17 / 100
17 ご報告。
しおりを挟む
「すみません、大変お待たせしました」
『良いのよ、慣れない場所で慣れない事が多いでしょう、悩まれて当然だわ』
「はい、ですので慣れようかと思います、娼館で」
『まぁ、ふふふ、好き。潔いのね』
「習うより慣れろ、そうした格言も有りますので」
《試してガッ、と、慣れようかと》
『ふふふ、では今日、もう行かれるのかしら?』
「はい、直ぐにでも、陰謀や策略に巻き込まれたく無いので」
『もう巻き込まれているかも知れないわよ?』
「既にそのつもりで居ます」
『ふふふ、良い度胸、ただ護衛は付けさせて頂戴ね?建物の周囲に、周りに分からない様に、帝国の護衛をね。だから、アナタ達も建物の中に居て頂戴、良いわね?』
『分かりました』
《はい、畏まりました》
『では、移動魔法陣の前までご案内するわね』
『はい』
恋人でも無いし、法に引っ掛かる事でも無いのに。
彼らが酷く落ち込んでいるの
様子を見て、非常に心の引っ掛かりを覚えた。
嫌なのは分かる。
好きな人に風俗に行かれたら嫌なのは、良く分かる。
でも、じゃあ、どうすれば良いのか。
全くもって打開策が見当たらない。
何故なら彼らの中身を知らない、知る機会が無いからだ。
彼らが私を好きだと言っている様に、元恋人を好きだった。
けれど、思っていた人物像とは全く違った。
しかもココには、周囲には彼らの味方しか居ない、聞いたとて悪評は聞けないだろう。
そしてココにはネットが無い、暴けない。
例え日記が有ったとしても、ハニトラ要員に選ばれたのだから、その中身すら偽装している可能性が有る。
では、言っている事は嘘なのか。
それは違う、言っている事は真実では有る。
けれども、質問が曖昧であったり、自覚が無ければ網に掛からない。
『あら、迷っているの?』
魔法陣の前で、殿下とルーイ氏が立ち止まったまま。
けれど、陛下の問い掛けはコチラへと向いていた。
「すみません」
『娼館を利用する者は様々だわ、けれど、それを誰かに無理に理解して貰う必要は無いと思うの。同じ傷、深さでも治り方は其々、癒し方も其々で良い筈よね?』
「はい」
『大丈夫、気乗りしなければ添い寝だけ、お話し合いだけでも良いのだもの。大丈夫、アナタはココでもちゃんと愛される子よ、良い子だわ』
「ありがとうございます」
『アナタ達、傷薬が何なら納得するのかしら?淑やかに刺繡でもすれば満足なの?それともアナタ達の為に、お料理、かしら?彼女がしたい事を笑顔で送り出せないのなら、さっさと諦めなさい、それともアナタ達に愛の形を決める権利が有るのかしら。違うわよね、けれどどうしても型に嵌めた愛が欲しいなら、他を選びなさい?』
正論だ、ぐうの音も出ない程。
けれど、受け入れ難いのも分かる、でもそれは本当に好意だけなのか。
帝国の手から漏れ出てしまう懸念は、全く無いのか。
『警護を、手配させて頂きます』
『では、どうぞ、お使い下さい』
そうして殿下が魔法陣で城へ先触れとして向かい。
警護隊はそのまま娼館に1番近い警備拠点へと転移後、コチラは少し間を置き、魔法陣を使いそのまま娼館へ行く事になった。
「ありがとうございます」
『また、ね、次は感想を聞かせて頂戴ね?』
「はい」
『ふふふ、では楽しんで、スズランにミモザ』
《はーい、ありがとうございました》
何だか、憂鬱で出来る気がしないかも。
《どっちに決定権が有るか、どっちを重要視すべきか、全然見抜かれちゃってたよねぇ》
「流石、この国のトップだと思う」
娼館の待合室に着いても、気は晴れないまま。
仮初めの婚約者は要るけれど、表だって公表はされてはいない、破棄してもお互いに実害は無い。
悪い事では無い筈なのに。
どうしても、罪悪感が湧き続けてしまう。
《憂鬱そう》
「仔犬を見捨てた気分」
《風俗も行かれてた?》
「デリってた」
《おぅ》
「本当、何で、しか思い浮かば」
『ネネ』
《僕が女の子になるからさ?ダメ?》
いきなり2人が現れたかと思うと、ルーイ氏が足元に縋り付いて。
「えっ?」
《考えたんだけど、男で女を体験したいなら、別に僕でも良いワケだよね?》
《凄い度胸だけど、痛いかもなんだよ?それこそルーイさんが女の子になっても、反応しないかもだし》
