113 / 153
113 玄関
しおりを挟む
私は、あるシチュエーションの夢をよく見る。
それは、『歩いて自宅に帰る』という夢だ。その夢の中で『帰宅』のために使う道は、通っていた小学校の通学路で小学生時代によく使っていたルート、そして夢の中の自宅は『実家』である。
夢によって、細かい内容はちょっと違う。
襲い来る者に見つからぬよう身を潜めながら帰宅したり、『敵』と戦いながらだったり、街灯すら点いてない真っ暗な無人の道を恐々歩いたり、様々だ。
とにかく、歩いて実家の敷地に入ったり玄関に着いて、ホッとしたとこで終焉、そんな夢である。
ちなみに、私を追うモノの8割は、敷地に入った時点でそれ以上私へ接近が出来なくなり、残る2割も、玄関の戸を閉めたら全てが無効化される。
これは明晰夢状態でも通常夢状態でも、あまり変わりない。
高校生や20代の頃も見たが、結婚で実家を離れた頃から頻繁に見るようになった。一種の郷愁や追慕みたいなものだと、私は考えていた。
一方、夢の中に母方の祖母宅が出て来る事もある。
シチュエーションは用事で立ち寄っていたり、泊まっていたりと様々なのだが、共通している事がある。『玄関』の状態だ。
ドアが何故か付いてなかったり、壁が段ボールだったり、玄関部分だけ家から分離しているなど、『玄関』が役目を果たしていないのだ。
実家に寄った際に、母にこの話をしてみた。母は言った。
「ふーん。でもあたしもおばあちゃんちの玄関の戸を閉めたら、そのまま外れて倒れるっていう夢を前に見たよ」
「母さんもなんだ。…あ、もしや家主の状態と比例して居るかな?」
母方祖母は認知症だが、施設入所を極端に嫌がり、母と伯母が毎日遠隔介護をして独居生活を支えている。
「かもしれないね。それより、夢の中のあんたにとって『実家』であるこの家は最強のイメージなんだね。魔物も全部無効化だなんて、まるで結界が張ってあるみたい」
母は笑って言った。
力も知恵も持たない子供の頃、親は全能の存在だった。その親が管理している家は、唯一無二の絶対的な『安住の地』、みたいなものか。
私にはある考えも浮かんだ。
「『結界』がもしあるとしたら、それってそこに暮らす人の『力』も関係してるのかな。この家は住んでいる父さんも母さんも健康そのものだけど、お祖母ちゃんは自分の身の回りのこともおぼつかないくらいだし」
「うーん、確かに考えてみれば、お祖母ちゃんちは私の生まれ育った実家だけど、夢の中に出てきた時に安心感無いのよね。玄関壊れてたり、屋根や壁無かったりだったし」
果たして象徴的な夢は、『顕在意識で自覚している物が出現』しているのか、『第六感など無意識で検知した物が出現』しているのか。
ちなみに最近、夢に実家が出て来た時は、実家の玄関は雪国仕様の二重扉だった。
我が実家、強固なり。
それは、『歩いて自宅に帰る』という夢だ。その夢の中で『帰宅』のために使う道は、通っていた小学校の通学路で小学生時代によく使っていたルート、そして夢の中の自宅は『実家』である。
夢によって、細かい内容はちょっと違う。
襲い来る者に見つからぬよう身を潜めながら帰宅したり、『敵』と戦いながらだったり、街灯すら点いてない真っ暗な無人の道を恐々歩いたり、様々だ。
とにかく、歩いて実家の敷地に入ったり玄関に着いて、ホッとしたとこで終焉、そんな夢である。
ちなみに、私を追うモノの8割は、敷地に入った時点でそれ以上私へ接近が出来なくなり、残る2割も、玄関の戸を閉めたら全てが無効化される。
これは明晰夢状態でも通常夢状態でも、あまり変わりない。
高校生や20代の頃も見たが、結婚で実家を離れた頃から頻繁に見るようになった。一種の郷愁や追慕みたいなものだと、私は考えていた。
一方、夢の中に母方の祖母宅が出て来る事もある。
シチュエーションは用事で立ち寄っていたり、泊まっていたりと様々なのだが、共通している事がある。『玄関』の状態だ。
ドアが何故か付いてなかったり、壁が段ボールだったり、玄関部分だけ家から分離しているなど、『玄関』が役目を果たしていないのだ。
実家に寄った際に、母にこの話をしてみた。母は言った。
「ふーん。でもあたしもおばあちゃんちの玄関の戸を閉めたら、そのまま外れて倒れるっていう夢を前に見たよ」
「母さんもなんだ。…あ、もしや家主の状態と比例して居るかな?」
母方祖母は認知症だが、施設入所を極端に嫌がり、母と伯母が毎日遠隔介護をして独居生活を支えている。
「かもしれないね。それより、夢の中のあんたにとって『実家』であるこの家は最強のイメージなんだね。魔物も全部無効化だなんて、まるで結界が張ってあるみたい」
母は笑って言った。
力も知恵も持たない子供の頃、親は全能の存在だった。その親が管理している家は、唯一無二の絶対的な『安住の地』、みたいなものか。
私にはある考えも浮かんだ。
「『結界』がもしあるとしたら、それってそこに暮らす人の『力』も関係してるのかな。この家は住んでいる父さんも母さんも健康そのものだけど、お祖母ちゃんは自分の身の回りのこともおぼつかないくらいだし」
「うーん、確かに考えてみれば、お祖母ちゃんちは私の生まれ育った実家だけど、夢の中に出てきた時に安心感無いのよね。玄関壊れてたり、屋根や壁無かったりだったし」
果たして象徴的な夢は、『顕在意識で自覚している物が出現』しているのか、『第六感など無意識で検知した物が出現』しているのか。
ちなみに最近、夢に実家が出て来た時は、実家の玄関は雪国仕様の二重扉だった。
我が実家、強固なり。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる