寧ろ、どう信用すれば良いのか全く分からない。
「ヒナちゃんは、どうやって信じたのでしょうか」
『信じてはいませんが』
驚いてる。
《そうなのか》
『いつ、どうやって騙すのだろうとも思っています、期待も信頼もしていません』
ちょっと、落ち込んだ。
「つまり、ありのままを観察する為、そして兄としての素養を買っただけ。で、宜しいでしょうか」
『はい、私に家族を信頼すると言う基本は有りません、なのでコレから築くんです』
「なる、ほど」
『私の兄になるしか無いのですが、どうしても嫌であれば手放します、嫌なのに居て貰うのは嫌なので』
「被害者遺族では無いそうですし、他の道も有るのでは」
今なら、離別のダメージは低い筈。
出来るなら、逃げ出して欲しい。
腹黒い者が傍に居るのは構わないけれど、出来るなら、犯罪者は避けたい。
《一応、念の為に言いたいんだが》
「はい、何でしょう」
《俺は、訴えられていない》
「はぁ、犯罪者は訂正しますが」
《ヒナは機会をくれた、全て知った上で、償う機会をくれた。もう期待を裏切りたくない、それに最初から、誰かを傷付ける気も本当に無かったんだ》
「綺麗に稼いでた、と」
《ただ影響は全く考えていなかった、例え責められても、俺は弟を理由にしようとしていた》
『だから逃げられた、母親と同じです、言い訳や依存に使おうとした』
《あぁ、そうだな》
怒らず落ち込む。
確かに、責め甲斐は有る。
そうか、ヒナちゃんにも怒りが有って当然。
コレは八つ当たり、父親や大人への八つ当たりかも知れない。
「コレからもずっと、私も責めるかも知れませんが、覚悟は出来ていますね」
《あの痛みに比べたら、寧ろコレは妥当だ、しかも不条理でも何でも無い。正論、正しい意見、本来なら言われない様に生きるべきだった》
『はいそうです』
《あまりにも、当たり前が出来なかった、考えられなかった》
『ですが変わって下さい、アナタなら出来る筈です、大金を稼ぎ犯罪者にならなかった頭が有るんですから』
「ですが、最愛の弟に縁を切られた」
《アンタも加虐性癖持ちか》
「らしいですが、アナタには全く興味が無い」
《そっか、残念だな》
『ネネさんに手を出したら記憶を消して弟に良く似た可哀想な者達と一緒に戻します』
《それだけは絶対に止めてくれ、本当に》
『なら良い子にしていて下さい、ネネさんには既に相手が居ますから』
「相手、と言うか、まだ候補ですからね?」
『他に良い者が居ましたか?』
「いや、ある意味、こうした方の客だった者の被害者なので。まだ、度胸が、ですね」
『だそうですが』
《真実なら、本当にすまなかった、だが何が有ったんだ?》
「恋人にフラれ復縁を迫られ、内情を後で色々と知った程度です、さぞ薬指の棘以下でしょうね」
《アンタ、結構自由にさせてただろ》
「分かりますか」
《寧ろ自信が無く、見栄や見栄えにそう興味が無い女は気を付けろ、コッチの事がバレるか沼に嵌って刺しに来る。って教えてたんだが、アンタは違うか》
「はぁ、認めざるを得ませんね」
《分かった、マニュアルに関して受けさせてくれ、無職は気まずいしな》
『もう赤ちゃんを卒業ですか、残念です』
《コレねー、その国に居た者だけが語れるんだってー》
「だから追加でヒナ様だけ行く事になってるんだ」
『そうなんですね、ありがとうございます』
可哀想な王子様の物語に、続きが有ると言う事をすっかり忘れていました。
《それで、その、少し良いだろうか》
『はい』
《あー、デートだー》
「行ってらっしゃーい」
デート。
あぁ、そう言えば婚約を保留していましたね。
《それで、婚約の事なんだけれど》
『兄に何も動かないなら止めた方が良いと言われたので止めます、ありがとうございました』
《あ、その、もし僕に何か》
『いえ、相性が悪いのだと思います、全く何も揺れ動かないので』
ネネさんが離れてしまうかもと思うと、とても悲しい。
ジュリアやロミオでも同じ。
それにアズールにすら揺れ動くんですから。
何も動かないのは、私に必要が全く無いと言う事。
では、アンバーは。
アンバーはまだ、特に揺れ動かないんですが。
惜しい。
そんな気がします。
《そう》
『はい、では失礼します、補習を受けなくてはいけませんから』
《あ、ううん》
すっかり忘れていましたが、物語の続き、虹の国が気になるので。
『何故、記憶から抜けていたのでしょうか』
《んー、関わって欲しく無かったんじゃないかな》
だろうな。