《そこはほら、同性の強みで何とかする》
「ちょっと、待って欲しい、ちょっと頭が真っ白で」
《お、チャンスだぞ殿下》
『俺も、先ずは要望に応えさせて欲しい』
「待った待った、言い方を考えるから待って」
《ダメー、猫被り無しにしようよ、フるにも良いチャンスなんだし》
「どうかしてる、必死過ぎて陰謀や計略を疑う、あたおか」
《確かに、分かる、好きで必死なのか政略的に必死なのか区別が》
《本当に好きなだけだよネネ》
「娼館で、告白」
《確かに、でもネネちゃんを手元に置く利しか無いんじゃない?》
『損は無い、けれど例え利が無くても』
「料理も家事もしないで、一切働かず国の為に何も動かないで良いって言われても、それはそれでちょっと嫌かも」
《確かに、でも向こうと価値観も違うし。あ、アレか、廃嫡されたらそうなっちゃうのか》
「何それ、それこそプレッシャーしか無いんですけど」
《ほら》
「いや真面目に考えて廃嫡は、廃嫡されてどう生きるのよ」
『ネネに、付いて行こうかと』
「主体性が無さ過ぎる」
《したい事とか、なりたかったモノとかについて語った事は?》
『いや』
《失礼致します》
「あ、カイル様、お世話になります」
《いえ、部屋の確認を完了致しましたので、後はご自由にお過ごし下さいとの事ですが》
「カイル様はどう思いますか」
《女体となって男の体を体験してみたいですか?》
《いえ、自分は異性愛者ですので、かなり条件が揃わないと難しいかと》
《例えば?》
《好みの女性の様な姿で尚、見てみた際にどうなるか、かと》
《興味が有るんだけど変?》
《いえ、違いに興味が湧いて当然かと、俺も空を飛べたらと思いますので》
《成程》
つまり、空を飛ぶ事と同じ程度、なんだろうか。
《後は、何か》
《ううん、ありがとうございました、警備の方宜しくお願いします》
《はい、では、失礼致します》
ダメだ、頭が真っ白のままで、上手く言葉が取り繕えない。
どうしたら良いのか、凄い、迷ってる。
《よーし、じゃあ私は女の子選んで来るから》
「へっ」
《ガンバっ》
「えっ、いや、待っ」
いや、うん、あそこまで覚悟してたらもうね。
後はもうネネちゃん次第、それに、したら絶対に結婚では無いんだし。
あ、ココ凄い。
可愛い子とか綺麗とか、え、何。
凄いクオリティ揃いなんですけど。
えっ、何、世の男子はこんなワクワク楽しい事独占してたの?
え、ズルいんですけど。
あー、どうしよう。
迷う、超迷う。
《あー、コレが男になったら相手してくれる方ー、挙手をー》
えっ、結構居る。
どうしよう、モテた気になちゃうな。
ヤバい、ハマったらどうしよう。
「あの、責任を取るつもりが全く」
《うん、レオンハルトならまだ良いけど、他は本当に嫌だ》
「いや、にしても、知り合いを避けたいからこそで」
《お願い、他のに触れないで》
いや、分かるけど。
けど、いや。
「そうなって、やっぱり無理ってなったら」
《絶対にならない》
「子供じゃ無いんだから」
《それはネネの方だよ、ダメならちゃんと大人しくする。ね?良いでしょ?》
まぁ、それこそ自分で確認しても萎えるかも知れない。
見てみない事には、先を考えられないワケで。
「分かった、部屋に有る魔道具を使ってみて、それからまた話し合いましょう」
《うん》
「折角ですし手間を省きたいので、来ますか」
《僕は良いけど》
『同席、させて貰う』
そして待合室と言う名の応接室を出ると、絶妙な音量バランスで嬌声が耳に入った。
コレが誘い水になるんだろうか、と、そう思いつつ空き部屋に入ると。
クイーンサイズのベッド。
お城のってシングルだったので、つい、うっかり。
良いクッション。
中身はどうなっているんだろうか。
『ネネ』
「あ、失礼、つい癖で」
急いで起き上がり、魔道具が仕舞われている筈の箱へ。
そして開けると。
ハンコらしき何かと、ガラスの器、それと紫色の液体の入った小瓶。
《ネネ?読もうか?》
「あ、あぁ、お願いします」
箱の裏蓋に説明書きが彫られており、ルーイ氏に音読して貰う事に。
《液体をガラス容器の内側の線まで入れ、インクが染み込むまで判を浸します》
「はい」
