37 / 40
第1章
33 偶然にも予定通り。
しおりを挟む
「はいどうぞ、ハーブティーですよ、大丈夫ですか」
『いえ、僕は、本当にクズだと思います』
「確かに脇の甘さが有りましたが、まさか知り合いからの菓子に睡眠薬が入っている等とは思わない、しかも図書室で盛られる等。そもそも睡眠薬の入手は非常に困難で、しかも本来なら未成年の所有は禁止、親は厳罰に処される。前代未聞だそうですし、お気になさらず」
『そこでは無いんです』
「と言いますと」
『アナタと知り合おうとも、分かり合おうとも、話し合おうともしなかった。戸惑い、躊躇うだけで』
「興味が無いなら仕方が無いでしょう、お気になさらず」
『僕に、一目惚れをしたんですよね?』
「そこまでは言い切れませんが、近い事は起こりましたけど、ローズ嬢の様になる程の熱量は有りませんよ」
『アナタは選べる立場なのに、どうして僕なんですか』
「選んだ上で君なんですが、文句が有る様なので引き下がりますよ」
『その程度なんですか』
「明らかに無理な相手を追い掛け続ける趣味は私には有りませんし、暇も無い。それとも、やっぱりローズ嬢の様に想われたいんですかね、男性も女性も、なら今でも引きずってらっしゃるのも頷けますね」
『僕は別に』
「学園にさえ通わなければ、それなりの関係が保てていた。アナタを愛している、としおらしく、可愛いらしく囁く女が良いんでしょう。皆さんそんなものですよ、結局は外見、か弱さ愛らしさ見目の良さ、外見には中身が滲み出るそうで。分かりますよ、自信が無い者は何だかんだ言ってもそうした女を選びますからね、自尊心を保ち優位性を感じられますから」
部分的には自覚が有る事も指摘され、直ぐに否定が出来なかった。
しかも呆れられた表情も相まって、それに酷く傷付いてしまって。
『確かに、ローズ嬢には同情する部分も共感する部分も有ります。初めて会った時、可愛らしい子だ、守らなければと思ったのは確かです。それと同時に自信も、そう有りませんでした、兄も彼女を好いていましたから』
けれど兄は気が多い。
彼女を守らなければ、しっかりしなければ、自分に気を向けて貰わなければと。
そして学園に入り、彼女の存在は確かに自慢でもありました。
けれど、それは直ぐに失意へと変わった。
あまりにも愚かで、手の施しようが無い。
早々に諦めてしまっていた、後は出来るだけ無難に、卒業か破棄が出来ればと。
「あの部屋は運気が悪いみたいですね」
『僕が関わっているからかも知れませんね』
イーライ君を閉じ込めたのも、浮気をされたのも、裸にされたのも全てあの部屋。
「で?」
『少なくとも自尊心を高められた、自信が持てた、優位性を感じられた事は有りません。本当に、出来れば、誰かに助けて欲しかった』
何を言っても嫉妬としか受け取られない。
惚気だと言って相手にされない。
辛かった。
本当は逃げ出したかった。
「カッコ付けたかったから、では」
『ですね、かも知れません、それこそイーライ君の様に走って追い掛けてでも良いから、行動すべきでした』
「ですが」
『味方は誰も居ない、大人は分かってくれない、そう視野狭窄が起きていたのだと思います』
「で、今は」
『まだ、怖いですね、恋愛だとか情愛、好かれる、好く事について非常に憶病です。だからこそ、アナタに迷惑を掛けるだけだと、そう認められなかったんです。認めてしまえば、以前の事を乗り越えられていないと認めるも同義ですから』
「結構酷い事が起きたんですし、そらそうなるでしょう」
『そう言って貰えて嬉しい反面、難しいですね、好意に同情が混ざっていて欲しく無いんですよ』
「でしょうね」
『ですけど、進み方が分からないんです。留まるか、後ろに下がるかで、身動きの取り方が分からない、その感覚に近いですね』
「バラしては?」
『僕は構いませんが、お相手が』
「そんな重要な相手にあんなヤベェ女を宛がうワケが無いじゃないですか、バカだなぁ君は」
『ふふふ、ですよね』
「陛下は常に国民の為を思っていらっしゃいます、後は、決めるのは国民ですよ」
『ご配慮に感謝し、甘えさせて頂きたいと思います』
知ってしまえば好いてしまうかも知れない。
そう無意識に、無自覚に進む事を拒絶し、戸惑い躊躇うだけだったのかも知れない。
