我ガ奇ナル日常譚 〜夢とリアルと日々ホラー〜

羽瀬川璃紗

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14 同室

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 丁度、今くらいの時季。私が大病を患い、手術の為に入院した時の話だ。 


 同室に、同世代の女性患者が居た。
 同じ病気で、私が入院する1週間前に、偶然にも私が受ける予定のと同じ手術を受けたという。 

 だが、彼女はあまり術後の経過が良くなく、母親が泊まり込みで世話をしていた。なので入院中は、彼女よりその母親さんと話すのが多かった。 


 そして手術。

 比較的大手術だったが、もともと悪性度が低かったので、経過はとても良好だった。
 結局、私は彼女より後に入院したのに、先に退院する事になった。 

 『お世話になりました。先に退院する事になりまして、すみません』と、私は病室を心苦しく後にした。 


 退院して約1ヵ月後、経過観察で受診する前日に、妙な夢を見た。 


 夜中に目覚めたので寝直したら、金縛りになった。 

 ところが、激しい足音がして、私の頭付近にあるドアを何者かが乱暴に開けて入って来た。 

(ええ!?何?) 

 暗いから誰なのか分からないが、髪を振り乱した人物は私の頭を掴むと、大声を上げながら揺すり始めた。 

『○○○○○!!○○○○○!!』 

 痛いしうるさいし、何より恐怖。発しているのは5文字くらいの同じ言葉で、繰り返し叫んでいる。 

(おじいちゃん助けて!!) 

 咄嗟に、子供の頃に亡くなった祖父に助けを求めると、悪夢から覚めた。 


 ホッとするも、私はある事実に気付く。 

(あの人、同室だった彼女のお母さんだ…。『オマエダケ(先に治ったな)!!』って叫んでたよ…) 


 気が気じゃないが、受診した病院の待合室に、彼女の姿は無かった。当時はまだ入院治療中だったのだろう。 

 その後も、経過観察で何度も病院へ通ったが、彼女や母親さんを見かける事はなかった。 


 正解は無いかもしれないが、退院時にもっと良い対応があったかもと、今でも考える。 

 羨望は、金や権力のある所だけに存在する訳じゃないのだ。

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