いきなり有能になった俺の主人は、人生を何度も繰り返しているらしい

一花みえる

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2章

2-7

 決戦の日が、ついに明日に迫ってきた。領土はどこも不安に満たされている。本当に国王軍は攻め込んでくるのか、付け焼き刃にすぎない兵士たちで領土は守れるのか。自分たちは国王に見捨てられたのか。そんな心配で色がついたような雰囲気は屋敷にいる俺たちにも伝わってきていた。

 正直、俺だって不安だ。ノア様の言葉を信じたい気持ちはあるが、それでもまだ心から受け入れることができていない。

「やっぱり鎧は重たいね」
「ご要望通り、なるべく軽くしましたが」
「わかってるよ。ありがとう、色々と」

 身軽に動きたいというノア様の願いを叶えるため、こちらもヤコフ爺さんに頼んだ特注の鎧だ。頑丈だけど軽く、弓程度であれば確実に防ぐことができる。おそらく相手は最初に弓矢で攻撃してくるだろう。それを受けるのは、間違いなく先頭のノア様だ。

 飛んでくる方向がわかればある程度の弓は切り落とせると言っているが、やはり念には念を入れておきたい。かなり難しい注文だったが無事に完成して本当によかった。

「大きさもぴったりだ。これなら楽に動ける」
「痛みはありませんか?」
「大丈夫だよ。だからそんな顔をしないで、ジョシュア」
「……はい」

 果たして俺はどんな顔をしているんだろう。きっと、心配で仕方ない、って顔なんだろうな。どんなに自分を誤魔化そうとしても不安な気持ちは消えてくれない。俺にとって、ノア様にとって、初めての本格的な戦闘だ。おまけにノア様は最も危険のある場所に行く。防衛戦だから俺たちがうまく動かなければ全ての作戦が台無しになる。

 俺でさえ、ここまでのプレッシャーを感じているんだ。ノア様に襲いかかる負担はどれほどのものだろうか。

「僕を信じて……とは言っても、まだ難しいと思うけど」
「申し訳ありません」
「謝らないで。僕は気にしていない。まずは二人、生き延びることだけを考えよう」

 真鍮の鎧に身を包んだノア様は、俺の不安をかき消すように力強く微笑んだ。それがどこまで虚勢で、どこまでが本音なのか。

 俺にはまだ、わからなかった。
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