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1章
1-9
「お、王太子が!?」
「ノア様! いい加減になされよ、あまりにも不敬であるぞ!」
王室への忠誠を誓う伯爵様は怒りで顔を真っ赤にし、同じく父上も怒りで拳をブルブルと震えていた。この二人がこんなにも怒るのを初めて見た気がする。
「残念ながら本当です。これだけは何をやっても変えられなかった」
「ふざけたことを言うな! 先ほどから国王への侮辱だけじゃ飽き足らず、王太子の崩御だなんて……!」
ついに我慢が限界を迎えたのか、伯爵様が勢いよくノア様に飛びかかってきた。重たい槍を軽々と振り回す伯爵様の腕は、ノア様の体を簡単にへし折れそうなほど太い。軽く殴られただけで気絶してしまうだろう。
これは、さすがにまずい。
でも俺じゃ伯爵様を止められない。いや、立場的には伯爵様に従うべきだ。
わかっている、けど、体が動かない。
「ノア! 国王への侮辱、ここで詫びろ!」
「ノア様……!」
思い切り振り上げられた拳が風を切る。止めることも、庇うことも、何もできない。ただ見ることしかできない。
せめて吹き飛ばされたノア様の手当てを全力でしようと覚悟を決めた、その瞬間。
「さすがに何回も見ると慣れてしまうね」
「……は?」
軽い足取りで、ノア様は伯爵様の拳を避けた。ここに来るとわかっていたかのように、無駄のない動きで完璧にかわした。予想外の動きに伯爵様は勢いを殺せなかったのか、思い切り床に転がり倒れた。
父上も、俺も、このあり得ない状況に言葉もでない。
戦場で負けなしの伯爵様が、ぐうたらで寝てばかりだったノア様にかわされた。誰の助けもなく。こんなことが、あっていいのか。
「父上、明日になれば全てがわかります。僕のことを信じてくれなくていい。でも、領主としてやるべきことを成してください」
「ノア……お前……っ!」
「監禁部屋の鍵をもらいますね。見張りはジョシュアに頼みます」
ノア様は戸棚にしまってある監禁部屋の鍵を取り出し、俺に向かって軽く投げてきた。慌ててそれを受け取ると、さっさと部屋から出ていくノア様の背中を急いで追いかけた。背中越しに伯爵様と父上の動揺した声が聞こえていた。
「ノア様! いい加減になされよ、あまりにも不敬であるぞ!」
王室への忠誠を誓う伯爵様は怒りで顔を真っ赤にし、同じく父上も怒りで拳をブルブルと震えていた。この二人がこんなにも怒るのを初めて見た気がする。
「残念ながら本当です。これだけは何をやっても変えられなかった」
「ふざけたことを言うな! 先ほどから国王への侮辱だけじゃ飽き足らず、王太子の崩御だなんて……!」
ついに我慢が限界を迎えたのか、伯爵様が勢いよくノア様に飛びかかってきた。重たい槍を軽々と振り回す伯爵様の腕は、ノア様の体を簡単にへし折れそうなほど太い。軽く殴られただけで気絶してしまうだろう。
これは、さすがにまずい。
でも俺じゃ伯爵様を止められない。いや、立場的には伯爵様に従うべきだ。
わかっている、けど、体が動かない。
「ノア! 国王への侮辱、ここで詫びろ!」
「ノア様……!」
思い切り振り上げられた拳が風を切る。止めることも、庇うことも、何もできない。ただ見ることしかできない。
せめて吹き飛ばされたノア様の手当てを全力でしようと覚悟を決めた、その瞬間。
「さすがに何回も見ると慣れてしまうね」
「……は?」
軽い足取りで、ノア様は伯爵様の拳を避けた。ここに来るとわかっていたかのように、無駄のない動きで完璧にかわした。予想外の動きに伯爵様は勢いを殺せなかったのか、思い切り床に転がり倒れた。
父上も、俺も、このあり得ない状況に言葉もでない。
戦場で負けなしの伯爵様が、ぐうたらで寝てばかりだったノア様にかわされた。誰の助けもなく。こんなことが、あっていいのか。
「父上、明日になれば全てがわかります。僕のことを信じてくれなくていい。でも、領主としてやるべきことを成してください」
「ノア……お前……っ!」
「監禁部屋の鍵をもらいますね。見張りはジョシュアに頼みます」
ノア様は戸棚にしまってある監禁部屋の鍵を取り出し、俺に向かって軽く投げてきた。慌ててそれを受け取ると、さっさと部屋から出ていくノア様の背中を急いで追いかけた。背中越しに伯爵様と父上の動揺した声が聞こえていた。
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