旧校舎の少女

チャロコロ

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 今日ここに来るまで、鈴原は笹原をここに連れてくるか悩んだ。
 今朝鈴原が登校すると、以前と一緒で昨日縷々子さんが現れて川原を消したことは誰も覚えていなかった。
 それは一緒に縷々子さんの正体を暴こうとした笹原も同じだった。
 今日現れた新しい川原は、昨日まで当たり前のように学校に来ていた背が低くて大人しい川原とは対照的で、背が高い活発な女子生徒だった。
 快活に挨拶をする彼女を当たり前に受け入れるクラスメイトを見て、鈴原は1人で戦うことを決心した。
 これ以上足を踏み入れることで笹原に危害が及ぶことはあってはならない。そう思ったのだ。
 そして、自分と君島だけが縷々子さんが起こした現象を覚えていたということは、何か理由があるに違いないと推し量ったのだ。
 「どうした」
 佐々木のドスの利いたガラガラ声は鈴原を更に緊張させたが、彼は負けじと対抗した。   
 「俺は知りたいんです。縷々子さんのことを。
  佐々木先生が今そのアルバムを見てるってことは分かってるんですよね?
  先生の時間軸が13年前に戻ってるってことを。
  その原因が縷々子さんにあるってことも」
 佐々木先生は何も応えなかった。鈴原は続ける。
 「それに先生は知っているはずです。
  2日連続で木島と川原が縷々子さんに消されてしまったことを。
  しかも翌日には全くの別人が本人として登校してきていることも」
 佐々木は鈴原の言葉に眼を見開いた。
 その微かな反応を鈴原は見逃さなかった。
 鈴原は佐々木も記憶が残っている人物の1人だと確信した。
 佐々木は下を向いて苦笑した。鈴原はその態度の意味を推し測っていた。
 ガラガラッ
 図書室のドアを無遠慮に開く音がすると同時に「ちょ、ちょっとどうしたの?」と女性の戸惑う声が聞こえてきた。
 1つはパタパタという間隔の狭い子供が歩く音、もう1つはゆったりとした大人の足音。 
 2つの足音は次第に大きくなると、それは鈴原の近くで止まった。
 「あら、鈴原君じゃない。それに佐々木先生」
 三嶋先生が5歳くらいの女の子に手を引かれていた。
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