僕達は大人になれない

チャロコロ

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異変

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 一週間も経って来ると、次第に学校にも慣れてきた。
 徐々にではあるが、村外の生徒と話す機会も増えてきた。
 その反面、気がかりなこともあった。
 神山基樹・更紗の二人だ。
 二人は会う度に元気がなくなり、口数が減っていった。
 最初は僕が他の村の生徒と仲良くしていることに対する嫉妬のようなものだと思ったが、そもそも二人は村内外に拘らず誰とでも仲良くしており、そんな度量の小さいタイプではない。
 それに、二人は教室でも誰かと会話をする様子はなく、昼食の時間も二人で黙々と食事を摂っているのだ。
 最初は二人の態度を心配した数人の生徒が理由を訊いたが、二人は「何でもない」と応えるだけだった。
 僕も登下校や昼食の度に話しかけたが、彼らが明確な応えを示すことはなかった。
 双子が揃って元気をなくすということは家庭的なことが原因なのだろうか?そうすると同級生には相談しづらいだろう。だからと言ってこのまま見放すこともできない。
 真菜にも訊いてみたが、彼女も思い当たる節が無く、戸惑っている様子だった。
 「ここ最近はずっとあんな感じなの。困ったなぁ」
 頬杖を付きながら二人を見つめる真菜。
 「家庭的な事情があるのかもな。本当に心当たりないのかよ?」
 「あったらとっくに涼ちゃんに云ってるよ」
 真菜は頬を膨らませて不機嫌そうな顔をする。
 やばい、あまり怒らせるのも良くない。
 「でも放っておく訳にはいかねえしな」
 ここに転校してからあの二人には色々と面倒を見て貰った。
 僕がこうして排他的雰囲気のある田舎の学校に転校してたのにも関わらず、すんなり打ち解けることが出来たのは基樹と更紗のおかげだった。
 「そっとしておいてあげようよ。今はそれが一番だと思う……」
 独り言の様に呟く真菜に、僕は少しうんざりした。
 ここ最近は同じ言葉を繰り返すばかりで、彼女は行動しようとしない。
 当初は二人と付き合いの長い彼女の言葉に従っていたが、一向に状況が好転しないことを考えるとそういう訳にもいかない。
 「よしっ。今度の誕生日のために、でっかいケーキを二個買って来てやるって二人に直接云ってや ろうぜ!それで元気出せって」
 「やめてっ!」 
 勢い良く席を立とうとすると、腕を掴まれた。想像以上の力に思わず真菜を見る。
 彼女は、はっとした顔をすると
 「ごっ、ごめん……。でもね、もうちょっと……。もうちょっと待とう。私は私で更紗から話を訊 いてみるから」
 彼女の判然としない態度にもやもやした。
 しかし、それだけではない気がした。
 真菜は行動することを躊躇っているとしか思えなかった。
 真菜と基樹・更紗との間で何かトラブルでもあったのだろうか。それを知られたくないがために二人との間に距離を取っている?
 あるいは、真菜はトラブルの内容を知っていて敢えて知らない振りをしているのか?いや、それも違うだろう。
 彼女がそんな人間だったら、わざわざ廃屋まで僕を探しに来るようなこともしない。それに二人を心配している真菜を間近で見ている身としては、それが表向きだけのものとも思えない。
 「分かったよ、もう少し様子を見ることにする。でもこれ以上こんな感じが続くのなら……」
 「うん分かってる。分かってるよ……。私のこと信じてくれてありがと」
 真菜は複雑な笑みを作りながらぎゅっと手を握ってきた。思ってもいないことにドギマギしながらも、ふと周りの視線が気になり平静を装った。
 それに反して周囲のことなど気にする素振りも見せない真菜は、満面の笑みで
 「おっきいケーキは予約しておこう」
と、眼を細めた。
 以前に彼女が甘い物に眼がないと云っていたことを思い出す。真菜が食いたいだけではないのか?そう思いながらも涎を垂らさんばかりの笑顔を見せられては、これ以上何も云えなかった。
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