我ガ奇ナル日常譚 〜夢とリアルと日々ホラー〜

羽瀬川璃紗

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113 玄関

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 私は、あるシチュエーションの夢をよく見る。


 それは、『歩いて自宅に帰る』という夢だ。その夢の中で『帰宅』のために使う道は、通っていた小学校の通学路で小学生時代によく使っていたルート、そして夢の中の自宅は『実家』である。

 夢によって、細かい内容はちょっと違う。
 襲い来る者に見つからぬよう身を潜めながら帰宅したり、『敵』と戦いながらだったり、街灯すら点いてない真っ暗な無人の道を恐々歩いたり、様々だ。

 とにかく、歩いて実家の敷地に入ったり玄関に着いて、ホッとしたとこで終焉、そんな夢である。
 ちなみに、私を追うモノの8割は、敷地に入った時点でそれ以上私へ接近が出来なくなり、残る2割も、玄関の戸を閉めたら全てが無効化される。
 これは明晰夢状態でも通常夢状態でも、あまり変わりない。

 高校生や20代の頃も見たが、結婚で実家を離れた頃から頻繁に見るようになった。一種の郷愁や追慕みたいなものだと、私は考えていた。


 一方、夢の中に母方の祖母宅が出て来る事もある。

 シチュエーションは用事で立ち寄っていたり、泊まっていたりと様々なのだが、共通している事がある。『玄関』の状態だ。
 ドアが何故か付いてなかったり、壁が段ボールだったり、玄関部分だけ家から分離しているなど、『玄関』が役目を果たしていないのだ。


 実家に寄った際に、母にこの話をしてみた。母は言った。

「ふーん。でもあたしもおばあちゃんちの玄関の戸を閉めたら、そのまま外れて倒れるっていう夢を前に見たよ」

「母さんもなんだ。…あ、もしや家主の状態と比例して居るかな?」

 母方祖母は認知症だが、施設入所を極端に嫌がり、母と伯母が毎日遠隔介護をして独居生活を支えている。

「かもしれないね。それより、夢の中のあんたにとって『実家』であるこの家は最強のイメージなんだね。魔物も全部無効化だなんて、まるで結界が張ってあるみたい」

 母は笑って言った。

 力も知恵も持たない子供の頃、親は全能の存在だった。その親が管理している家は、唯一無二の絶対的な『安住の地』、みたいなものか。

 私にはある考えも浮かんだ。

「『結界』がもしあるとしたら、それってそこに暮らす人の『力』も関係してるのかな。この家は住んでいる父さんも母さんも健康そのものだけど、お祖母ちゃんは自分の身の回りのこともおぼつかないくらいだし」

「うーん、確かに考えてみれば、お祖母ちゃんちは私の生まれ育った実家だけど、夢の中に出てきた時に安心感無いのよね。玄関壊れてたり、屋根や壁無かったりだったし」


 果たして象徴的な夢は、『顕在意識で自覚している物が出現』しているのか、『第六感など無意識で検知した物が出現』しているのか。

 ちなみに最近、夢に実家が出て来た時は、実家の玄関は雪国仕様の二重扉だった。
 我が実家、強固なり。

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