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プロローグ
プロローグ
大きな窓から強い西陽が差し込んでいた。橙色の光を背にしているのは、紛れもなく俺の主人であるノア・セシル・キャンベルである。癖のあるハニーブロンドの髪は夕日に照らされキラキラと輝いており、最高級の綿で仕立てられたシャツの上には同じくフルオーダーメイドのジャケットを折り目正しく着込んでいた。
普段は机に仕舞われっぱなしの万年筆を使い、紙に何かを書き込んでいる。ドアを開けるときのノックに返事はあった。しかし、どうせまだ昼寝をしているのだろうと思っていたけれど。まさか仕事に集中しすぎて周りの音が聞こえなくなっているとでも言うのだろうか。
あの、自堕落でわがまま放題、おまけに自分のやるべき仕事を全て俺に押し付けてくるノア様が。自分から熱心に仕事をしているだなんて。
「いいえ。その……急にご様子が変わられたと思いまして。本当に何もなかったんですか?」
「うん。いつも通り、滞りなくまた同じところからスタートだ」
「同じところ……? 何を言って」
「僕はね、ジョシュア」
口元に左手を寄せたまま、ノア様は静かに笑った。そして、まるで何事もないかのように、ごく自然な様子で。
「僕はこの物語を何度も繰り返しているんだ」
とんでもないことを言い始めた。
「は、あ?」
「タイムリープっていうのかな。いつもこの日のこの時間に戻ってくるんだ。だから今回も、特に問題なく再スタートって感じ」
「何、何を、言って」
ああ、どうしよう。ついにノア様がおかしくなってしまった! 今まで仕事から逃げるため散々嘘をつかれてきたが、こんな突拍子のない嘘は初めてだ。しかもここまで堂々と言うなんて。巷では散々ぐうたらだのポンコツだの言われているけれど、まさかこんなにも気が触れてしまうとは!
これは紛れもなく、ベルリアンの危機だ。
どんなに自堕落であってもノア様は次期ベルリアン領主である。すでに周りから本当に大丈夫かと心配されていると言うのに、加えて気が触れたとなったらベルリアンの未来に大きく関わってくる。これはもう俺一人ではどうしようもできない! 早く誰かに相談しないと!
「伯爵様! 父上! ノア様が大変です!」
「このパターンはもう飽きるほどしてきたから、逃げないよ。自分で行く」
その日、俺は初めて主人であるノア様の腕を掴んで隣を歩いた。ノア様の騎士であり、また従者でもある俺がこんなことをするのは不敬だというのに、ノア様は決して怒らず、むしろ落ち着いているかのようにも見えた。
俺の主人は、一体どうしてしまったんだろう!
普段は机に仕舞われっぱなしの万年筆を使い、紙に何かを書き込んでいる。ドアを開けるときのノックに返事はあった。しかし、どうせまだ昼寝をしているのだろうと思っていたけれど。まさか仕事に集中しすぎて周りの音が聞こえなくなっているとでも言うのだろうか。
あの、自堕落でわがまま放題、おまけに自分のやるべき仕事を全て俺に押し付けてくるノア様が。自分から熱心に仕事をしているだなんて。
「いいえ。その……急にご様子が変わられたと思いまして。本当に何もなかったんですか?」
「うん。いつも通り、滞りなくまた同じところからスタートだ」
「同じところ……? 何を言って」
「僕はね、ジョシュア」
口元に左手を寄せたまま、ノア様は静かに笑った。そして、まるで何事もないかのように、ごく自然な様子で。
「僕はこの物語を何度も繰り返しているんだ」
とんでもないことを言い始めた。
「は、あ?」
「タイムリープっていうのかな。いつもこの日のこの時間に戻ってくるんだ。だから今回も、特に問題なく再スタートって感じ」
「何、何を、言って」
ああ、どうしよう。ついにノア様がおかしくなってしまった! 今まで仕事から逃げるため散々嘘をつかれてきたが、こんな突拍子のない嘘は初めてだ。しかもここまで堂々と言うなんて。巷では散々ぐうたらだのポンコツだの言われているけれど、まさかこんなにも気が触れてしまうとは!
これは紛れもなく、ベルリアンの危機だ。
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