《あ、ライアン、久し振りね》
ライアン君の元婚約者を学園に呼び出し、生徒達には決して騒ぐなと厳命し、茶番劇を繰り広げる事になった。
本来なら、生徒が散らばっていると言えど、公衆の面前では気を付ける筈。
が。
凄い、凄いな中世女子。
大勢の目が有るのに名で呼んだ後、ベタベタ触って。
『止めてくれないかな、僕には新しい婚約者が居るんだ』
《あ、そうなのね、ごめんなさい。でも、どちらにいらっしゃるの?》
あぁ、笑いそう、彼の斜め後ろに居ますよ。
周りは凄い凍り付いてるのがまたね、逆にヤバいわ。
『近くに居るのは勿論、本当に止めてくれないかな』
《確かに破棄はしたけれど、私達は幼馴染でしょ?》
はい、コレ悪しき見本な。
ダメだよ生徒諸君、幼馴染でも接触は御法度。
そして貴族だからこそ、この距離の近さも御法度。
『君はもう結婚している筈だよね』
で、既婚者が触るのも御法度。
もう完全にレッドカードですが。
《でも、私は、今でもアナタの事を、アナタもそうでしょう?》
周りが見えていない愚かさ。
若しくは敢えてなのか、どちらにしろ醜悪さにドン引きしてる令嬢が確認出来ている。
凄い、凄いぞ中世女子。
『いや、確かに君に浮気され破棄した。強がりに聞こえるかも知れないけれど、もう、あの時には既に僕は破棄するつもりだったんだ』
《どうして?どうして信じてくれないの?アレは浮気じゃなくて》
『婚約者以外と体を重ねるのは浮気と言うんだよ』
《でも私には気持ちは無かったの》
『だとしても、浮気は浮気なんだ。と言うか論点はそこじゃないんだ、君に気が有ったのは学園に入った直前まで。こうして既婚者なのにも関わらず、しかも僕の婚約者の前で僕に触る、こうした行動と同じ事をしていたから、僕の好意は直ぐに枯れた』
《そんな、騙していたの?》
『僕が僕を、自分自身を誤魔化していたけれど、婚約者としての立場や行動には沿っていたつもりだ。そこを逸脱したのは君だよ』
《でも、私はただ、アナタの為に皆と仲良く》
『だからと言って婚約者を持つ者と寝るのは有り得ない』
《どうしてそんなに不機嫌なの?》
『君が愚か過ぎて、婚約者に嫉妬すらされなさそうで不安で堪らないよ』
《じゃあ一緒になりましょう?》
凄い、トリプルアクセル越えて4回転半を2連続。
最早、人の壁を越え。
「心中、お察し、申し上げます」
『ほらもう、彼女が半笑いじゃないか』
《彼女?》
『彼女が僕の婚約者だ』
「はい、再々の申し出を無視し近衛班長の私の婚約者を触りまくる不貞行為、王侯貴族裁判所へ提訴させて頂きます。警備の方、宜しくお願い致します」
《そんな、ライアン》
『止めて下さい、と何度もお伝えしましたよね』
《ごめんなさい、でも私、アナタが婚約者だなんて》
「私が女かどうか、婚約者かどうか、今回はさしたる問題にはなりません。既婚者が婚約者の居る者に再三の注意を受けながらも身体接触を継続した事が問題なのです、証人はココに沢山。彼女の不貞行為を見た者は、手を挙げなさい」
雨後の筍の様に生え伸びる手。
うん、実に笑える。
《そんな、冗談よねライアン》
『いいえ、学園に入った時から僕は常に真面目に注意していました。貴族なのにも関わらず、婚約者が居る者に身体接触をし、果ては浮気し婚約破棄に至らしめた。今でも、全く、改善されていませんね』
「あ、庶民でもクソ、外道、下品な行為ですからね皆さん。分かりましたか」
『《「はい!」》』
「うん、宜しい」
《どうして虐めるの?》
「はい注目!コレが虐めに各当すると思う者は前へ!成績には影響しませんから大丈夫ですよ、さ、どうぞ」
《そうやって、私からライアンを奪っ》
「いつでもお返しは可能ですが、落とせるならどうぞどうぞ」
『それ僕が傷付くんですが』
《ライアン、こんな男か女か分からない人なんて婚約破棄しましょう、私、ずっと待ってたの》
『待っていたと言う割に数ヶ月前に出産したそうですが』
《それは、夫婦だから仕方無く》
『夫を愛して無かったんですか?』
《夫としては愛してるけど、大好きなのはアナタだけよ?》
すげぇ。
すげぇヤベェ女じゃん。
あ、真っ青じゃんライアン先輩。
布を振って合図しないと、マジで倒れそうだわ先輩。
