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第二章 そして舞台の幕が開く

95話 友のために願うのは(オーウェンside)

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 薄暗い室内に、小さなランプが一つ置かれている。
 草木も眠る真夜中。周囲に人影はない。皆、夢の中へと旅立っていることだろう。こんな時間に出歩いているのは、自分たちくらいのものだ。

 「それで? こんな場所まで借りて、一体何の用だ?」

 固い椅子に腰かけ、友へ視線を向ける。呼び出した張本人は、穏やかに笑っていた。

 「そう警戒しないでくれ。面白い話を聞かせてあげようと思ってね?」
 「お前がそう言うときは、大抵ロクでもない話だと分かっている」

 勘弁してくれと呟く自分に、彼は声を上げて笑う。楽しそうでなによりと言いたいところだが、そんな軽口は叩けそうにない。
 友の目が、一切笑っていないせいだ。

 「君、巷で話題の記事を知っているかい?」
 「記事? 話題になるようなことがあったか?」

 彼の言葉に、記憶を辿る。
 ここ最近で大きな記事と言えば、ベント子爵領の一件か。国からの支援がなく、伯爵家にすら見放された土地。その悲劇的な話題は、連日一面を飾っていた。

 「ベント子爵領の一件しか記憶にないな。とはいえ、わざわざ尋ねてくるんだ。どうせ違う記事だろう?」
 「言い方が冷たいな、君は」
 「恨むなら己を恨んでくれ。二人のときは話し方を気にしなくていいと言っていただろう?」

 そう言うと、彼は「仕方ないね」と肩を竦めた。仕方ないも何も、彼が言い出したことだというのに。手のかかる友人だと呆れが込み上げる。

 大方、余程腹立たしいことでもあったのだろう。気晴らし程度に揶揄いたかったに違いない。相変わらず、ひねくれた男だ。

 聖女様にかかる心労はいかばかりか。彼の友人である自分は、恋路を応援したいと思っているけれど。彼女の苦労を思えば、さすがに申し訳なさが募る。

 悪い奴ではないが、面倒な奴ではある。もう少し外見相応の柔らかさがあればいいものを。見た目の美しさは、必ずしも内面に繋がるわけではないらしい。

 「実はね、巷ではこんな記事が話題になっているんだ」

 そう言うと、彼は胸元から一枚の紙を取り出した。
 取り出したのは新聞記事のようだ。室内が薄暗いせいか、文字までは読めない。
 しかし、至る所に絵が描かれているのは分かった。

 おそらく、平民向けの新聞だろう。識字率が貴族より低いせいか、挿絵が多用されているのだ。

 「平民向けの新聞か」
 「お察しのとおり。よく分かったね?」
 「領地では騎士と共に過ごすことが多いからな。目にする機会はあった」

 そうでもなければ、知らなかっただろう。そう答えると、彼は頷いた。

 「そうだね。貴族の出なら見覚えがなくとも無理はない。事実、聖女はこの新聞を知らなかったようだ」
 「当然だろう。家で見るのは貴族向けの新聞だろうからな。
 ……それで? 聖女様の目に通さねばならぬほどの記事があったと?」

 正直、この時点で嫌な予感しかしない。そう口走りそうになるのを堪え、話の続きを促した。
 にっこりと微笑む彼の姿に、その予感が正しいことを察する。

 「ジェームズ殿下、聖女シャーロット嬢に求愛か。障害多き恋の行方は?」
 「……は?」

 突然紡がれた言葉に、唖然と声を漏らす。
 この男、一体何を言っているのか。性格だけでなく、頭まで可笑しくなったのか? 救いようがないな。

 胡乱な目で見ているのが分かったのだろう。彼は眉を寄せると、「記事を読み上げただけだぞ」と文句を口にする。

 ああ、記事か。それなら仕方ない、と胸を撫でおろしたのだが。

 「いや、何も仕方なくないな? 何だその記事は」
 「……君が何を考えていたのか知りたいところだが、追及はよしてあげるよ」

 感謝してくれていい。微笑んでそう告げる彼に、そういうところだと内心で毒を吐く。
 このひねくれた性格も、聖女様と関わる内に丸くなってくれればいいが。こればかりは難しいかもしれない。

