13 / 21
向日葵の咲く頃
向日葵の咲く頃①
しおりを挟む
あの日あの時私は打ちのめされた
見上げ過ぎて太陽に焼かれた向日葵のように
私を特別だと思っていた私は死んで
何者でもない私だけが取り残された
「すみません」
朗読劇の説明会があるとなっていた小講堂に向かうと、人がまばらになっていた。
やっぱり、もう終わってしまったみたいね。
「あ、日向菊さん。朗読劇の生徒会参加枠ですか?」
「はい。仕事が終わらなくて遅くなってしまって……」
「大丈夫ですよ。はい、こちらがプリントになります。段取りは去年と同じですので」
「ありがとうございます」
椛先輩からふわりとした仕草で渡されたプリントを受け取ってサッと目を通す。
題材は去年とは流石に違うのね。
「あら?」
「ん?」
椛先輩の声に顔を上げる。
「どうしました?」
「ふふ、今年の生徒会はお二人、参加かしら」
「二人……?」
私の他に出るような人いたかしら。
その視線は私の後ろを見てたので振り返る。
「……会長」
「あ、や、その……」
「来年は演劇部の催しには参加しないって言ってたのはどこの誰でしたっけ?」
「うっ……」
会長はモジモジと髪を弄り出す。
「……あぁ、そういう事ね!」
椛先輩は何か納得したようだ。
「やっぱりね~。ふふ、それで、桜木生徒会長さんはどうしますか?」
椛先輩が意地悪そうな笑みを浮かべてる。
「さ、参加……し……しま……すん……」
「どっちよ……」
すん、て。
「参加……しま……す……!」
なんでそんな苦しそうに言うのよ。
「ねぇねぇ」
生徒会室に戻る道すがら、髪を弄びながら会長は話しかけてきた。
「何?」
「葵ちゃんはなんで今年も参加しようって思ったの?」
「朗読劇?」
「イエースッ」
何、その陽気なアメリカ人みたいな両手で指差す変なポーズ。
とは、口では突っ込まないけど。
「別に理由はないわよ。誰も参加したがらなかったじゃない。なら、私がやろうと思っただけよ」
「ダウツッ」
だから、何その変なノリ。
「あとはそうね。向日葵畑……」
「あ、孤児院で育ててるやつ?あれ素敵だよね!」
「ふふっ……そうね」
そして、懐かしい記憶を呼び覚ましてくれる。
あの子と出会いを。
「それで、会長はどういう風の吹き回し?去年に、もうやらない!って言い切ってたのに」
「そ、それは……その……あ、あれですよ!主のお導きが……!」
「へぇ~……フッ」
「あっ!鼻で笑ったー!」
「失礼しましたね~、敬虔な信徒さん。ま、あなたがいるなら今年も楽しみね。ふふふっ」
「ぐぬぬ~……」
去年の事は今でも思い出せる。
会長と……いえ、舞と初めて会ったのが、この朗読劇だった。
見上げ過ぎて太陽に焼かれた向日葵のように
私を特別だと思っていた私は死んで
何者でもない私だけが取り残された
「すみません」
朗読劇の説明会があるとなっていた小講堂に向かうと、人がまばらになっていた。
やっぱり、もう終わってしまったみたいね。
「あ、日向菊さん。朗読劇の生徒会参加枠ですか?」
「はい。仕事が終わらなくて遅くなってしまって……」
「大丈夫ですよ。はい、こちらがプリントになります。段取りは去年と同じですので」
「ありがとうございます」
椛先輩からふわりとした仕草で渡されたプリントを受け取ってサッと目を通す。
題材は去年とは流石に違うのね。
「あら?」
「ん?」
椛先輩の声に顔を上げる。
「どうしました?」
「ふふ、今年の生徒会はお二人、参加かしら」
「二人……?」
私の他に出るような人いたかしら。
その視線は私の後ろを見てたので振り返る。
「……会長」
「あ、や、その……」
「来年は演劇部の催しには参加しないって言ってたのはどこの誰でしたっけ?」
「うっ……」
会長はモジモジと髪を弄り出す。
「……あぁ、そういう事ね!」
椛先輩は何か納得したようだ。
「やっぱりね~。ふふ、それで、桜木生徒会長さんはどうしますか?」
椛先輩が意地悪そうな笑みを浮かべてる。
「さ、参加……し……しま……すん……」
「どっちよ……」
すん、て。
「参加……しま……す……!」
なんでそんな苦しそうに言うのよ。
「ねぇねぇ」
生徒会室に戻る道すがら、髪を弄びながら会長は話しかけてきた。
「何?」
「葵ちゃんはなんで今年も参加しようって思ったの?」
「朗読劇?」
「イエースッ」
何、その陽気なアメリカ人みたいな両手で指差す変なポーズ。
とは、口では突っ込まないけど。
「別に理由はないわよ。誰も参加したがらなかったじゃない。なら、私がやろうと思っただけよ」
「ダウツッ」
だから、何その変なノリ。
「あとはそうね。向日葵畑……」
「あ、孤児院で育ててるやつ?あれ素敵だよね!」
「ふふっ……そうね」
そして、懐かしい記憶を呼び覚ましてくれる。
あの子と出会いを。
「それで、会長はどういう風の吹き回し?去年に、もうやらない!って言い切ってたのに」
「そ、それは……その……あ、あれですよ!主のお導きが……!」
「へぇ~……フッ」
「あっ!鼻で笑ったー!」
「失礼しましたね~、敬虔な信徒さん。ま、あなたがいるなら今年も楽しみね。ふふふっ」
「ぐぬぬ~……」
去年の事は今でも思い出せる。
会長と……いえ、舞と初めて会ったのが、この朗読劇だった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる