英雄の孫は見習い女神と共に~そしてチートは受け継がれる~

GARUD

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ラヴィア公国と発生した魔物

6 孫、飛び立つ!

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「うぅ……とんでもない目にあったわ……」
「おつかれー」

 何の臭いか分からないと言ったカスミに「もっとよく嗅ぎなさいよ!」と荒れ狂うルカに、状態異常回復ゼリーを無理やり喰わせて、再び気絶させるハメになった。とんだプッツン娘である。

 ヨヨヨと、未だに床に泣き崩れているカスミに、俺はまるで他人事のようなセリフを吐くと、カスミは恨めしそうな視線を俺に向けた。

「グレイブ……あんた本当にお爺ちゃんそっくりね……」
「いやいや。まだお爺ちゃんの域には達してないよ。もっと精進しないと。紳士道は険しいよ」
「精進せんでいい!何が紳士道よ!」

 ははは!と笑う俺を見て「もう……」とため息を吐くと、気持ちを切り替えたのか、カスミは椅子に座り直してテーブルに並んでいる道具に目を落とした。

「この道具だけど」
「ん?ルカの下着?」
「違う!あーもう!テレポート石とイヤホーン!」
「ああ。そっちね」
「それが有っても、全部の村を監視して、窮地に駆けつけるなんてのは無理よ」
「まぁ……俺たち三人じゃね……」

 カスミが言う事は分かる。
 テレポート石にしても、最大で三つの村しか監視出来ず、念話に至っては襲われて初めての役に立つ程度の道具でしかない。
 まぁ、だからと言ってどうしようもないんじゃないか?といったニュアンスを含む視線をカスミに向けると

「だから、まずは襲われた村の場所を特定していって、次に襲われそうな村を絞り込むの。グレイブは襲われた村が何処なのか、詳しい人が知り合いに居るんでしょ?」
「ああ。傭兵団の団長の事だな?」

 俺の話をキチンと覚えていたらしい。脳筋のくせに頭も良いのか?とちょっぴりジェラっていると、カスミは急に頭を抱えだした。

「あぁ~、しまった。実際話を聞くってのも現実的じゃないかも……港街の方なんでしょ?馬で行くにしても時間かかるし、どうすれば……」
「お前な……俺達がどうやってそんな時間がかかる程の距離を移動して来たかまでは考えなかったのか?」

 う~ん……と頭を悩ましていたカスミの肩を叩き、ドヤ顔でふんぞり返る俺。

「ぐ……変態のくせに偉そうに……そこまで言うからには、何か考えがあるのね?」
「まぁ、任せておけ。おいルカ。起きろ!ガイルの所まで行くぞ」

 ぐぬぬ!と歯噛みするカスミに俺はサムズアップで応え、気絶しているルカの頬をビビビ!と張って叩き起こす。

「う~ん……あれ?!私のミルフィーユは?!」
「んな物はもうない!」
「ええー!ヤダヤダ!ミルフィーユもっと食べる!」

 ルカは、どうやら状態異常回復ゼリーの効果によって、下着謎の臭い事件の事をスポーン!と何処かに置いてきたみたいだが、代わりに一つ前のミルフィーユ事件の前まで遡ってしまったらしい。なんつー恐ろしい副作用だ!
 状態異常回復しても脳内が異常になるとかどんなジョークだよ!

「ええい五月蝿い!とにかく、これからガイルの所へ移動だ!」
「やだー!私はここで一生ミルフィーユと一緒に暮らすんだから!」

 ルカは、腕を引っ張って立たせようとする俺に抵抗し、呼び鈴を鳴らしてメイドさんにミルフィーユを注文する。
 なんという身勝手!こうなれば精神に深く刻まれたであろうトラウマを引っ張り出させてもらうしかない!

 俺はルカをひく手を引っ込めて、ルカの両肩にポンッと優しく手を置いた。

「ん?分かってくれたの?流石グレイブ!」

 と訳のわからん事を言ってニパッと笑みを浮かべている憐れな少女に、俺はニタアと口を三日月に割り 

「──出荷」

 そう告げると、ルカは途端にブルブルと震え、ガバッと立ち上がると、部屋の窓まで一目散に駆け出した。

「行く行く!すぐ行くよ!先行くよ!超特急で行くよーーー!」

 目をグルグルと回しながら、そう必死に言うと、ルカは窓を開け放ち、バサッ!と背中に漆黒の翼を生やして大空へと飛び立って行ってしまった。

「ホントに魔王の子供だったんだ……」
「あっ!こら!──まったく……仕方ない。俺たちも行くぞ」

 俺は、翼を生やして飛び去ったルカをボーッと眺めていたカスミの腕を引いて窓の方へと歩いて行く。

「いや……だから行くぞって……ルカちゃんみたく翼を生やして飛んでいけと?」

 カスミはズルズルと俺に腕を引かれつつも、何すんの?的な視線を向けている。
 俺はその視線に一切取り合わず、ガバッ!とカスミを抱き寄せた!

「えッ?!ちょッ?!そんな急に「行くぞ!」──え?」

 俺は抱えたカスミごと、窓から空にダイブした!

「ちょっ!ここ4階ッ!ぃゃぁぁぁぁ!──あ?」

 カスミは目を閉じて、全力で俺にしがみついて可愛らしい悲鳴を上げていたが、落下特有の浮遊感が無いのに不思議に思ったのか、そぉーっとといった感じで恐る恐る目を開けた。

「はは!カスミが、ぃゃぁぁぁ!だって!脳筋でも女の子だな!」

「え?え?」と周りを見渡しているカスミに、俺はニヤリと笑ってやった。

「うっさい!なんで空に浮いてんのよ!」
「飛剣だよ」
「え?それってお爺ちゃんの伝記に出てくるヤツ?ほんとにあったんだ……って!なんでグレイブが持ってんのよ!」
「おいおい、あんまり暴れるなよ?落ちたら死ぬぞ」
「ぐぬぬ……後でちゃんと説明しなさいよ!」
「あいよ。──それじゃ、飛ばすからな!しっかり掴まってろよ!」

 俺はゆっくりと前に進み、カスミがしっかりと掴まっているのを確認した後、一気に加速をかけた!

「うわわ!」

 びっくりしたカスミが、ギュッ!と抱き付いてくる感触に、俺は心臓の鼓動が早くなったのを感じた。




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