 「これは先日発行された新聞記事だ。記事によれば、ジェームズは聖女に求愛しているらしい」
 「ジェームズ殿下が聖女様に求愛? あり得ないだろう。自分には微塵も理解できないが、殿下にとって最愛の女性はコードウェル嬢だろう?」
 「……君も、案外手厳しいことを言うよね」

 女性の趣味が悪いというのは同感だが。そうこぼし、彼は話を続けた。

 「続きを読むぞ。
 『学園の授業が終わり、ジェームズ殿下は足早に聖女の元へ向かった。愛しい聖女に会いたかったのだろう。
 殿下には幼少より定められた婚約者がいるが、恋心を抑えられなかったようだ。仲睦まじく語り合う二人の姿を、多くの生徒が目撃している』」
 「……上手く虚偽を混ぜているな」

 たしか、殿下は謝罪に来たのでは? 自分の問いかけに、彼は首肯した。

 「ああ、茶会の件と過去の無礼な振る舞いについて謝罪していた。求愛などという事実はない」
 「だろうな。足早に聖女様のところへ向かったのも、会話をしたのも事実だが……脚色が過ぎる。なぜ、殿下が聖女様を愛しているという話しになったのか」
 「意図的に捻じ曲げたのだろう。
 『聖女は、民を思い、ナーシングドリンクを開発した才女だ。我が国初の株式会社を立ち上げ、多くの民へ恩恵を与えている。
 それほどの人格者であれば、我が国をより良く導き、民を救う妃となるだろう』
 ……ここについては、まあいいか。ジェームズの妃と想定されるのは気に食わないが、よき王妃になるというのは頷ける」

 そう言うと、彼は再び記事に目を通した。

 「ああ、次がこの文だったか。
 『ジェームズ殿下は実直な方と聞く。平民であっても、優秀な者は賞賛し、民の痛みに寄り添われる方だ。
 そんな殿下であれば、聖女に恋焦がれるのも無理はない。感覚を同じくする女性に、恋心が芽生えてしまったのではないか。真実の愛を見つけたに違いない』」
 「真実の愛……?」
 「お前もそこが引っかかるか」

 ソフィーと同じだな。呟く彼に、黙したまま頷き返す。
 誰だって気にかかる部分だろう。真実の愛とは、一体何なのか。新聞とは思えぬ文学的表現に驚くしかない。

 そもそも、貴族など政略結婚が普通だ。子どもの頃から覚悟している。
 相手に恋愛感情を抱けるのならば、それに越したことはないが。世の中そんなに上手い話ばかりではない。

 「夢見がちな少女が好みそうな文だな。聖女様も呆れていたのでは?」
 「いや、彼女は少し違ったな」
 「違った?」

 彼の言葉に目を見開く。聖女様は、そういった文に心躍らせはしないだろうに。
 彼女は恐ろしく冷静な方だ。利益があるか否か、それで婚姻を決める人。利益がないと見れば、王族からの縁談ですら蹴ってしまう。
 そんな彼女が、この文に目を輝かせるとは思えないが。

 「別に、この文に同意していたわけではない。感銘を受けた風でもなかった。
 ただ、困惑しているようだった。怪訝そうに首を傾げていたのを覚えている」

 なるほど。理解できない内容ゆえに、困惑したのか。そう告げると、彼は眉を顰めた。

 「いや……どうだろうな」
 「違うのか?」
 「まあ、理解を超える内容ではあっただろうが……いや、考えるのはここまでにしよう」

 彼は軽く頭を振り、口を閉ざす。その表情はどこか険しい。
 こうなった彼は決して口を開かない。問いかけたところで無駄になるだろう。仕方なしに自分も口を噤んだ。

 「進めるぞ。
 『現状、ジェームズ殿下は婚約を解消していない。婚約者は公爵家のご令嬢。婚約解消するにも一筋縄とはいかない。
 聖女であるシャーロット嬢はアクランド子爵家のお生まれであり、身分に大きな隔たりがあるのも事実だ。
 障害多き恋が、認められる日は来るのだろうか。ジェームズ殿下の思いが報われ、二人を祝福できる日が来ることを、願ってやまない』
 これで、記事の内容は終わりだ」
 「とりあえず、そんな日は一生来ないだろうな」

 何を考えているのやら。そうこぼすと、彼も呆れたように息を吐いた。到底あり得ない話に、頭が痛くなってくる。

 聖女様やジェームズ殿下は、民にとって遠いお方だ。
 ゆえに、民が記事を信じてしまうのは仕方ないことといえる。

 しかし、記者が書いた記事が、これほどまでに粗末なものとは。まともな取材すらできないのかと、開いた口が塞がらない。

 「それで? お前の見解は?」

 この男のことだ。ある程度察しはついているだろう。そんな予想を裏付けるように、彼は迷うことなく口を開いた。

 「十中八九、王妃が原因だろうな」
 「違いない」

 こんな記事に喜ぶのは、王妃殿下くらいだ。
 王妃殿下は、ジェームズ殿下の婚約を解消したがっている。殿下の王位を確実とするには、聖女様との婚約が必要。コードウェル嬢では力不足なのだ。婚約解消の足掛かりを作りたかったのだろう。

 「姉上も同様の見解だった。ただ、その証拠は見つからなそうだとも言っていたな」
 「レティシア殿下が言うのなら、証拠を見つけるのは困難だろう。
 まあ、王妃殿下ならそこまで杜撰なことはしないか。その手の工作は得意な方だ」

 今までも、王妃は逃げおおせてきたのだ。彼の母親を亡き者としたときも、決して証拠は掴ませなかった。証拠があれば、今頃王妃は天へ昇っていただろう。

 「とりあえず、調べられる範囲は調べるつもりだ。わずかでも可能性があるのなら手は尽くす。
 王妃に繋がるものが一つでも出てくれば上出来だ。いずれまとめて清算させるさ」
 「そうだな。王妃殿下には、そろそろご退場いただきたいところだ。打てる手は打つべきだろう」

 正直、王妃は疑わしい点があり過ぎる。同様のことを、聖女様も考えているだろうけれど。

 口にしないのは、その危険性を理解しているからだ。確たる証拠もなく王妃を疑えば、我が身が危ぶまれる。

 「それにしても、王妃殿下は上手くやったものだな」
 「ああ。非常に上手い手だよ。腹立たしいほどにね」

 実にあの女らしい手だ。そう告げる彼は、不快感を隠そうともしない。
 無理もないか。そう思いつつ、口を開いた。

 「貴族向けの新聞ならば、一笑に付されたであろう記事。それを平民向けに出すことで関心を買った。
 聖女が第一王子と結ばれるとあれば、民が熱狂するのは目に見えている。民を煽動することで、コードウェル嬢との婚約解消を狙ったのか」
 「ああ。婚約解消が長引けば、民の怒りはコードウェル公爵家に向くだろう。利益のために、真実の愛を引き裂くのかとね」

 民に愛される聖女、それがここに来て悪い方向に活かされたわけだ。そう告げる彼に首肯する。

 聖女様は、民に深く愛されている。
 きっかけは、ナーシングドリンクの開発と流通だ。民の手にも届くようにと、価格を下げることにこだわった。
 それを知る民は、彼女に深く感謝している。

