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創生の杖
6 孫、兄との共通点を指摘される!
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「ハッ!俺のルカ様は?!」
寝かせていたソファーからガバッ!と起き上がったバスク兄さんは、慌てて部屋の中を見渡している。
「誰が誰のだって?」
「……なんだグレイブか」
俺がジト目を向けて声を掛けてやると、バスク兄さんはそれはもう見るからに落胆した顔を浮かべ、重い息まで吐き出している。
「ということは、俺がルカ様と結婚して初夜を迎えた後、なんやかんやで三人の子供達と幸せに暮らしていたのは──夢か」
「清々しいくらいに欲望丸出しの夢だね」
フッと息を吐いて明後日の方向をむくバスク兄さんに、俺は変わらずジト目を向けながら「はぁ……」と息を吐いた。
「そう言えば、なんで俺はソファーで寝てたんだ?」
「バスク兄さんがカスミの腕や脚や腹周りの筋肉を弄って、アマゾネス認定したもんだから、カスミがキレて──ほら、アソコの壁にめり込ませたんだよ」
そう言って俺がバスク兄さんの形に凹んでいる壁をクイッと顎でさすと、それを見たバスク兄さんは「チッ。メスゴリラめ」などと悪態を吐いている。
「ついでにサーリアが兄さんの背中と尻を折り曲げてくっつけてたよ。そのせいで腹が裂けて内蔵が飛び出して、あと少しの所であの世行きだったね」
「ん?……何を言ってるんだ?俺の背骨はおろか、腹も別に裂けてないぞ?」
バスク兄さんは立ち上がって、腰を回して軽くコリを解してみせる。
まぁ、普通はそんな事言われても信じられないよな。
「分かったからとりあえず座ってよ。でも、次からは気をつけた方がいいよ?カスミは筋肉を指摘されると暴れ始めるし、サーリアはカスミが馬鹿にされるとバーサーカーみたいになるし」
「う……うむ」
「それに──」
俺はそうバスク兄さんに言い聞かせると、アイテムBOXから取り出したナイフで自分の腕を軽く切った。
「何してんだ?」
「まぁ見てて」
訝しがるような視線を向けるバスク兄さんに、俺はまぁまぁと言って再びアイテムBOXからアイテムを取り出した。
「それは?」
「これは肉体に受けたダメージを瞬時に癒やす飲み物だよ」
そう言ってHP回復ドリンクを少し煽ると、腕の傷がみるみると塞がっていく。
それを見て、バスク兄さんはたいそう驚いていた。
「これを真っ二つに折りたたまれた兄さんの口の中に無理やり突っ込んで飲み込ませて、それでも回復する前に死にそうだったから〈キュア〉」
俺は手のひらから白い光を放って見せると、バスク兄さんは興味深そうに光を観察している。
「これは一応回復スキルでさ、HP回復ドリンクと同じような効果があるんだ。二つの相乗効果でなんとか兄さんは一命を取り留めた──という訳だから、是非とも感謝して欲しいんだけど?」
「むぅ……そういう事であれば」
バスク兄さんはガバッと頭を下げ
「済まなかった。ありがとう」
そう素直に謝罪と礼の言葉を発した。
その姿を見て、俺はさっきまで怒っていたのがなんだかバカらしくなった。
なんだかんだエレイン家の人って、こう素直っていうか、思ったことに一直線なんだよな。
だから思った事も口から直ぐに出てしまうのだろう。
「もういいよ。その代わり、後でカスミにも謝ってやってよ」
「そうだな。お前の筋肉は最高だ!と褒め称えておこう」
「いや……それは止めたほうが……」
任せておけ!とバスク兄さんはサムズアップしてvipルームを飛び出して行ってしまった。
「なんか凄い人だったね~」
そう言って窓の外から部屋に飛び込んで来たのはバスク兄さんが恋してやまない俺の婚約者二号のルカ。
「まぁ良くも悪くも一直線だからね」
「そうだね。なんだかグレイブがもう一人いるみたいだったよ」
「ハハハ!──なんだと?!」
「なに怒ってんの?どう見たってそっくりでしょ?」
俺が目を吊り上げてルカを睨みつけると、ルカはクイッと顎を上に上げ、あんたばかぁ?と言わんばかりに上から目線で俺を見下ろしている。
「いやいやいや……いやいやいやいや!」
「いやいや煩いなぁ」
「だって、どっからどう見ても似てないだろ?俺はあんなにコンガリ小麦色の肌じゃないぞ?」
「見た目じゃなくて、中身の話をしてるんだけど……ほら、欲望に忠実な辺りとか、ちょっと抜けてるところとか、カスミの弄り方なんてそっくりだったよ?」
「バカな……」
ガクッと床に膝を突いた俺の頭をルカはポンポンと軽く叩いてヨシヨシと慰めてくれる。ううう……辛い。
「きっとコウタの血じゃないかしら。ママに聞いたコウタって、まんまグレイブとイメージ被るもん」
「そう……なのか?」
「うん。コウタもよくイザベラさんやエレイラさんをからかってはバスクみたくボコボコにされてたってママが言ってたよ?」
「まぁ……それは今でもそうだけど」
「だから気にしなくて大丈夫──かなぁ……」
「なんで疑問系なんだよ!そこは大丈夫って言ってくれよ!」