こんな俺を手元に置いてるんだ、たった1人で親の不始末を何とかしようとしている奴に、ヒナが何もしないワケが無い。
『ジュリア、何故そう飄々としてらっしゃるのでしょうか』
《だって、確かに母国らしいけど、見ず知らずの国だもん》
『帰りたくは』
《無い、だって向こうに戻った時の方が借金を返すの大変そうなんだもん。無理無理、全く興味無い》
『あ、だから愚かな人種が嫌いなんでしょうか』
《んー、無関係では無いけど、重要じゃないかな。シルキーを傷付けた奴らが大嫌い、が殆どかな》
『お母さんみたいだから、ですよね』
《うん》
『で、お兄さんは、どうかな』
ヒナはどうやらネグレクトの家系で育ったらしい。
だからこそ、負い目しか無い。
もしかすれば、俺のせいでそうなった、かも知れない。
《俺なら、もう少し上手くやった》
『はい、そうでしょうね』
《何でこんな男を?》
『兄としては素晴らしいですから』
仕事で稼いだ事、自体は褒められる。
それに弟を立派に育てた事も、母親への復讐も。
掛け値なしに褒められる様な場所に居なかったせいで、正直、どう反応すれば良いのか分からない。
《はぁ、否定すると良さを語られる、どうしたら良い》
《本性を現せば良いじゃない、騙して怒られて捨てられちゃえば良いのに》
『したいですか』
《いや》
『する理由、かな』
『なら作りましょうか、コレから無一文になりますが』
《止めてくれ》
『何故』
《そりゃ苦労したくないから、でしょうねぇ》
《稼ぐのは構わない、ただもう、騙す事を生業にするつもりは無い》
《で、ご職業は》
ヒナの友人の司書、ジュリアはかなり意地が悪い。
いや、確かに大事な弟にこんな知り合いが出来たなら、俺でも警戒するが。
《君の恋人は》
『おっと、僕を同性だと思って頼ろうとはしないで欲しいな、君とは全く違う生き物なのだから』
「僕もです、行動原理は分かりますが、もっと良い事でも稼げた筈です。アナタは考える事を惜しみ、弟さんから認められる手段を敢えて手放した」
ヒナの執事には特に攻撃性が有る。
未だに俺を認めてはおらず、出来るなら排除しようと考えている。
ただ、表立って何かして来る事は無い。
《すまない、仰る通りで》
《で、ご職業は?》
『まだ赤ちゃんです、ココを知ったばかりなので無職でも大丈夫です』
ヒナが最も攻撃力が高い。
しかも、被害者遺族かも知れない。
何度、血反吐を吐きたくなったか。
『君が最も攻撃力が高い事を教えておくよ』
『あ、何がダメでしたか』
《追い打ちも完璧》
《すまん、プライドのせいだと思う》
『無用なプライドは単なる邪魔な石では』
《あぁ》
『お兄様は賢いので大丈夫です、直ぐに馴染んで何とか出来ます』
期待され、褒められ。
自分の良き兄になれと言われ。
《全く、前世の経験も知識も生かせない》
『そうですか、なら頑張って学ぶしか無いですね』
《あぁ》
単なる正論に攻撃力が有るのは、俺には弱点ばかりだからなのだろう。
死ぬ程の苦痛では無いが、結構、クるものが有る。
「何故」
《確かに、似てるな》
『確かに、似てると思います、でも真似をしているつもりは』
「待った、何故ですかヒナちゃん」
『お兄ちゃんとしては優秀だからです』
「だけ、ですか」
『他にも有りますが、今はまだ赤ちゃんなので、皆さんには良く伝わらないのだと思います』
「犯罪者、ですよ」
『はい、なので言い過ぎる事を躊躇わずに済みますし、幾ら悲しい事を言っても罪悪感が湧かないので便利です』
《便利》
「成程、どうしても遠慮してしまいますか」
『はい、泣くより笑いたいです、笑って欲しいです』
子供には幾ばくか加虐性も有ると聞きますし。
真っ白な中で育てるよりは、確かに良いかも知れませんが。
明らかに執事君は不服そうですし。
実際、何故、どうしてを分からないと判断は難しい。
「私はあの場で起きた事の文字起こしだけを確認しましたが、アナタは詐欺師では」
《はい》
「私は男で嫌な目に遭った女です、何故、そんな事をしたのですか」
《弟を食わせる為、でした》
『綺麗な場所で綺麗に育ったので捨てられました』
「成程、完全に自業自得ですが、どうして善行で稼ごうとは思わなかったのでしょうか」
《全く、頭に無かった、手近で楽な仕事を選んだ》
「詐欺師たる者、良い様に言ってみて下さい」
《そうなる前に手を引くか、逃げる》
「成程、確かに学びは多いですが。もし向こうに戻り、償いが出来るなら、どうするつもりですか」
《少なくとも被害者には、被害者遺族には、金を返したい》