 それだけでも素晴らしいことだが、聖女という稀有な能力まで宿していたのだ。神の思し召しに違いないと、聖女様を讃える声は瞬く間に広まった。

 それゆえに。聖女の恋が引き裂かれたとあれば、民は怒り狂うだろう。原因が高位貴族というのも厄介だ。炎上するのは目に見えている。

 王妃は、民を煽ることで、コードウェル公爵家に圧力をかけたかったのだろう。
 もっと言えば、聖女様に対する圧力でもある。ここまで民に願われて、縁談を断るのかと。

 「最悪な手だな。王妃殿下らしいとも言えるが」
 「そうだね。実にあの女らしいよ。望みを叶えるためならば、どんな手も使う。俺の母を殺したようにね」

 醜い女だ。苛立たしげに吐き捨てると、彼は背もたれへ寄りかかった。
 相当機嫌が悪いらしい。このような記事を広められたとあれば、無理もないが。

 「それで? お前はこれからどうするんだ? まさか、黙って見ているわけではないだろう」

 調査をさせるとは言っていたが、それだけで大人しくするとは思えない。
 この男はそれほど甘くない。王妃も手段を選ばない人間だが、それは彼も同じだ。

 違うのは、その目的が許容できる内容かどうかだ。王族として、国を思うがゆえの目的か否か。そこが、彼と王妃の最たる違いである。

 「もちろん。とはいえ、できることは限られる。俺としては、ジェームズの不祥事を新聞に流してもかまわないのだけれど」
 「……それは、聖女様が嫌がるだろうな」

 ジェームズ殿下の失言を記事にすれば、民は意見を変えるだろう。
 無意識とはいえ、これまで平民や下位貴族への失言を繰り返していたのだ。それを知れば、世論は一気に覆るはず。聖女様に相応しくないと怒りの声が上がるだろう。

 しかし、聖女様がそのやり方を認めるとは思えない。

 「そういうこと。彼女はジェームズの謝罪を受け入れた。一度けじめをつけたことに対し、とやかく言うことは認めないだろう。
 もう一度、ジェームズがやらかせば別だろうが……」
 「その可能性は低いな。殿下も相当反省している」

 ここ数日の殿下は、大きく振る舞いを変えた。視野狭窄だった自身を、懸命に正そうとしているのだ。

 そう告げると、彼は面倒くさそうに息を吐いた。
 この男にとっては、ジェームズ殿下が愚かであればあるほど、都合が良かった。そういう意味では、予想外の展開に違いない。

 「困った話だよ。今までどおり、愚かでいてくれれば良かったものを。
 まあ、根が悪い奴でない以上、こうなる可能性はあった。嘆いても仕方がないな」
 「そうだな。ジェームズ殿下の不祥事も載せられないとなると……どうするんだ?」

 本題へ話を戻すと、彼はにっこりと笑って見せた。
 ああ、これは嵐が来るな。嫌な予感に背を震わせる。

 「手はいくつか考えているけれど……まずはやり返そうと思う」
 「やり返す?」

 不穏な言葉に、胡乱な目で彼を見つめる。次は何をやらかすのかと頭が痛い。こいつの思い付きで振り回されてきた身としては、警戒せずにはいられない。

 「ははっ、そう警戒するな。実行するのは聖女だ。可笑しなことにはならないさ」
 「はあ!? その時点で十分可笑しいだろう! 聖女様に何をさせるつもりだお前は!」

 突然飛び出した言葉に、慌てて制止の声を上げる。彼女はただの被害者だというのに、これ以上負担を負わせるのか。そう問いを投げるも、彼は首を傾げた。

 「うん? まあ、たしかに被害者だけれどね。彼女にだって利益のあることだよ。ジェームズと結婚したくないなら、動くしかないだろう?」
 「それはそうだが……!」
 「それに、だ。君だって分かっているはずだよ。彼女は強い。簡単に守らせてくれない程度には、ね」

 くすり、と笑みを浮かべる姿に、言葉を詰まらせる。
 その笑みに、毒気がなかったからだ。皮肉でもなんでもない。純粋に聖女様を思う、心からの笑みだった。

 「彼女は強い。例えどんな苦境でも、最後まで足掻けるくらいには。そんな彼女なら、自身の言葉で要らぬ噂は払拭できるさ」
 「否定はしないが……自身の言葉で、とは何だ?」