「諸君!コレで悪しき見本の開示は終了だ。一見、劇に見えたかも知れないが、コレには打ち合わせも台本も無い。その証拠に、彼女の夫と家族を紹介しよう!」
『お前は』
《止めてあげて頂戴!》
『どう言う事ですかお義母さん!』
《あ、待ってライアン》
「待ってあげるかい?」
『絶対に嫌です』
俺みたいに、ちょっとした裏方は居るけど。
マジで台本も打ち合わせも無し。
生徒は学園の噴水広場に呼ばれて、好きな場所で待機してろって。
でガブリエラさんは皆の為にお菓子を配って歩いてて、上級者のライアン先輩が来て直ぐに、事が始まって。
マジで、打ち合わせが有るにしても、コレはもう。
「何すかアレ、ローズ嬢と違う意味でヤバい女じゃないっすか」
「まぁまぁ、世の中には色々な女性が居るって事だよ」
『君は稀有だとは分かってくれるだろうけれど、女性に失望しないでくれるかな』
「いや、まぁ、近しいのがコレですし」
「おう、なんせ私は良い女だからな」
『ですね、本当に。ですけど、反動で全く違う毛色を選んだ、と思われたく無いんですよね』
「マジでガブリエラさんで良いんですか?何か脅されてます?」
聞けって、ガブリエラさんが。
ライアン先輩が断れる様にって。
『ありがとうケント君。恩や反動では無く、彼女の良さから、一緒に居たいと思って婚約したんだ』
「何処が良いんすか?」
『強くて、変態な所かな』
「まぁ、運動に関しては明らかに変態っすけど」
『それに優しいし賢いし、僕を守ってくれる所かな』
「並みの貴族も令嬢も太刀打ち出来ないとは思いますけど」
『見目は確かにパッと見は男性だけれど、声も違うし、良く顔を見れば分かる筈だよ』
「確かに、可愛いとは言い難いですけど」
「将来の上司の顔面を査定をするな、このまま顔を握り潰すぞ」
「ひゃい」
『まぁ、君は範囲外だそうだけど、この位にしておくよ』
「取られる事は無いと思うんすけどねぇ」
『あんな女性が居たのにかい?』
「あぁ、確かに」
「ライアン君を送ってくるから、皆を教室に集めておきなさい、頼むよケント君」
「うーっす」
コレからイチャイチャ。
無いか。
生徒と教員だし。
あの人、規律にはクソ厳しいし。
『いえ、僕は、本当にクズだと思います』
「確かに脇の甘さが有りましたが、まさか知り合いからの菓子に睡眠薬が入っている等とは思わない、しかも図書室で盛られる等。そもそも睡眠薬の入手は非常に困難で、しかも本来なら未成年の所有は禁止、親は厳罰に処される。前代未聞だそうですし、お気になさらず」
『そこでは無いんです』
「と言いますと」
『アナタと知り合おうとも、分かり合おうとも、話し合おうともしなかった。戸惑い、躊躇うだけで』
「興味が無いなら仕方が無いでしょう、お気になさらず」
『僕に、一目惚れをしたんですよね?』
「そこまでは言い切れませんが、近い事は起こりましたけど、ローズ嬢の様になる程の熱量は有りませんよ」
『アナタは選べる立場なのに、どうして僕なんですか』
「選んだ上で君なんですが、文句が有る様なので引き下がりますよ」
『その程度なんですか』
「明らかに無理な相手を追い掛け続ける趣味は私には有りませんし、暇も無い。それとも、やっぱりローズ嬢の様に想われたいんですかね、男性も女性も、なら今でも引きずってらっしゃるのも頷けますね」
『僕は別に』
「学園にさえ通わなければ、それなりの関係が保てていた。アナタを愛している、としおらしく、可愛いらしく囁く女が良いんでしょう。皆さんそんなものですよ、結局は外見、か弱さ愛らしさ見目の良さ、外見には中身が滲み出るそうで。分かりますよ、自信が無い者は何だかんだ言ってもそうした女を選びますからね、自尊心を保ち優位性を感じられますから」
部分的には自覚が有る事も指摘され、直ぐに否定が出来なかった。
しかも呆れられた表情も相まって、それに酷く傷付いてしまって。
『確かに、ローズ嬢には同情する部分も共感する部分も有ります。初めて会った時、可愛らしい子だ、守らなければと思ったのは確かです。それと同時に自信も、そう有りませんでした、兄も彼女を好いていましたから』
けれど兄は気が多い。
彼女を守らなければ、しっかりしなければ、自分に気を向けて貰わなければと。
そして学園に入り、彼女の存在は確かに自慢でもありました。
けれど、それは直ぐに失意へと変わった。