俺の必死な表情に、ルカがケタケタと笑いはじめ、釣られた俺も笑って──きっと、お爺ちゃんはこんな感じで楽しく青春時代を過ごしたんだろうなぁと何となく思ったのだった。
寝かせていたソファーからガバッ!と起き上がったバスク兄さんは、慌てて部屋の中を見渡している。
「誰が誰のだって?」
「……なんだグレイブか」
俺がジト目を向けて声を掛けてやると、バスク兄さんはそれはもう見るからに落胆した顔を浮かべ、重い息まで吐き出している。
「ということは、俺がルカ様と結婚して初夜を迎えた後、なんやかんやで三人の子供達と幸せに暮らしていたのは──夢か」
「清々しいくらいに欲望丸出しの夢だね」
フッと息を吐いて明後日の方向をむくバスク兄さんに、俺は変わらずジト目を向けながら「はぁ……」と息を吐いた。
「そう言えば、なんで俺はソファーで寝てたんだ?」
「バスク兄さんがカスミの腕や脚や腹周りの筋肉を弄って、アマゾネス認定したもんだから、カスミがキレて──ほら、アソコの壁にめり込ませたんだよ」
そう言って俺がバスク兄さんの形に凹んでいる壁をクイッと顎でさすと、それを見たバスク兄さんは「チッ。メスゴリラめ」などと悪態を吐いている。
「ついでにサーリアが兄さんの背中と尻を折り曲げてくっつけてたよ。そのせいで腹が裂けて内蔵が飛び出して、あと少しの所であの世行きだったね」
「ん?……何を言ってるんだ?俺の背骨はおろか、腹も別に裂けてないぞ?」
バスク兄さんは立ち上がって、腰を回して軽くコリを解してみせる。
まぁ、普通はそんな事言われても信じられないよな。
「分かったからとりあえず座ってよ。でも、次からは気をつけた方がいいよ?カスミは筋肉を指摘されると暴れ始めるし、サーリアはカスミが馬鹿にされるとバーサーカーみたいになるし」
「う……うむ」
「それに──」
俺はそうバスク兄さんに言い聞かせると、アイテムBOXから取り出したナイフで自分の腕を軽く切った。
「何してんだ?」
「まぁ見てて」
訝しがるような視線を向けるバスク兄さんに、俺はまぁまぁと言って再びアイテムBOXからアイテムを取り出した。
「それは?」
「これは肉体に受けたダメージを瞬時に癒やす飲み物だよ」
そう言ってHP回復ドリンクを少し煽ると、腕の傷がみるみると塞がっていく。
それを見て、バスク兄さんはたいそう驚いていた。
「これを真っ二つに折りたたまれた兄さんの口の中に無理やり突っ込んで飲み込ませて、それでも回復する前に死にそうだったから〈キュア〉」
俺は手のひらから白い光を放って見せると、バスク兄さんは興味深そうに光を観察している。
「これは一応回復スキルでさ、HP回復ドリンクと同じような効果があるんだ。二つの相乗効果でなんとか兄さんは一命を取り留めた──という訳だから、是非とも感謝して欲しいんだけど?」
「むぅ……そういう事であれば」
バスク兄さんはガバッと頭を下げ
「済まなかった。ありがとう」
そう素直に謝罪と礼の言葉を発した。
その姿を見て、俺はさっきまで怒っていたのがなんだかバカらしくなった。
なんだかんだエレイン家の人って、こう素直っていうか、思ったことに一直線なんだよな。
だから思った事も口から直ぐに出てしまうのだろう。
「もういいよ。その代わり、後でカスミにも謝ってやってよ」
「そうだな。お前の筋肉は最高だ!と褒め称えておこう」
「いや……それは止めたほうが……」
任せておけ!とバスク兄さんはサムズアップしてvipルームを飛び出して行ってしまった。
「なんか凄い人だったね~」
そう言って窓の外から部屋に飛び込んで来たのはバスク兄さんが恋してやまない俺の婚約者二号のルカ。
「まぁ良くも悪くも一直線だからね」
「そうだね。なんだかグレイブがもう一人いるみたいだったよ」
「ハハハ!──なんだと?!」
「なに怒ってんの?どう見たってそっくりでしょ?」
俺が目を吊り上げてルカを睨みつけると、ルカはクイッと顎を上に上げ、あんたばかぁ?と言わんばかりに上から目線で俺を見下ろしている。
「いやいやいや……いやいやいやいや!」
「いやいや煩いなぁ」
「だって、どっからどう見ても似てないだろ?俺はあんなにコンガリ小麦色の肌じゃないぞ?」
「見た目じゃなくて、中身の話をしてるんだけど……ほら、欲望に忠実な辺りとか、ちょっと抜けてるところとか、カスミの弄り方なんてそっくりだったよ?」
「バカな……」
ガクッと床に膝を突いた俺の頭をルカはポンポンと軽く叩いてヨシヨシと慰めてくれる。ううう……辛い。
「きっとコウタの血じゃないかしら。ママに聞いたコウタって、まんまグレイブとイメージ被るもん」
「そう……なのか?」
「うん。コウタもよくイザベラさんやエレイラさんをからかってはバスクみたくボコボコにされてたってママが言ってたよ?」
「まぁ……それは今でもそうだけど」
「だから気にしなくて大丈夫──かなぁ……」
「なんで疑問系なんだよ!そこは大丈夫って言ってくれよ!」
俺の必死な表情に、ルカがケタケタと笑いはじめ、釣られた俺も笑って──きっと、お爺ちゃんはこんな感じで楽しく青春時代を過ごしたんだろうなぁと何となく思ったのだった。
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