旧校舎の少女

チャロコロ

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暗黒

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 昼になって雨がしとしと降ってくると、陽が傾いてくる頃には雨が地面に叩きつけられる音で授業の声が聞こえなくなるほどの土砂降りになっていた。
 厚くて暗い雲の底にある教室はどこか鬱々たる暗黒に包まれている。
 君島は規則的に響く雨音に聞き入っていた。蛍光灯を点けた教室から外を眺めると、窓に反射した自分の顔が映る。窓から滴り落ちてくる雫が1つ、静かに流れ落ちた。
 笹原が鈴原に囁いた言葉は、君島の耳にも届いていた。
 君島も鈴原と同意見だった。
 彼女もまた、鈴原に恋愛的な感情を抱いたことはなかった。
 ただ、他の生徒とは違い何故か切っても切れないような相手だとは感じていた。
 幼馴染でもない鈴原に対して、何故このような感情を抱くのか、彼女にも分からない。
 また、君島が鈴原の優しさに甘えているという思いもあった。
 口調はきついものの、彼には他の生徒とは違う包容力があったし、彼から放たれる感じ取れない匂いに懐かしさを感じるものがあった。
 突然、暗闇を稲光が走ると同時に地響きのような雷鳴が轟いた。
 あまりの音に教室がざわめく中、君島は眼を見開いたまま動けないでいた。
 彼女は見てしまったのだ。
 稲光が一瞬旧校舎を照らした時、廊下に立つ制服姿の少女を。
 はっとして、もう1度稲光が辺りを照らした時に眼を凝らしてみたが、旧校舎には誰も見当たらない。
 勘違いだったのかな?
 旧校舎を覗き込もうとした君島が窓に近づくと自分を映していたはずの顔が、俯いた縷々子さんに成り変わっていた。
 君島は驚愕のあまり、「ひいっ」と声を漏らしてのけ反った。
 その声を合図にしたかのように教室の蛍光灯が消えると、辺りが暗闇に包まれた。生徒が「停電か?」とざわめき立つ。
 君島は荒い呼吸を整えるため、深呼吸をすると思い切って窓を見た。
 そこにはいつもと変わらない自分の顔が映っており、雨音が窓を叩いているだけだった。
 安堵しながらも漆黒の闇に包まれた教室を見渡すと、異世界に投げ込まれたかのような違和感が彼女を襲った。
 その理由に気付いた君島は心臓が氷漬けにされたかのような悪寒が全身を走り、身体を激しく震わせた。 
 暗すぎる。
 まだ午後3時だ。暗雲が立ち込めているとはいえ、電気が消えたくらいで辺りが全く見えないほど闇に覆われる時間ではない。
 息がつまり、唾を飲み込む音が君島の耳元に聞こえる。彼女は確信した。
 ……いる。
 縷々子さんが入ってきてる……。
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