 一体何をさせようというのか。そう問いかけると、彼は楽しげに笑みをこぼす。悪戯をする子どものように、瞳が輝いていた。

 「あちらが民を煽動したんだ。なら、こっちも民の力を借りればいいだろう?」
 「民の、力?」
 「ああ。民に証明してもらうんだよ。彼女はジェームズとの婚姻を望んでいない、とね」

 そう言って笑う彼に、息をのむ。そんなことができるのなら、一番効果的な策だろう。
 しかし、どうやってそれを実現するというのか。まさか、一人一人に語って聞かせるわけではあるまい。

 「聖女の言葉には力がある。聖女だからではなく、彼女自身が持っている力だ。自然と耳を傾けてしまうような、そんな力が彼女にはあるだろう?」
 「そうだな。初めてお会いした日も、それに圧倒されたのだったか」

 初めて聖女様にお会いした日のことは、今でも覚えている。
 貴族令嬢として生まれた身で、なぜ民を気にかけることができるのか。そう問いかけたルーファスに、彼女は「同じ人間だから」と答えた。

 彼女は、自身が民の立場になったらどう思うか、それを考えたのだ。助けて欲しいと願うのが普通だろう、と。
 同じ人間である民も、同じ願いを持つに違いない。だから手を伸ばすのだと、語っていた。

 それは、嘘偽りのない真摯な答えだった。他者の痛みに共感する幼子のような純粋さと、大人顔負けの思慮深さ。それらを兼ね備えた言葉に、胸を打たれたのは言うまでもない。

 「彼女の言葉は、きっと民の心に響くだろう。それほどの力を彼女は持っている」

 だから心配いらないさ。そう言って穏やかに笑う男に、こちらも自然と笑みが浮かんだ。

 たしかに、彼の言うとおりかもしれない。聖女様ならばきっと、民に響く言葉を紡ぐに違いない。

 それに、この男のことだ。一度で多くの民に声を届ける方法も、既に考えついているだろう。

 「内容は理解した。ならば、自分は聖女様をお支えすればいいのか?」
 「いや。君は君でやって欲しいことがある」

 その言葉に、思考を切り替える。
 やはりそうか。聖女様だけに押し付けるつもりはないらしい。彼女にばかり負担を負わせずに済むのは良いことだ。
 その皺寄せは、こちらに来るのだが。

 「はあ……何をしろと言うんだ?」

 この男の要求は大概面倒くさいものだ。必要だと理解できる分、断れないからタチが悪い。
 憂鬱な気持ちで口を開くと、彼はゆっくり口角を上げた。

 その瞳に温度はなく、一握りの情もない。淡々と、ある命令を口にする。
 信じ難い言葉にこちらが息を詰まらせるも、撤回することはなかった。

 「……なぜ、そのような命を……」
 「そうすべきだからだよ、オーウェン。それ以外に理由が必要かい?」

 こてん、と首を傾げると、男は美しく笑う。その姿とは裏腹に、紡ぐ言葉は残酷だ。

 「俺は聖職者ではない。清廉潔白であることも、曇りのない生き様も望んじゃいない。必要とあれば、多少の犠牲は厭わないよ」
 
 そうだ。こいつは、こういう男だった。
 国のためになるのなら、その手段が如何に非道と言われるものでも躊躇しない。

 その結果、傷つく誰かがいようとも。必要な犠牲だと言い切れる人間だ。

 「お前らしいな」

 選択の結果、非難を浴びるとしても。彼は己の決断を曲げはしないだろう。

 罪も業も背負って、それでも立ち続ける姿が目に浮かぶ。

 どうか、どうか。
 そんな男に、手を差し伸べてくれますように。

 花を思わせる美しき女性に、ただ乞い願うのだ。
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