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《case1》 有馬 望実の場合
プロローグ
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――どうして、放っておけないのよ。
両腕を押さえつけられ、ソファーに押し倒された少女は、無意識のうちにそう思っていた。
目の前の男は敵だ。気を許す気なんてありえない。……ありえない、はずだったのに。そんな気持ちが頭の中を支配する。
なのに、少女を触る男の手は優しかった。初めは乱暴だったのに、いつしか男は少女に優しくするようになっていた。絆され始めたのだろうか。そんな疑問が、浮かんでは消える。
口付けを止めない男は、少女に向かって微笑みかけた。口付けも、吸血行為も、乱暴だった頃の面影はない。
「……俺の元に来てくれたのが、望実ちゃんで、本当によかった……」
そう言って、男はまた少女に口付けた。
(そんな……優しい目で、見ないでよ……!)
そう思うと少女の気持ちなんて、知らないまま。男は少女を愛するのだった。
嫌悪感が薄れてしまうことが、少女は何よりも怖かった。何を恨めばいいのか、分からなくなってしまうから。拒否、出来なくなってしまうから。
『ごめんね……望実。守ってあげられなくて……』
そう言った母親は泣いていたじゃないか。そう思って、拒否しようとするのに、快楽に負けてしまう。
あの日、少女は人間達に捨てられた。その原因は、間違いなく目の前にいるヴァンパイアという種族なのに。
平穏な毎日を壊したのも、ヴァンパイアたちのせいなのに。なのに、どうして――。
(こんな感情に、なるのよ……!)
誰にぶつけていいか分からない怒りが、少女を蝕んでいく。
「望実ちゃん……いい?」
「んっ……」
返事をする間もなく唇を塞がれる。そして、ワンピースの胸元に男の手が伸びる。
拒否することは出来なかった。だって――。
(あたしは、負けてるから)
何に?決まってる。快楽に――だ。
両腕を押さえつけられ、ソファーに押し倒された少女は、無意識のうちにそう思っていた。
目の前の男は敵だ。気を許す気なんてありえない。……ありえない、はずだったのに。そんな気持ちが頭の中を支配する。
なのに、少女を触る男の手は優しかった。初めは乱暴だったのに、いつしか男は少女に優しくするようになっていた。絆され始めたのだろうか。そんな疑問が、浮かんでは消える。
口付けを止めない男は、少女に向かって微笑みかけた。口付けも、吸血行為も、乱暴だった頃の面影はない。
「……俺の元に来てくれたのが、望実ちゃんで、本当によかった……」
そう言って、男はまた少女に口付けた。
(そんな……優しい目で、見ないでよ……!)
そう思うと少女の気持ちなんて、知らないまま。男は少女を愛するのだった。
嫌悪感が薄れてしまうことが、少女は何よりも怖かった。何を恨めばいいのか、分からなくなってしまうから。拒否、出来なくなってしまうから。
『ごめんね……望実。守ってあげられなくて……』
そう言った母親は泣いていたじゃないか。そう思って、拒否しようとするのに、快楽に負けてしまう。
あの日、少女は人間達に捨てられた。その原因は、間違いなく目の前にいるヴァンパイアという種族なのに。
平穏な毎日を壊したのも、ヴァンパイアたちのせいなのに。なのに、どうして――。
(こんな感情に、なるのよ……!)
誰にぶつけていいか分からない怒りが、少女を蝕んでいく。
「望実ちゃん……いい?」
「んっ……」
返事をする間もなく唇を塞がれる。そして、ワンピースの胸元に男の手が伸びる。
拒否することは出来なかった。だって――。
(あたしは、負けてるから)
何に?決まってる。快楽に――だ。
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