「マニュアルを売っていたそうですが、実際のアナタの被害者は居ますか」
《いや、訴えられたり刺されたら意味が無い、引き際や逃げる時期もしっかり書いた筈だった》
「ですが、被害者が出てしまった」
《出るとは思わなかった、だからこそ、どうしてそうなったのか良く覚えていない》
「ですが、何処に不備が有ったかは、予測が出来る筈」
《あぁ》
「なら詐欺師対策マニュアルを作って下さい、庶民用や貴族用、女性用に男性用にと。出来るだけ細かく、丁寧に、もしアナタの弟さんに教えるならと。そう作って下さい」
《あぁ》
『それで許してくれるんですか?』
「いいえ、ヒナちゃんのアンバーのお兄さん達の気持ちが良く分かりました、きっとお相手を認めるにはとても時間が掛かるでしょう」
『どうすれば受け入れてくれますか?』
可愛い。
ですが、絆される意味が無い。
「アナタに質問です」
《はい》
「本当にココに居たいですか」
途中で、やっぱり辛いから逃げます、死にます。
だなんてする位なら、多少は嫌われても。
《戻れるとしても、戻れないとしても、償いたい》
「何故、どうして」
《必要とされているから、もしかすれば、ヒナは被害者遺族かも知れな》
『それは大丈夫です、ウチとは無関係だとボティスに聞きました』
《そうか、良かった》
本気でホッとしている様に見えるけれど。
元は詐欺師。
寧ろ、どう信用すれば良いのか全く分からない。
「ヒナちゃんは、どうやって信じたのでしょうか」
『信じてはいませんが』
驚いてる。
《そうなのか》
『いつ、どうやって騙すのだろうとも思っています、期待も信頼もしていません』
ちょっと、落ち込んだ。
「つまり、ありのままを観察する為、そして兄としての素養を買っただけ。で、宜しいでしょうか」
『はい、私に家族を信頼すると言う基本は有りません、なのでコレから築くんです』
「なる、ほど」
『私の兄になるしか無いのですが、どうしても嫌であれば手放します、嫌なのに居て貰うのは嫌なので』
「被害者遺族では無いそうですし、他の道も有るのでは」
今なら、離別のダメージは低い筈。
出来るなら、逃げ出して欲しい。
腹黒い者が傍に居るのは構わないけれど、出来るなら、犯罪者は避けたい。
《一応、念の為に言いたいんだが》
「はい、何でしょう」
《俺は、訴えられていない》
「はぁ、犯罪者は訂正しますが」
《ヒナは機会をくれた、全て知った上で、償う機会をくれた。もう期待を裏切りたくない、それに最初から、誰かを傷付ける気も本当に無かったんだ》
「綺麗に稼いでた、と」
《ただ影響は全く考えていなかった、例え責められても、俺は弟を理由にしようとしていた》
『だから逃げられた、母親と同じです、言い訳や依存に使おうとした』
《あぁ、そうだな》
怒らず落ち込む。
確かに、責め甲斐は有る。
そうか、ヒナちゃんにも怒りが有って当然。
コレは八つ当たり、父親や大人への八つ当たりかも知れない。
「コレからもずっと、私も責めるかも知れませんが、覚悟は出来ていますね」
《あの痛みに比べたら、寧ろコレは妥当だ、しかも不条理でも何でも無い。正論、正しい意見、本来なら言われない様に生きるべきだった》
『はいそうです』
《あまりにも、当たり前が出来なかった、考えられなかった》
『ですが変わって下さい、アナタなら出来る筈です、大金を稼ぎ犯罪者にならなかった頭が有るんですから』
「ですが、最愛の弟に縁を切られた」
《アンタも加虐性癖持ちか》
「らしいですが、アナタには全く興味が無い」
《そっか、残念だな》
『ネネさんに手を出したら記憶を消して弟に良く似た可哀想な者達と一緒に戻します』
《それだけは絶対に止めてくれ、本当に》
『なら良い子にしていて下さい、ネネさんには既に相手が居ますから』
「相手、と言うか、まだ候補ですからね?」
『他に良い者が居ましたか?』
「いや、ある意味、こうした方の客だった者の被害者なので。まだ、度胸が、ですね」
『だそうですが』
《真実なら、本当にすまなかった、だが何が有ったんだ?》
「恋人にフラれ復縁を迫られ、内情を後で色々と知った程度です、さぞ薬指の棘以下でしょうね」
《アンタ、結構自由にさせてただろ》
「分かりますか」
《寧ろ自信が無く、見栄や見栄えにそう興味が無い女は気を付けろ、コッチの事がバレるか沼に嵌って刺しに来る。って教えてたんだが、アンタは違うか》
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