話花【咲く花舞う花巡る季節】-向日葵の見上げる頃俯く頃に-

葵冬弥(あおいとうや)

文字の大きさ
16 / 21
向日葵の咲く頃

向日葵の咲く頃④

しおりを挟む
「お、本当かい?いや~、良かったよ」

「はい、よろしくお願いします」

初練習の日、練習終わりに会長に書記を引き受ける旨を伝えた。

「よろしく、日向菊 葵ひなぎく あおいちゃん。葵ちゃんと呼んでも良いかい?」

「え、はぁ、まぁ、良いですけど」

突然の距離の詰められ方に少し戸惑う。

これが鷲黒会長が女子だけどイケメンと言われる所以かもしれない。

「君はどうだい、舞ちゃん?」

「う、う~ん……」

頬をポリポリと掻く、桜木さん。

転入したばかりで無条件に生徒会に入れるというのに、何を迷うのかしら。

普通なら喉から手が出るほどほしがるものでしょうに。

鷲黒会長目当てに入りたがる人も多いけど。

「わ、わかりました。やってみます……!」

逡巡していたが、決意を固めたように、両手を握って頷いてみせた。

「よし。じゃあ、来学期からよろしく頼むよ、2人とも」

「はい」

「生徒会に入ったということで、舞ちゃんは今の部屋をそのまま使って良いからね」

「わかりました」

「葵ちゃんは夏休みのうちに少しずつ個室に荷物移してもらえれば良いよ。手伝いが必要なら声をかけてくれて良いから」

そういえば、生徒会はグランドハウスの上の階に個室が割当られるんだったわね。

「ありがとうございます」

「今空いているのは、4号室。舞ちゃんのお隣さんだね。鍵も次の練習の時に渡すから」

「わかりました」

会話から察するに、桜木さんは夏休みのうちは生徒会用の部屋の空いている部屋で寝泊まりしていたのね。

そして、それが正式に自分の部屋になったと。

本来は二学期からの編入でその時に部屋の割当も行われるはずたっだから。

この学園に高等部から入る子は少しいるけど、年の途中に編入なんて話聞かないものね。

エスカレーター式の中高一貫校だし。

「あ、あの」

私の思考を断ち切るように隣から声をかけらた。

「あ、葵ちゃん……!」

「……は、はい」

照れと振り絞った勇気と色々混ざった必死な顔で突然、名前をちゃん付けで呼ばれて、若干気遅れ、というか引いてしまった。

「不束者ですが、よろしくお願いします……!」

「そ、そこまでよろしくするほど何をお願いする気よ?」

ただのお隣さんじゃない。

「え、えっと……色々?」

「あぁ、そうだね。私も生徒会の仕事が忙しくて、満足に学園の案内もできてないんだよ。良かったら、夏休みのうちに案内や彼女の学習の進み具合のチェックも頼みたい、いや、お願いしたい」

桜木さんの肩に手を置いて、申し訳無さそうな顔を向けた後、私に頭を下げる。

「あ、頭を上げてください、鷲黒会長が頭をお下げにならなくても、それくらい私がやりますので」

「そうかい?いやー、今から色々と助かるよ。他にも舞ちゃんが不安に思う所は全部フォローしてあげてほしい」

え、そこまでは言ってない。

鷲黒会長は顔を上げると素敵な笑顔を浮かべる。

「……わ、分かりました」

有無を言わせない、鷲黒会長からそんな雰囲気が漂っていた。

なんだか、掌で踊らされてるのをすごく感じる……。

生徒会に入るのが突然不安になってきたわ……。

どこからどこまでも、何から何までも計算ずくな気がしてくる。

でも、それならそれで、私も利用されながら、利用するだけだわ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

処理中です...