13 / 48
歯車
しおりを挟む
腕時計は午後10時を廻っていた。
玄関をそっと開けると、テレビを見ながらビールを飲む父さんの後ろ姿があった。
「ただいま」
連絡もせずに遅くなったことで声が小さくなったが、父さんは「おかえり」と応えただけで、美味しそうにつまみを食べていた。
晩御飯を食べて風呂を出るとLINEが来ていることに気付いた。真菜からだ。
『おやすみ、明日からまた頑張ろうね』
明日からは早速通常授業が始まる。受験生として共に切磋琢磨しようということだろう。
『そうだな、おやすみ』
返信をしてからベッドで横になった。すると電話本体が温かくなってきたかと思うと一気に温度が上昇して真夏の太陽に焼かれた鉄板の様に熱くなり、思わず携帯電話を放り投げた。
故障か?
恐る恐る携帯に手を触れると、さっきまでの熱は無くなっている。携帯はいつも通りの待ち受け画面を表示しており、異常がないことを示しているかに見えた。
だが、一つだけ違う点があった。
明らかに電波が悪くなっている。
電波は次第に小さくなっていき、圏外になってしまった。
電波状態が良くないのは田舎ではよくあることだ。これでは自分の好きなスポーツニュースを見ることも出来ない。
軽く溜息をついて携帯を見つめていると、画面が自動消灯した。その時だった。
鏡の様に自分の顔が映ったその後ろに、もう一つ別の顔が現れた。
いるはずの無い別の人間が僕の肩越しに……。
咄嗟に振り返っても誰もいない。見間違いだったのか?つい数時間前にあんな怖い思いをしたので、脳がショートを起こしているのだろう。
ギイイィィイ
ドアがゆっくりと開く音に驚き、引っ繰り返りながら見る。
が、誰もいない……。
風呂から戻って来た時に、半ドアのままにしたんだろう。
そう言い聞かせながらドアを閉めた。
玄関をそっと開けると、テレビを見ながらビールを飲む父さんの後ろ姿があった。
「ただいま」
連絡もせずに遅くなったことで声が小さくなったが、父さんは「おかえり」と応えただけで、美味しそうにつまみを食べていた。
晩御飯を食べて風呂を出るとLINEが来ていることに気付いた。真菜からだ。
『おやすみ、明日からまた頑張ろうね』
明日からは早速通常授業が始まる。受験生として共に切磋琢磨しようということだろう。
『そうだな、おやすみ』
返信をしてからベッドで横になった。すると電話本体が温かくなってきたかと思うと一気に温度が上昇して真夏の太陽に焼かれた鉄板の様に熱くなり、思わず携帯電話を放り投げた。
故障か?
恐る恐る携帯に手を触れると、さっきまでの熱は無くなっている。携帯はいつも通りの待ち受け画面を表示しており、異常がないことを示しているかに見えた。
だが、一つだけ違う点があった。
明らかに電波が悪くなっている。
電波は次第に小さくなっていき、圏外になってしまった。
電波状態が良くないのは田舎ではよくあることだ。これでは自分の好きなスポーツニュースを見ることも出来ない。
軽く溜息をついて携帯を見つめていると、画面が自動消灯した。その時だった。
鏡の様に自分の顔が映ったその後ろに、もう一つ別の顔が現れた。
いるはずの無い別の人間が僕の肩越しに……。
咄嗟に振り返っても誰もいない。見間違いだったのか?つい数時間前にあんな怖い思いをしたので、脳がショートを起こしているのだろう。
ギイイィィイ
ドアがゆっくりと開く音に驚き、引っ繰り返りながら見る。
が、誰もいない……。
風呂から戻って来た時に、半ドアのままにしたんだろう。
そう言い聞かせながらドアを閉めた。
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる