入れ替わった彼女

チャロコロ

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覚悟 3

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 「遥の前で言うのも何だけど、例え佐々木が遥を助けることができなかったとしても誰
 もお前を責める奴はいないよ」
 「お前、本当にそう思ってるか?」
 「お、おう」
 佐々木の顔が皮肉な笑みを浮かべている。こいつがこんな顔をするのは初めて見た。
 「まあいいや」
 「何だよ?」
 「そうだ、続きだったな。車内に入ったら、ひたすら力づくで遥ちゃんを車外に出そう
 とした。火事場の馬鹿力ってホントにあるんだな。
  意識が朦朧としたままの彼女を何とか車外に出すことができたんだよ。
  取り敢えず安心したよ。
  運転席と助手席にはまだ二人いて、これから海の底に沈んでいくのにな。でも、そん
 なことは言ってられなかった。一人の命を救うことができたことで満足していたんだよ俺は」 
 佐々木は迫りくる死の恐怖と闘いながら、それに打ち勝ったんだ。話を訊くのと、実際に経験するのとでは雲泥の違いがある。
 私が同じ立場だったら、助けることはできなかっただろう。こいつが遥を助けていなければ私の人生はどうなっていただろう。
 誰とも出逢わないまま人生を終えていたかも知れない。今の私にとって、決してオーバーだとは言えない。
 「遥を助けてくれてありがとな。お前で良かったよ」
 私の謝意に、佐々木は苦笑したように見えた。
 「俺が彼女を抱えて車を離れようとした時、俺達の身体が突然沈んだ感覚がしたんだよ。
 ほらっ、カバンのヒモが机やドアノブとかに引っかかって引っ張られるような感覚?あ
 んな感じだよ。
  俺か遥ちゃんの服が車に引っかかってしまったと思って、自分の身体をよじらせてみた
 けど何も異常はなかった」
 「遥の服か?」
 「最悪だと思ったよ。何とか助けることができたと思った矢先のことだったしな。
  その時、遥ちゃんが苦しそうに呻き声をあげて意識を取り戻した。これで彼女が自力で
 浮いてくれたら俺が海に潜って引っかかった物をはずすことができる。
  そう思った時だった。
  遥ちゃんの周りをペンキみたいな真っ赤な液が取り囲んだんだ」
 思わず唾を飲み込んだ。以前は訊かなかった事実だ。
 「潜ってみると、予想以上のことが起きていた。
  助手席から伸びてきた腕が遥ちゃんの腰をがっちり掴んで、もう一方の手がナイフを握
 りしめて彼女の腹を繰り返し刺していた。
  刺していたのは遥ちゃんの母親だった。
  遥ちゃんを殺そうと恐ろしい形相で何度も何度も……。」
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