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驚愕
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気付くと、天井を見つめていた。
何でここにいるんだ?そんなことをボンヤリ考えながら天井を眺める。
額と髪にはべっとりと汗が流れて、身体に張り付いたTシャツが不快指数を上げていた。
俺今何歳だっけ?
さっきの出来事が夢だと気付かされるのに少し時間がかかった。
携帯電話で時間を確認すると起床時間の5分前だった。
一度大きく溜息をつくと、全身を脱力感が覆う。疲れが全くとれない。
今日も深夜まで仕事だと思うと更に気持ちが重くなった。
仕事なんか辞めてしまおうか。
寝起きが悪いせいか、毎朝自問自答をしてしまう。
遥の夢を見るのはこれが初めてではない。私は遥と別れてから10年近く経った今でも彼女を忘れることができないのだ。
未練の塊が夢という形で具現化される。何てメソメソした性格なんだろう。自分の性格に嫌気がさす。
夢の中の月野遥はいつも中学生のままだ。
私の中で彼女は永遠に中学生なのだろう。成長した彼女を見ていないので、大人になった遥を想像できないのは当然のことだろう。
思春期の後悔の呪縛から今だに抜けきれない自分が惨めで仕方なかった。
上半身を起こしてもう一度大きな溜息を出す。
寝室の扉の奥から小さな物音がした。水の流れる音や食器が擦れる音が微かに聞こえる
。琴音が来てくれているのだ。
彼女は大学卒業に必要な単位は3年生までにほとんど取り終え、週一、二回程度しか大学には行っていないはずだ。
私が逆の立場だったら、食事や掃除、洗濯のためだけにこんな早い時間に起きることはあり得ない。しっかりし過ぎている。扉を開けてトイレに入った後、あくびをしながら挨拶をする。
「おはようございます」
キッチンで料理を作っているのだろう。
彼女の姿は見えないが、声だけが返ってきた。
私はテーブルに座るとテレビを点けてニュースを見る。
すぐにキッチンから足音が近づいてくると、私の前で止まってご飯とみそ汁、それに目玉焼きを置いてくれた。
「ありがとう」
寝起きで整理のつかない脳みそを働かせるため、みそ汁を飲もうとすると彼女の後ろ姿が視界に入った。
ん?うん?
彼女がキッチンに戻るため横向きになった途端、驚愕してお椀を滑らしてしまい、みそ汁を派手にこぼしてしまった。
テーブルに落ちたみそ汁はすぐに浸食を始め、私の太ももに落ちてきた。
そんな……。
私にはみそ汁の熱さを感じる余裕はなかった。
彼女は物音に驚いて顔を向けると、私に歩み寄ってくる。
「大丈夫ですか?」
心配そうに眉を下げた彼女は、テーブル上にあるティッシュを引き出して私の服を拭いた。
これは?この人は?何でこの人がここに……?
君とはずっと逢っていなかったじゃないか?
どうして私の眼の前に君は立っているんだ?
私は彼女に訊いた。
だが、これはあくまでも確信に近い確認だ。
「月野……遥さんですか?」
「はっ?」
予想外の質問だったのだろう。
彼女の動きがとまった。
ジェットコースターで急降下をした時のように心臓が浮かび上がる
。眼の前に立っている女性はどう見ても成長した月野遥だった。
おかしい。
いや、私がおかしいのかも知れない。
確信めいたものを感じておきながら、今さらながら自信がなくなってくる。
まだ夢の中なのだろうか。遥を最後に見たのは中学2年だ。
その彼女が10年を経た今、こんなところにいるはずがない。
綺麗な白眼に大きな黒眼がコントラストをなしている。
瑞々しい肌は夢に出てきた彼女そのものだった。
うれしい。うれしいうれしい。
これ以外の言葉が浮かんでこない。思わず笑ってしまった。
彼女は一度大きく瞬きをすると、口元を緩めた。
「何言ってるんですか?私は琴音ですよ」
何でここにいるんだ?そんなことをボンヤリ考えながら天井を眺める。
額と髪にはべっとりと汗が流れて、身体に張り付いたTシャツが不快指数を上げていた。
俺今何歳だっけ?
さっきの出来事が夢だと気付かされるのに少し時間がかかった。
携帯電話で時間を確認すると起床時間の5分前だった。
一度大きく溜息をつくと、全身を脱力感が覆う。疲れが全くとれない。
今日も深夜まで仕事だと思うと更に気持ちが重くなった。
仕事なんか辞めてしまおうか。
寝起きが悪いせいか、毎朝自問自答をしてしまう。
遥の夢を見るのはこれが初めてではない。私は遥と別れてから10年近く経った今でも彼女を忘れることができないのだ。
未練の塊が夢という形で具現化される。何てメソメソした性格なんだろう。自分の性格に嫌気がさす。
夢の中の月野遥はいつも中学生のままだ。
私の中で彼女は永遠に中学生なのだろう。成長した彼女を見ていないので、大人になった遥を想像できないのは当然のことだろう。
思春期の後悔の呪縛から今だに抜けきれない自分が惨めで仕方なかった。
上半身を起こしてもう一度大きな溜息を出す。
寝室の扉の奥から小さな物音がした。水の流れる音や食器が擦れる音が微かに聞こえる
。琴音が来てくれているのだ。
彼女は大学卒業に必要な単位は3年生までにほとんど取り終え、週一、二回程度しか大学には行っていないはずだ。
私が逆の立場だったら、食事や掃除、洗濯のためだけにこんな早い時間に起きることはあり得ない。しっかりし過ぎている。扉を開けてトイレに入った後、あくびをしながら挨拶をする。
「おはようございます」
キッチンで料理を作っているのだろう。
彼女の姿は見えないが、声だけが返ってきた。
私はテーブルに座るとテレビを点けてニュースを見る。
すぐにキッチンから足音が近づいてくると、私の前で止まってご飯とみそ汁、それに目玉焼きを置いてくれた。
「ありがとう」
寝起きで整理のつかない脳みそを働かせるため、みそ汁を飲もうとすると彼女の後ろ姿が視界に入った。
ん?うん?
彼女がキッチンに戻るため横向きになった途端、驚愕してお椀を滑らしてしまい、みそ汁を派手にこぼしてしまった。
テーブルに落ちたみそ汁はすぐに浸食を始め、私の太ももに落ちてきた。
そんな……。
私にはみそ汁の熱さを感じる余裕はなかった。
彼女は物音に驚いて顔を向けると、私に歩み寄ってくる。
「大丈夫ですか?」
心配そうに眉を下げた彼女は、テーブル上にあるティッシュを引き出して私の服を拭いた。
これは?この人は?何でこの人がここに……?
君とはずっと逢っていなかったじゃないか?
どうして私の眼の前に君は立っているんだ?
私は彼女に訊いた。
だが、これはあくまでも確信に近い確認だ。
「月野……遥さんですか?」
「はっ?」
予想外の質問だったのだろう。
彼女の動きがとまった。
ジェットコースターで急降下をした時のように心臓が浮かび上がる
。眼の前に立っている女性はどう見ても成長した月野遥だった。
おかしい。
いや、私がおかしいのかも知れない。
確信めいたものを感じておきながら、今さらながら自信がなくなってくる。
まだ夢の中なのだろうか。遥を最後に見たのは中学2年だ。
その彼女が10年を経た今、こんなところにいるはずがない。
綺麗な白眼に大きな黒眼がコントラストをなしている。
瑞々しい肌は夢に出てきた彼女そのものだった。
うれしい。うれしいうれしい。
これ以外の言葉が浮かんでこない。思わず笑ってしまった。
彼女は一度大きく瞬きをすると、口元を緩めた。
「何言ってるんですか?私は琴音ですよ」
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