44 / 153
44 終点
しおりを挟む
私が30代になった頃に見た、自分至上1番か2番目に怖い夢?の話。
夢を見た。
私はバスに乗っていた。 バスはよく知る地元の旧国道を進んだ。
幼い頃この通りにある商店街のケーキ屋で、バースデーケーキを買って家族と食べた。私が高校生の時には、既に商店街はシャッターだらけとなっていたっけ。
バスはデパートのあった空き地脇を通った。
幼稚園の頃、ここには小さなデパートがあった。5階建てで、最上階の窓辺に立つと、市内全体が見えたものだ。
(今じゃこの町には、高層階のマンションが幾つも建ってしまった)
バスは港町の手前で右折した。
この路線は港町へは行かない。たまに珍しく常連以外の客が乗っていると、大体この辺りで乗り間違いに気付いて下車したものだ。
運転手も『港行きのバス停は役場の裏にあるから、歩いてすぐだよ』と慣れた口調で誘導した。
(それにしても、このバスはどこに行くのだろう)
バスは公営団地の敷地内を進んだ。
(前はこんなとこ通らなかったのに。路線変更して再編されたのか。こんな団地の部屋の前を進んで騒音とか平気なのかな)
そう言えば団地の近くに、仲の良かった友人:アユの家があった。
小学生から高校生くらいまで、アユの家には何十回も遊びに行っていた。高3の時、たまたま私は希望の職に内定したが、アユは内定を貰えないままだった。
何でもそつなくこなし、明るくハキハキしたアユにとって、それは初めての挫折だったと思う。
若さゆえ、互いにどんな顔で何を話したらいいか、分からなくなった。
そして顔を合わす事なく、現在に至る。
(私は結局その後、その仕事を辞めて転職した。アユはどうしているんだろう?)
バスはアユの家に近づいて、敷地内へ入って行く。
玄関が開いているのが見え、アナウンスが聞こえる。
≪ミズサワ家玄関前、ミズサワ家玄関前。お降りの方は居ませんか?≫
(ここまでこのバス入れるの?)
私は驚いて辺りを見渡す。 誰も乗客はない。
≪次は終点…、≫
玄関の奥、和室の襖も開いているのが見えた。確かあの部屋は…。
≪ミズサワ家仏壇に参ります≫
ギョッとする私をよそに、バスはエンジンの回転数を上げて玄関から中に入ろうとする。
(いや、これマズい。起きなきゃ!!)
私は瞬間的に覚醒した。バスでは無い、見覚えのある自分の部屋の天井が見え、布団の感触にホッとする。
(終点が仏壇とかって、霊的な何かに狙われてるみたいじゃん。嫌な夢)
私は寝直す事にした。目を閉じると…。
私はバスの座席に居た。バスはアユの家の玄関をくぐった。
(うわ、夢の連結切れてないし!)
また私は目を開ける。当たり前に自室の布団の中だった。目を閉じる。
バスはアユの家の仏間へ突入したとこだった。
(寝ちゃだめ!)
私は念の為、そこから30分ほど起きてから、眠りについた。 続きの夢は見なかったし、以来アユの家も夢に見る事はなくなった。
アユの家の仏壇は、手を合わせた事も無ければ粗相をした覚えも無い。何故夢に出て来たのか、寝直して2度も再出現したのかも不明である。
霊的かは分からないが、悪夢の中でも本気でゾッとした夢であった。
夢を見た。
私はバスに乗っていた。 バスはよく知る地元の旧国道を進んだ。
幼い頃この通りにある商店街のケーキ屋で、バースデーケーキを買って家族と食べた。私が高校生の時には、既に商店街はシャッターだらけとなっていたっけ。
バスはデパートのあった空き地脇を通った。
幼稚園の頃、ここには小さなデパートがあった。5階建てで、最上階の窓辺に立つと、市内全体が見えたものだ。
(今じゃこの町には、高層階のマンションが幾つも建ってしまった)
バスは港町の手前で右折した。
この路線は港町へは行かない。たまに珍しく常連以外の客が乗っていると、大体この辺りで乗り間違いに気付いて下車したものだ。
運転手も『港行きのバス停は役場の裏にあるから、歩いてすぐだよ』と慣れた口調で誘導した。
(それにしても、このバスはどこに行くのだろう)
バスは公営団地の敷地内を進んだ。
(前はこんなとこ通らなかったのに。路線変更して再編されたのか。こんな団地の部屋の前を進んで騒音とか平気なのかな)
そう言えば団地の近くに、仲の良かった友人:アユの家があった。
小学生から高校生くらいまで、アユの家には何十回も遊びに行っていた。高3の時、たまたま私は希望の職に内定したが、アユは内定を貰えないままだった。
何でもそつなくこなし、明るくハキハキしたアユにとって、それは初めての挫折だったと思う。
若さゆえ、互いにどんな顔で何を話したらいいか、分からなくなった。
そして顔を合わす事なく、現在に至る。
(私は結局その後、その仕事を辞めて転職した。アユはどうしているんだろう?)
バスはアユの家に近づいて、敷地内へ入って行く。
玄関が開いているのが見え、アナウンスが聞こえる。
≪ミズサワ家玄関前、ミズサワ家玄関前。お降りの方は居ませんか?≫
(ここまでこのバス入れるの?)
私は驚いて辺りを見渡す。 誰も乗客はない。
≪次は終点…、≫
玄関の奥、和室の襖も開いているのが見えた。確かあの部屋は…。
≪ミズサワ家仏壇に参ります≫
ギョッとする私をよそに、バスはエンジンの回転数を上げて玄関から中に入ろうとする。
(いや、これマズい。起きなきゃ!!)
私は瞬間的に覚醒した。バスでは無い、見覚えのある自分の部屋の天井が見え、布団の感触にホッとする。
(終点が仏壇とかって、霊的な何かに狙われてるみたいじゃん。嫌な夢)
私は寝直す事にした。目を閉じると…。
私はバスの座席に居た。バスはアユの家の玄関をくぐった。
(うわ、夢の連結切れてないし!)
また私は目を開ける。当たり前に自室の布団の中だった。目を閉じる。
バスはアユの家の仏間へ突入したとこだった。
(寝ちゃだめ!)
私は念の為、そこから30分ほど起きてから、眠りについた。 続きの夢は見なかったし、以来アユの家も夢に見る事はなくなった。
アユの家の仏壇は、手を合わせた事も無ければ粗相をした覚えも無い。何故夢に出て来たのか、寝直して2度も再出現したのかも不明である。
霊的かは分からないが、悪夢の中でも本気でゾッとした夢であった。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる