いきなり有能になった俺の主人は、人生を何度も繰り返しているらしい

一花みえる

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5章

5-4

「な、なんでジョシュアが怒るの」
「怒るに決まってるだろ! もっと自分を大切にしろ、お前の声を聞いて、姿を見て、萎えるわけないだろ!」
「そこ!? いや、それもだけど……ジョシュア、僕のことそんな風に思って……えっ?」
 色々な感情がないまぜになり、気がついたら目から涙が溢れていた。ああくそ、なんで俺は泣いているんだ。みっともないし、情けない。
 でもノアにはちゃんと分かってもらわないと。
「俺が、どれほどお前のことが大切か、知らないだろ!」
「従者として大切にされてるってのは分かったけど」
「それ以外でもだ! お前はなんでも知ってるって顔してるくせに、なんでこんな簡単なことがわからないんだよ!」
 言葉を発するたびに勢いよく涙が溢れてくる。周りのために自分を殺して、それで周りが救われたら十分だって顔をしやがって。ふざけるな、お前だって幸せになればいいだろう。
 ただ生きるだけで十分と言うのなら、俺はその先にある幸福ってのを嫌ってほど教えてやる。
「だから、側にいてくれ……主人と従者じゃなくなったけど、俺はお前の騎士ではないけれど……一人の人間として、お前の隣にいたい」
「……、っ、うん」
 大きな緑色の瞳がふるりと震えた。思わず手を伸ばして柔らかな頬にそっと触れる。逃げられることもなく、静かに受け入れられた。
「ジョシュア……ありがとう、僕を信じてくれて。僕のために泣いてくれて」
 ゆっくりとノアの体を抱き寄せて髪を撫でる。肩の力が抜けて、じんわりと胸に優しい重さが伝わってきた。
「本当に救われたのは、僕の方だったかもしれない」
 そう呟いた声は、涙で少し湿っていた。
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