いきなり有能になった俺の主人は、人生を何度も繰り返しているらしい

一花みえる

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3章

3-8

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 子供達を連れてメリッサ嬢のところに到着したのは、まもなく夜が明けるかという時間だった。真っ暗だった海に少しずつ朝日が差し込み、水面が美しく輝いていた。何事もなければ心から感動できたいたはずの光景も、今はただ虚しい。

 人が、死んだ。目の前で。

 もし俺がもっと早く光魔法を使っていたら、助けられたかもしれない。救える命だったかもしれない。でも、できなかった。助けられなかった。自分は、どうしようもなく無力だ。その事実に胸の奥がずしりと重たくなる。

 鉛のように重たい足を引きずりながらもメリッサ嬢に子供達を引き渡し、事情を説明する。昼間よりは簡素な服装ではあるが、寝ずに待っていてくれた姿を見ると、メリッサ嬢は俺たちを信じてくれていたことが伝わってくる。

「なるほど、フルーレ司教か」
「はい。僕たちが問い詰めたところ、主犯格の祭司がそのように言っておりました」
「もっと詳しく話を聞きたかったところだが、死んでしまったのなら仕方がない。禁忌である自殺でさえも恐れないとは……狂気じみているな」

 メリッサ嬢の言葉にノア様も渋い顔で相槌を打つ。いくら神のためとはいえ、禁じられている自殺を躊躇なく行ってのけた。それほどまでに教団側も切羽詰まっているということなのだろうか。

 それに、フルーレ司教が彼らにどのような情報を与えたのかも今になってはもうわからない。

「とはいえ、当初の目的は達成できている。感謝しよう、キャンベルの坊」
「子供たちは、衰弱しているとはいえ無傷です。数日休ませればすぐに回復するかと」
「よくやってくれた。約束通りポルテベラはベルリアンと同盟を組もう」
「ありがとうございます、メリッサ嬢」

 これで、ベルリアンは強力な味方を手に入れることができた。それはすなわちポルテベラが有する強大な飛龍隊が戦力になったということだ。ノア様によると、国王軍と聖騎士団は新兵器を携えて攻め込んでくるらしい。それに対抗するためには空中戦を制圧する必要があったのだ。

 詳しいことはメリッサ嬢とヘンリー伯爵が取り決めるだろう。俺たちにはまだすべきことがある。ここでゆっくりする暇はない。メリッサ嬢に簡単な挨拶をして、俺たちは次の都市、リベルマに向かうため屋敷を後にした。
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