あまりにも愚かで、手の施しようが無い。
早々に諦めてしまっていた、後は出来るだけ無難に、卒業か破棄が出来ればと。
「あの部屋は運気が悪いみたいですね」
『僕が関わっているからかも知れませんね』
イーライ君を閉じ込めたのも、浮気をされたのも、裸にされたのも全てあの部屋。
「で?」
『少なくとも自尊心を高められた、自信が持てた、優位性を感じられた事は有りません。本当に、出来れば、誰かに助けて欲しかった』
何を言っても嫉妬としか受け取られない。
惚気だと言って相手にされない。
辛かった。
本当は逃げ出したかった。
「カッコ付けたかったから、では」
『ですね、かも知れません、それこそイーライ君の様に走って追い掛けてでも良いから、行動すべきでした』
「ですが」
『味方は誰も居ない、大人は分かってくれない、そう視野狭窄が起きていたのだと思います』
「で、今は」
『まだ、怖いですね、恋愛だとか情愛、好かれる、好く事について非常に憶病です。だからこそ、アナタに迷惑を掛けるだけだと、そう認められなかったんです。認めてしまえば、以前の事を乗り越えられていないと認めるも同義ですから』
「結構酷い事が起きたんですし、そらそうなるでしょう」
『そう言って貰えて嬉しい反面、難しいですね、好意に同情が混ざっていて欲しく無いんですよ』
「でしょうね」
『ですけど、進み方が分からないんです。留まるか、後ろに下がるかで、身動きの取り方が分からない、その感覚に近いですね』
「バラしては?」
『僕は構いませんが、お相手が』
「そんな重要な相手にあんなヤベェ女を宛がうワケが無いじゃないですか、バカだなぁ君は」
『ふふふ、ですよね』
「陛下は常に国民の為を思っていらっしゃいます、後は、決めるのは国民ですよ」
『ご配慮に感謝し、甘えさせて頂きたいと思います』
知ってしまえば好いてしまうかも知れない。
そう無意識に、無自覚に進む事を拒絶し、戸惑い躊躇うだけだったのかも知れない。
《あ、ライアン、久し振りね》
ライアン君の元婚約者を学園に呼び出し、生徒達には決して騒ぐなと厳命し、茶番劇を繰り広げる事になった。
本来なら、生徒が散らばっていると言えど、公衆の面前では気を付ける筈。
が。
凄い、凄いな中世女子。
大勢の目が有るのに名で呼んだ後、ベタベタ触って。
『止めてくれないかな、僕には新しい婚約者が居るんだ』
《あ、そうなのね、ごめんなさい。でも、どちらにいらっしゃるの?》
あぁ、笑いそう、彼の斜め後ろに居ますよ。
周りは凄い凍り付いてるのがまたね、逆にヤバいわ。
『近くに居るのは勿論、本当に止めてくれないかな』
《確かに破棄はしたけれど、私達は幼馴染でしょ?》
はい、コレ悪しき見本な。
ダメだよ生徒諸君、幼馴染でも接触は御法度。
そして貴族だからこそ、この距離の近さも御法度。
『君はもう結婚している筈だよね』
で、既婚者が触るのも御法度。
もう完全にレッドカードですが。
《でも、私は、今でもアナタの事を、アナタもそうでしょう?》
周りが見えていない愚かさ。
若しくは敢えてなのか、どちらにしろ醜悪さにドン引きしてる令嬢が確認出来ている。
凄い、凄いぞ中世女子。
『いや、確かに君に浮気され破棄した。強がりに聞こえるかも知れないけれど、もう、あの時には既に僕は破棄するつもりだったんだ』
《どうして?どうして信じてくれないの?アレは浮気じゃなくて》
『婚約者以外と体を重ねるのは浮気と言うんだよ』
《でも私には気持ちは無かったの》
『だとしても、浮気は浮気なんだ。と言うか論点はそこじゃないんだ、君に気が有ったのは学園に入った直前まで。こうして既婚者なのにも関わらず、しかも僕の婚約者の前で僕に触る、こうした行動と同じ事をしていたから、僕の好意は直ぐに枯れた』
《そんな、騙していたの?》
『僕が僕を、自分自身を誤魔化していたけれど、婚約者としての立場や行動には沿っていたつもりだ。そこを逸脱したのは君だよ』
《でも、私はただ、アナタの為に皆と仲良く》
『だからと言って婚約者を持つ者と寝るのは有り得ない』
《どうしてそんなに不機嫌なの?》
『君が愚か過ぎて、婚約者に嫉妬すらされなさそうで不安で堪らないよ』
《じゃあ一緒になりましょう?》
凄い、トリプルアクセル越えて4回転半を2連続。
最早、人の壁を越え。
「心中、お察し、申し上げます」
『ほらもう、彼女が半笑いじゃないか』
《彼女?》
『彼女が僕の婚約者だ』
「はい、再々の申し出を無視し近衛班長の私の婚約者を触りまくる不貞行為、王侯貴族裁判所へ提訴させて頂きます。警備の方、宜しくお願い致します」
《そんな、ライアン》
『止めて下さい、と何度もお伝えしましたよね』
《ごめんなさい、でも私、アナタが婚約者だなんて》
「私が女かどうか、婚約者かどうか、今回はさしたる問題にはなりません。既婚者が婚約者の居る者に再三の注意を受けながらも身体接触を継続した事が問題なのです、証人はココに沢山。彼女の不貞行為を見た者は、手を挙げなさい」
雨後の筍の様に生え伸びる手。
うん、実に笑える。
《そんな、冗談よねライアン》
『いいえ、学園に入った時から僕は常に真面目に注意していました。貴族なのにも関わらず、婚約者が居る者に身体接触をし、果ては浮気し婚約破棄に至らしめた。今でも、全く、改善されていませんね』
「あ、庶民でもクソ、外道、下品な行為ですからね皆さん。分かりましたか」
『《「はい!」》』
「うん、宜しい」
《どうして虐めるの?》
「はい注目!コレが虐めに各当すると思う者は前へ!成績には影響しませんから大丈夫ですよ、さ、どうぞ」
《そうやって、私からライアンを奪っ》
「いつでもお返しは可能ですが、落とせるならどうぞどうぞ」
『それ僕が傷付くんですが』
《ライアン、こんな男か女か分からない人なんて婚約破棄しましょう、私、ずっと待ってたの》
『待っていたと言う割に数ヶ月前に出産したそうですが』
《それは、夫婦だから仕方無く》
『夫を愛して無かったんですか?』
《夫としては愛してるけど、大好きなのはアナタだけよ?》
すげぇ。
すげぇヤベェ女じゃん。
あ、真っ青じゃんライアン先輩。
布を振って合図しないと、マジで倒れそうだわ先輩。
「諸君!コレで悪しき見本の開示は終了だ。一見、劇に見えたかも知れないが、コレには打ち合わせも台本も無い。その証拠に、彼女の夫と家族を紹介しよう!」
『お前は』
《止めてあげて頂戴!》
『どう言う事ですかお義母さん!』
《あ、待ってライアン》
「待ってあげるかい?」
『絶対に嫌です』
俺みたいに、ちょっとした裏方は居るけど。
マジで台本も打ち合わせも無し。
生徒は学園の噴水広場に呼ばれて、好きな場所で待機してろって。
でガブリエラさんは皆の為にお菓子を配って歩いてて、上級者のライアン先輩が来て直ぐに、事が始まって。
マジで、打ち合わせが有るにしても、コレはもう。
「何すかアレ、ローズ嬢と違う意味でヤバい女じゃないっすか」
「まぁまぁ、世の中には色々な女性が居るって事だよ」
『君は稀有だとは分かってくれるだろうけれど、女性に失望しないでくれるかな』
「いや、まぁ、近しいのがコレですし」
「おう、なんせ私は良い女だからな」
『ですね、本当に。ですけど、反動で全く違う毛色を選んだ、と思われたく無いんですよね』
「マジでガブリエラさんで良いんですか?何か脅されてます?」
聞けって、ガブリエラさんが。
ライアン先輩が断れる様にって。
『ありがとうケント君。恩や反動では無く、彼女の良さから、一緒に居たいと思って婚約したんだ』
「何処が良いんすか?」
『強くて、変態な所かな』
「まぁ、運動に関しては明らかに変態っすけど」
『それに優しいし賢いし、僕を守ってくれる所かな』
「並みの貴族も令嬢も太刀打ち出来ないとは思いますけど」
『見目は確かにパッと見は男性だけれど、声も違うし、良く顔を見れば分かる筈だよ』
「確かに、可愛いとは言い難いですけど」
「将来の上司の顔面を査定をするな、このまま顔を握り潰すぞ」
「ひゃい」
『まぁ、君は範囲外だそうだけど、この位にしておくよ』
「取られる事は無いと思うんすけどねぇ」
『あんな女性が居たのにかい?』
「あぁ、確かに」
「ライアン君を送ってくるから、皆を教室に集めておきなさい、頼むよケント君」
「うーっす」
コレからイチャイチャ。
無いか。
生徒と教員だし。
あの人、規律にはクソ厳しいし。
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる