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友情 6
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「早くっ!」
苛立ちから声を荒げた。恐怖で固まっている場合ではない。更紗は無言のまま眼を見開き、真菜は「あ……、あ……」と言葉にならない言葉を上げている。
もう一度強引に二人の腕を引っ張るが、彼女達はびくともしない。
「真菜、更紗」
時間が無い。
背後から響くこの世のものとは思えない絶叫が轟く度に、全身に針を刺されたかの様な激痛が身体を襲う。
一人ずつでもいい。玄関から外に出すしかない。
真菜の腕を掴んで外に出そうとした時だった。
後ろから更紗が僕の腕を掴み、引き戻して来た。
「待ってろ更紗」そう云おうとして振り返った僕は息を飲んだ。
眼の前にある二つの眼。
腕を掴んでいたのは、如月結花だった。
色の無い真っ白な肌に、真っ黒な眼球。
おろされた長い髪からは辛うじて顔を確認する事が出来る。
感情という感情が全て欠落している。が、それが底の知れない恐怖を一層に煽った。
男の僕が真菜や更紗の腕を引っ張ってもびくともしない理由が、今更分かった。
結花は僕の腕をそっと握っている。いや、擦っていると云った方が正しい。
それなのに僕の身体は全身を紐で括りつけられたかの様に動かない。これは単なる恐怖心から来るものではない。
今目の前にいる女の力なんだ。
苛立ちから声を荒げた。恐怖で固まっている場合ではない。更紗は無言のまま眼を見開き、真菜は「あ……、あ……」と言葉にならない言葉を上げている。
もう一度強引に二人の腕を引っ張るが、彼女達はびくともしない。
「真菜、更紗」
時間が無い。
背後から響くこの世のものとは思えない絶叫が轟く度に、全身に針を刺されたかの様な激痛が身体を襲う。
一人ずつでもいい。玄関から外に出すしかない。
真菜の腕を掴んで外に出そうとした時だった。
後ろから更紗が僕の腕を掴み、引き戻して来た。
「待ってろ更紗」そう云おうとして振り返った僕は息を飲んだ。
眼の前にある二つの眼。
腕を掴んでいたのは、如月結花だった。
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おろされた長い髪からは辛うじて顔を確認する事が出来る。
感情という感情が全て欠落している。が、それが底の知れない恐怖を一層に煽った。
男の僕が真菜や更紗の腕を引っ張ってもびくともしない理由が、今更分かった。
結花は僕の腕をそっと握っている。いや、擦っていると云った方が正しい。
それなのに僕の身体は全身を紐で括りつけられたかの様に動かない。これは単なる恐怖心から来るものではない。
今目の前にいる女の力なんだ。
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