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13(アリス視点)

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ある日急に王宮に暮らすことが決まった。
王宮自体は、優しいリアム皇太子殿下や、両親を亡くしたアリスを自分の娘のように可愛がってくれる両陛下がいるため嫌いではないのだか、姉をひとりあの家に置いていくのが心残りであった。

そもそも結婚前の令嬢が王宮で暮らすなど、異例のことなのである。
今回の決定を疑問に思い、皇太子殿下に尋ねると、
「前にアリスが、オリバー•マーティが新しい侯爵となり、家に住むようになってから辛いと話していただろ?
彼のいい噂は聞かないからね。
だから、どうにかして君を救いたいと、父上にお願いしたのさ。」

皇太子殿下の発言に、皇太子殿下は自分のためを思って動いてくださったのかと、その行動力に驚いた。
だが同時に少し怒りを覚えた。
辛い思いをしているのは私ではなく、エマお姉様であり、私が王宮に来ることでお姉様がより辛くあたられるのは分かりきっていたことだからだ。

「リアム様、私のためを思っての行動は大変ありがたいのですが、オリバーおじ様に辛くあたられていたのはお姉様です。
今回のことで、お姉様により被害が及ぶのでしたら、私はここで自分だけ幸せに暮らす私自身を許せないと思います。
リアム様の申し出は大変ありがたかったのですが、どうにかしてお姉様のことも救っていただけませんでしょうか?」

「どう言うことだ?
エマ嬢は婚約者がおり、そちらに身を寄せているのではなかったのか?」

「お姉様には婚約者などいないはずですが、誰がそのようなことを、、」

「アリスがエマ嬢のことを大切に思っているのを知っていたから、私は2人を一緒に王宮に住めるよう、オリバー•マーティに提案したのだ。
そしたら、エマ嬢にも婚約者がおりそちらの家への醜聞となってしまうからと断られたんだ。それで、仕方なく君だけでもこちらに住んでもらうことにしたんだ。
それにエマ嬢から、アリスだけを頼むと言う手紙もあったからね。」

どう言うことだろう。アリスはそんな話を聞いたこともなかった。アリスはエマお姉様に一刻も早く事実を確認したいと思い、手紙を送ったものの、一向に返事が来なかった。

アリスは皇太子殿下の婚約者ということもあり、なかなか外に出させてもらえず、姉に会いにいくことさえも叶わなかった。

心配で我慢ならず、もう無理矢理にでも会いに行こうとしたとき、オリバーがアリスを訪ねてきた。

そして、エマは自分も幸せだから、アリスも心配しなくていい。アリスも忙しいだろうから会いたくないと言っていると伝えられた。

アリスはエマが会いたくないと言うはずないと否定しながらも、お姉様も幸せに暮らしているなら、本当に忙しいのかもしれないと考えた。


何より唯一の肉親であるエマに迷惑をかけ、嫌われたらと思うと怖くなってしまったのであった。
それからアリスは手紙だけは出すものの、エマの幸せを願いつつ、会いにいくことはできずにいた。
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