我ガ奇ナル日常譚 〜夢とリアルと日々ホラー〜

羽瀬川璃紗

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46 幸福

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 多様化の時代。友人から聞いた話。 


 友人:セイラには2歳上の従姉のフタバが居る。 
 フタバの母である叔母は、頭の良い娘の事でよくマウントを取っていたので、距離を置き気味だったらしい。 


 月日は流れ、セイラは結婚。挙式に叔母夫婦とフタバを招待したが、フタバだけ『仕事の都合』で欠席。 

 欠席の知らせを受けたその夜、セイラは嫌な夢を見た。 


 夢の中で、セイラは彼氏(現夫)と旅行に行こうしていた。ある場所で日の出を見るので、待ち合わせは午前3時。 

 真っ暗な外で彼氏の車を待っていたセイラは、あるものに気づき凍り付いた。 

 暗闇の路上、音も無く女が居る。女は黄色のドレスを着崩し、裸足だった。 

(え、頭おかしい人?) 

 ところが、それはフタバだった。 

(あの服…、フタバの家に飾ってあったピアノの発表会の時の写真のやつ。何で無理矢理子供の頃の服を着て、ここに居るの?) 

 フタバはニタっと笑い、歩いてきた。 

『久しぶり、せっちゃん。こんな時間にどこ行くの?』

 ただならぬ雰囲気に、身の危険を感じた。 

『来ないで!』

 思わず叫ぶと場面が変わった。 

 着せ替え人形を両手で1体ずつ、計2体誰かが掴んでいる。 

 右手の人形の髪の部分で、左手の人形を、鞭の様に激しく叩く。 

 そこで夢は終わった。 


 当時は式の準備で気が立ってると思い、セイラは気にも留めなかった。 


 挙式。

 セイラの兄の話では、久しぶりに会った叔母は、式の間ずっとフタバの愚痴を言っていたらしい。 

「うちの子、今年35なのにまだ実家暮らしで結婚の予定も無いのよ! いつになったら孫の顔見せてくれるのかしら!」 

 自慢の娘だったのに、極端なものだ。 


 そして、セイラは第1子を妊娠。里帰り中、たまたま叔母と会った。 

「聞いたわよ、おめでとう。予定日いつ?」 

「再来月です」 

「そうなんだぁ。うちは一体いつになるやら…、私も赤ちゃん抱っこしたいわ!」 

 そしてその夜、セイラは夢を見た。 


 スーパーで買物中、フタバと会った。 

『旦那さん、可哀想ね。奥さんこんなだと相手して貰えないでしょ? よく言うじゃん、妊娠中の浮気って』

 夢の中だし、色々思うところもあり、カチンときたセイラはぶちまけた。 

『ううん、むしろ外で発散してもらった方が丁度いいわ。それぐらいの余裕もってないと、結婚なんか無理無理』

 フタバはムッとして、買物かごを投げつけてきた。 


 という夢を見たので、セイラは私に相談をしてきた。 

「タイミングといい悪意感じるよね? 妊娠中だし、子供も心配で…」 

「うーん。なかなか難しいけど、ご両親に叔母さんへセイラの話するの控えてもらったら? 直接繋がってやり取りしてないなら、叔母さん経由なんじゃない?」 

「うん、話してみる~」 


 その後、無事長男が誕生。誕生は叔母さんやフタバの耳にも届いたようだが、セイラは特に夢を見る事も無かった。 

 そして、セイラとフタバは思わぬ再会をした。 


 ママ友と参加した『地域のイベント』の、マッサージのブースにフタバが居たのだ。 

 ぎこちなく挨拶したセイラに対し、フタバは施術をしながら明るく話してきた。 

「結婚式行けなくてごめんね。あの時、仕事辞めてエステティシャンの学校通っててさ。その後は開業準備で、ずっと忙しくて」 


 夢のイメージから、結婚し母となった自分へ憎悪を抱いてるかと思いきや、全くそんな気配は無い。
 フタバは自店の宣伝を兼ねて、色々なイベントで無料施術をしているという。 


「叔母さん、元気?」 

「さあ? 元気なんじゃない? 実家出てから、電話来てもあまり話さないんだ。
『大学まで出したんだから親の面倒を見ろ』『女は結婚して子供を産め』って超うるさいし。典型的な毒親だね。離れてせいせいした!」 


 今ではその再会をきっかけに、セイラとフタバの親交も深まった。 


「夢の中のフタバは、あの子実の際の本心の表れだと思う。でもあそこまで歪んで強調されたのは、叔母さんのせいじゃないかな。
色々言って、フタバを追い込んだと思うんだよね」 


 フタバは『母親の二の舞になりそうだから、結婚したいと思わない』と考えているらしい。
 彼女は良き仲間に囲まれ、趣味に仕事に多忙で、いい歳の独身=不幸とは到底思えない毎日を過ごしている。 


 結婚して、子供に恵まれる事だけが幸せでは無い。結婚も子供も、自分1人では出来ない経験が出来るというだけに過ぎないと、私は考えている。 

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