旧校舎の少女

チャロコロ

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教師

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 君島も驚いた表情を隠せない。
 鈴原は君島の腕を掴んで場所を移動しながら「これが縷々子さんか……」と呟くと、君島も無言で頷いた。
 「何があったの……?」
 二人の異様な雰囲気を察した笹原。
 鈴原は事情を説明するかどうか躊躇した。
 記憶を失っている人間に「昨日縷々子によって木島が消され、今朝になると木島が別人になって現れた」なんて言って信用してもらえるだろうか。
 頭がおかしくなったと思われるのがオチだ。実際、鈴原もそれを根本から否定することはできない。
 だが、君島も鈴原と同じ記憶を共有している以上、鈴原が異常だとは考えにくい。
 鈴原はそう信じるしかなかった。鈴原と君島は事の顛末を掻い摘んで説明した。
 最初は開いた口が塞がらないといった顔で話を訊いていた笹原も、次第に引き締まった顔に変化し始めた。
 「ビックリとしかいいようがないね。僕の中で木島はずっとあの木島だし。
  何て言っていいか分からないけど……。
  木島が違う木島なら、どっかに行ってしまった木島には戻ってきて欲しいし。
  うーん、自分でも何て言ったらいいか分からないけど。
  でも、鈴原達の言ってることが本当ならこれ以上被害者が増えるのは防がないといけないね。
  今のところ、僕達か鈴原達のどっちの記憶が正しいか分からないけど、僕も手伝うよ。
  すっきりしないのは嫌だからね」
 笹原は快く同意した。
 心強い仲間を増やしたことに、鈴原は一縷の望みを見た。
 笹原は物分かりの良い性格だが、今回の話をすぐに真に受ける程莫迦でもない。         笹原自身、自分では意識していないつもりでも心の何処かで引っかかっているものがあるのかも知れない。だからこそ鈴原の言葉を信じたのだ。
 鈴原は大きく息を吐くと、少し安堵した。
 「何の話をしてんだ」
 話に夢中になっていたせいで、笹原の背後にいた恰幅のいい教師に気付かなかった。
 佐々木だ。彼は一瞬鋭い眼をこちらに向けると、咄嗟に優しい眼になった。
 「いや、縷々子さんの話を……」
 笹原が話し始めたのを鈴原が制した。
 「へえ……」
 佐々木先生が微かに笑ったのを鈴原は見逃さなかった。
 その粘着質で薄気味の悪い笑い方に、鈴原は悪寒を感じずにはいられなかった。
 「高三にもなって何言ってんだ。
  お前らはもうすぐ受験なんだ。そんなオバケの話をしている暇があったら少しでも勉強しろ」
 佐々木は冷たく言い放つと、すぐに解散しろと言わんばかりに手払いをしてきたので、三人は仕方なく席に戻ることにした。
 途中、背中に強い視線を感じた鈴原が振り返ると佐々木がこちらをジトッと見つめていた。
 まるで能面のように感情が読めないその顔に、鈴原は言い知れない恐怖を感じた。
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