《5秒待ちインクを吸い上げた事を確認後、腰か下腹部へ。自然に乾かし終えた頃には、変化しています》
そして急いで乾かすと苦痛を伴う為、非推奨だとも。
「ほう」
《尚、浴室の専用石鹸を使えば直ぐに落ちますが、自然に落ちるまでお楽しみ頂く事も可能です》
ただ元に戻るのは、落とし終えてから約3時間掛かるそうで、眠る前に落とす場合が多いらしい。
「そうか、コレで2号ちゃん落とせば良いのか」
《ネネ、先ずは僕らと試そう?》
「あぁ、うん、じゃあ先ずはルーイからで」
《あ、お風呂良い?》
「あぁ、どうぞ」
《うん》
あ、コレ、凄い気まずい。
「あの、殿下」
『すまない、快く送り出せなかった』
「いや、お気持ちは分かりますので、お気になさらず」
『ネネも、こうした思いをした事が』
「はい、事後で、後から知りました」
『そうか』
「あの、なりたかった、したかった事って何か有りますか」
『無い、この役目についても知っていた、いずれ政略結婚するだろう事も。騎士や学者、そうした者になりたいとは、思いもしなかった』
似ているのが、何だか悔しい。
けれど似た者同士惹かれ合ったと思ったのに、あんな風に失敗したし。
「ルーイ様の誘い水無しで、もし浮気されていたら。一線を越える程の好意が裏切られたら、今でもそうしていられましたか」
『いや。ただ、ネネに対してもう少し、愚かしい行為を慎めていたのではと思う』
「アナタが私を好きな様に、私は恋人が好きでした。酷い男だと知らずに、良い人だと思っていました」
もっと嘘を見抜こうとしていれば、もっと何かに気付けたんじゃないか。
信用し過ぎず、常に冷静に好意を疑い、見極める為にもっと知識や経験が有れば。
『ネネは、選ぶ所から苦労していた。なのに俺は、選んで貰った相手を大切にしていたつもりで、ただ避けていただけなんじゃないかと思う』
「どうして、そうなったんでしょうか」
『正直、面倒だった』
『良いのよ、慣れない場所で慣れない事が多いでしょう、悩まれて当然だわ』
「はい、ですので慣れようかと思います、娼館で」
『まぁ、ふふふ、好き。潔いのね』
「習うより慣れろ、そうした格言も有りますので」
《試してガッ、と、慣れようかと》
『ふふふ、では今日、もう行かれるのかしら?』
「はい、直ぐにでも、陰謀や策略に巻き込まれたく無いので」
『もう巻き込まれているかも知れないわよ?』
「既にそのつもりで居ます」
『ふふふ、良い度胸、ただ護衛は付けさせて頂戴ね?建物の周囲に、周りに分からない様に、帝国の護衛をね。だから、アナタ達も建物の中に居て頂戴、良いわね?』
『分かりました』
《はい、畏まりました》
『では、移動魔法陣の前までご案内するわね』
『はい』
恋人でも無いし、法に引っ掛かる事でも無いのに。
彼らが酷く落ち込んでいるの
様子を見て、非常に心の引っ掛かりを覚えた。
嫌なのは分かる。
好きな人に風俗に行かれたら嫌なのは、良く分かる。
でも、じゃあ、どうすれば良いのか。
全くもって打開策が見当たらない。
何故なら彼らの中身を知らない、知る機会が無いからだ。
彼らが私を好きだと言っている様に、元恋人を好きだった。
けれど、思っていた人物像とは全く違った。
しかもココには、周囲には彼らの味方しか居ない、聞いたとて悪評は聞けないだろう。
そしてココにはネットが無い、暴けない。
例え日記が有ったとしても、ハニトラ要員に選ばれたのだから、その中身すら偽装している可能性が有る。
では、言っている事は嘘なのか。
それは違う、言っている事は真実では有る。
けれども、質問が曖昧であったり、自覚が無ければ網に掛からない。
『あら、迷っているの?』
魔法陣の前で、殿下とルーイ氏が立ち止まったまま。
けれど、陛下の問い掛けはコチラへと向いていた。
「すみません」
『娼館を利用する者は様々だわ、けれど、それを誰かに無理に理解して貰う必要は無いと思うの。同じ傷、深さでも治り方は其々、癒し方も其々で良い筈よね?』
「はい」
『大丈夫、気乗りしなければ添い寝だけ、お話し合いだけでも良いのだもの。大丈夫、アナタはココでもちゃんと愛される子よ、良い子だわ』
「ありがとうございます」
『アナタ達、傷薬が何なら納得するのかしら?淑やかに刺繡でもすれば満足なの?それともアナタ達の為に、お料理、かしら?彼女がしたい事を笑顔で送り出せないのなら、さっさと諦めなさい、それともアナタ達に愛の形を決める権利が有るのかしら。違うわよね、けれどどうしても型に嵌めた愛が欲しいなら、他を選びなさい?』
正論だ、ぐうの音も出ない程。
けれど、受け入れ難いのも分かる、でもそれは本当に好意だけなのか。
帝国の手から漏れ出てしまう懸念は、全く無いのか。
『警護を、手配させて頂きます』
『では、どうぞ、お使い下さい』
そうして殿下が魔法陣で城へ先触れとして向かい。
警護隊はそのまま娼館に1番近い警備拠点へと転移後、コチラは少し間を置き、魔法陣を使いそのまま娼館へ行く事になった。
「ありがとうございます」
『また、ね、次は感想を聞かせて頂戴ね?』
「はい」
『ふふふ、では楽しんで、スズランにミモザ』
《はーい、ありがとうございました》
何だか、憂鬱で出来る気がしないかも。
《どっちに決定権が有るか、どっちを重要視すべきか、全然見抜かれちゃってたよねぇ》
「流石、この国のトップだと思う」
娼館の待合室に着いても、気は晴れないまま。
仮初めの婚約者は要るけれど、表だって公表はされてはいない、破棄してもお互いに実害は無い。
悪い事では無い筈なのに。
どうしても、罪悪感が湧き続けてしまう。
《憂鬱そう》
「仔犬を見捨てた気分」
《風俗も行かれてた?》
「デリってた」
《おぅ》
「本当、何で、しか思い浮かば」
『ネネ』
《僕が女の子になるからさ?ダメ?》
いきなり2人が現れたかと思うと、ルーイ氏が足元に縋り付いて。
「えっ?」
《考えたんだけど、男で女を体験したいなら、別に僕でも良いワケだよね?》
《凄い度胸だけど、痛いかもなんだよ?それこそルーイさんが女の子になっても、反応しないかもだし》
《そこはほら、同性の強みで何とかする》
「ちょっと、待って欲しい、ちょっと頭が真っ白で」
《お、チャンスだぞ殿下》
『俺も、先ずは要望に応えさせて欲しい』
「待った待った、言い方を考えるから待って」
《ダメー、猫被り無しにしようよ、フるにも良いチャンスなんだし》
「どうかしてる、必死過ぎて陰謀や計略を疑う、あたおか」
《確かに、分かる、好きで必死なのか政略的に必死なのか区別が》
《本当に好きなだけだよネネ》
「娼館で、告白」
《確かに、でもネネちゃんを手元に置く利しか無いんじゃない?》
『損は無い、けれど例え利が無くても』
「料理も家事もしないで、一切働かず国の為に何も動かないで良いって言われても、それはそれでちょっと嫌かも」
《確かに、でも向こうと価値観も違うし。あ、アレか、廃嫡されたらそうなっちゃうのか》
「何それ、それこそプレッシャーしか無いんですけど」
《ほら》
「いや真面目に考えて廃嫡は、廃嫡されてどう生きるのよ」
『ネネに、付いて行こうかと』
「主体性が無さ過ぎる」
《したい事とか、なりたかったモノとかについて語った事は?》
『いや』
《失礼致します》
「あ、カイル様、お世話になります」
《いえ、部屋の確認を完了致しましたので、後はご自由にお過ごし下さいとの事ですが》
「カイル様はどう思いますか」
《女体となって男の体を体験してみたいですか?》
《いえ、自分は異性愛者ですので、かなり条件が揃わないと難しいかと》
《例えば?》
《好みの女性の様な姿で尚、見てみた際にどうなるか、かと》
《興味が有るんだけど変?》
《いえ、違いに興味が湧いて当然かと、俺も空を飛べたらと思いますので》
《成程》
つまり、空を飛ぶ事と同じ程度、なんだろうか。
《後は、何か》
《ううん、ありがとうございました、警備の方宜しくお願いします》
《はい、では、失礼致します》
ダメだ、頭が真っ白のままで、上手く言葉が取り繕えない。
どうしたら良いのか、凄い、迷ってる。
《よーし、じゃあ私は女の子選んで来るから》
「へっ」
《ガンバっ》
「えっ、いや、待っ」
いや、うん、あそこまで覚悟してたらもうね。
後はもうネネちゃん次第、それに、したら絶対に結婚では無いんだし。
あ、ココ凄い。
可愛い子とか綺麗とか、え、何。
凄いクオリティ揃いなんですけど。
えっ、何、世の男子はこんなワクワク楽しい事独占してたの?
え、ズルいんですけど。
あー、どうしよう。
迷う、超迷う。
《あー、コレが男になったら相手してくれる方ー、挙手をー》
えっ、結構居る。
どうしよう、モテた気になちゃうな。
ヤバい、ハマったらどうしよう。
「あの、責任を取るつもりが全く」
《うん、レオンハルトならまだ良いけど、他は本当に嫌だ》
「いや、にしても、知り合いを避けたいからこそで」
《お願い、他のに触れないで》
いや、分かるけど。
けど、いや。
「そうなって、やっぱり無理ってなったら」
《絶対にならない》
「子供じゃ無いんだから」
《それはネネの方だよ、ダメならちゃんと大人しくする。ね?良いでしょ?》
まぁ、それこそ自分で確認しても萎えるかも知れない。
見てみない事には、先を考えられないワケで。
「分かった、部屋に有る魔道具を使ってみて、それからまた話し合いましょう」
《うん》
「折角ですし手間を省きたいので、来ますか」
《僕は良いけど》
『同席、させて貰う』
そして待合室と言う名の応接室を出ると、絶妙な音量バランスで嬌声が耳に入った。
コレが誘い水になるんだろうか、と、そう思いつつ空き部屋に入ると。
クイーンサイズのベッド。
お城のってシングルだったので、つい、うっかり。
良いクッション。
中身はどうなっているんだろうか。
『ネネ』
「あ、失礼、つい癖で」
急いで起き上がり、魔道具が仕舞われている筈の箱へ。
そして開けると。
ハンコらしき何かと、ガラスの器、それと紫色の液体の入った小瓶。
《ネネ?読もうか?》
「あ、あぁ、お願いします」
箱の裏蓋に説明書きが彫られており、ルーイ氏に音読して貰う事に。
《液体をガラス容器の内側の線まで入れ、インクが染み込むまで判を浸します》
「はい」
《5秒待ちインクを吸い上げた事を確認後、腰か下腹部へ。自然に乾かし終えた頃には、変化しています》
そして急いで乾かすと苦痛を伴う為、非推奨だとも。
「ほう」
《尚、浴室の専用石鹸を使えば直ぐに落ちますが、自然に落ちるまでお楽しみ頂く事も可能です》
ただ元に戻るのは、落とし終えてから約3時間掛かるそうで、眠る前に落とす場合が多いらしい。
「そうか、コレで2号ちゃん落とせば良いのか」
《ネネ、先ずは僕らと試そう?》
「あぁ、うん、じゃあ先ずはルーイからで」
《あ、お風呂良い?》
「あぁ、どうぞ」
《うん》
あ、コレ、凄い気まずい。
「あの、殿下」
『すまない、快く送り出せなかった』
「いや、お気持ちは分かりますので、お気になさらず」
『ネネも、こうした思いをした事が』
「はい、事後で、後から知りました」
『そうか』
「あの、なりたかった、したかった事って何か有りますか」
『無い、この役目についても知っていた、いずれ政略結婚するだろう事も。騎士や学者、そうした者になりたいとは、思いもしなかった』
似ているのが、何だか悔しい。
けれど似た者同士惹かれ合ったと思ったのに、あんな風に失敗したし。
「ルーイ様の誘い水無しで、もし浮気されていたら。一線を越える程の好意が裏切られたら、今でもそうしていられましたか」
『いや。ただ、ネネに対してもう少し、愚かしい行為を慎めていたのではと思う』
「アナタが私を好きな様に、私は恋人が好きでした。酷い男だと知らずに、良い人だと思っていました」
もっと嘘を見抜こうとしていれば、もっと何かに気付けたんじゃないか。
信用し過ぎず、常に冷静に好意を疑い、見極める為にもっと知識や経験が有れば。
『ネネは、選ぶ所から苦労していた。なのに俺は、選んで貰った相手を大切にしていたつもりで、ただ避けていただけなんじゃないかと思う』
「どうして、そうなったんでしょうか」
『正直、面倒だった』
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる