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1章
1-6
しかも「今回も」と言っていた。ということは、これは、一体何度目なんだ。いやいや、こんな話を頭から信じられるわけがない!
「繰り返しているって、でも、ノア様はお昼寝を」
「元々の僕は気持ちよくお昼寝をしていたんだけど、意識がぼんやりとしていたから僕の魂が体に入れたんだ」
「元の人格……?」
「二重人格、って言って伝わるかな。一つの器に二つの魂が入っている状態。最も僕が主人格だから元の僕は表に出てこられないけどね」
どうしよう。何を言っているのかさっぱりわからない。唯一分かったのは、元のぐうたら自堕落なノア様の代わりに、今の真面目でしっかりとしたノア様になってしまったということだけだ。どういう理屈か、とか、どうして、とか。大事なことは何一つわからないので解決にはならないが。
「初めの頃は僕もまだ慣れてなくてさ。元の人格とよく入れ替わっていたんだけど、今はもう大丈夫だから。安心してね」
「何をどう安心しろと……?」
ノア様が口を開くたびに混乱が増していく。
ああ、どうしよう。ついにノア様がおかしくなってしまった! 今まで仕事から逃げるため散々嘘をつかれてきたが、こんな突拍子のない嘘は初めてだ。しかもここまで堂々と言うなんて。巷では散々ぐうたらだのポンコツだの言われているけれど、まさかこんなにも気が触れてしまうとは!
これは紛れもなく、ベルリアンの危機だ。
どんなに自堕落であってもノア様は次期ベルリアン領主である。すでに周りから本当に大丈夫かと心配されていると言うのに、加えて気が触れたとなったらベルリアンの未来に大きく関わってくる。これはもう俺一人ではどうしようもできない! 早く誰かに相談しないと!
「伯爵様! 父上! ノア様が大変です!」
「うんうん、これも同じパターンだね。よかった、ちゃんとループ出来ている」
一人で慌てふためいているというのに、ノア様は平然としている。この冷静さにまた動揺してしまう。もう少し焦ってほしい。俺ばっかりジタバタしていて恥ずかしい。しかしそんなこと言っていられない。何はなくとも、まず伯爵様たちに相談しなくては。
途中で逃げられたら困るので思わず腕を握る。しかしノア様は、まるで初めから俺がそうすることがわかっていたかのようにするりと身を翻した。
「このパターンはもう飽きるほどしてきたから、逃げないよ。自分で行く」
「そうかもしれませんが、念の為です」
「用心深いなぁ、ジョシュアは」
結局、腕を掴むことは許してもらえた。普段はノア様の半歩後ろを歩いているのに、今日は俺の方が先を歩いている。
ノア様の騎士であり、また従者でもある俺がこんなことをするのは不敬だというのに、ノア様は決して怒らず、むしろどこか楽しんでいるかのように見えた。
「繰り返しているって、でも、ノア様はお昼寝を」
「元々の僕は気持ちよくお昼寝をしていたんだけど、意識がぼんやりとしていたから僕の魂が体に入れたんだ」
「元の人格……?」
「二重人格、って言って伝わるかな。一つの器に二つの魂が入っている状態。最も僕が主人格だから元の僕は表に出てこられないけどね」
どうしよう。何を言っているのかさっぱりわからない。唯一分かったのは、元のぐうたら自堕落なノア様の代わりに、今の真面目でしっかりとしたノア様になってしまったということだけだ。どういう理屈か、とか、どうして、とか。大事なことは何一つわからないので解決にはならないが。
「初めの頃は僕もまだ慣れてなくてさ。元の人格とよく入れ替わっていたんだけど、今はもう大丈夫だから。安心してね」
「何をどう安心しろと……?」
ノア様が口を開くたびに混乱が増していく。
ああ、どうしよう。ついにノア様がおかしくなってしまった! 今まで仕事から逃げるため散々嘘をつかれてきたが、こんな突拍子のない嘘は初めてだ。しかもここまで堂々と言うなんて。巷では散々ぐうたらだのポンコツだの言われているけれど、まさかこんなにも気が触れてしまうとは!
これは紛れもなく、ベルリアンの危機だ。
どんなに自堕落であってもノア様は次期ベルリアン領主である。すでに周りから本当に大丈夫かと心配されていると言うのに、加えて気が触れたとなったらベルリアンの未来に大きく関わってくる。これはもう俺一人ではどうしようもできない! 早く誰かに相談しないと!
「伯爵様! 父上! ノア様が大変です!」
「うんうん、これも同じパターンだね。よかった、ちゃんとループ出来ている」
一人で慌てふためいているというのに、ノア様は平然としている。この冷静さにまた動揺してしまう。もう少し焦ってほしい。俺ばっかりジタバタしていて恥ずかしい。しかしそんなこと言っていられない。何はなくとも、まず伯爵様たちに相談しなくては。
途中で逃げられたら困るので思わず腕を握る。しかしノア様は、まるで初めから俺がそうすることがわかっていたかのようにするりと身を翻した。
「このパターンはもう飽きるほどしてきたから、逃げないよ。自分で行く」
「そうかもしれませんが、念の為です」
「用心深いなぁ、ジョシュアは」
結局、腕を掴むことは許してもらえた。普段はノア様の半歩後ろを歩いているのに、今日は俺の方が先を歩いている。
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