我ガ奇ナル日常譚 〜夢とリアルと日々ホラー〜

羽瀬川璃紗

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142 その道には何が隠されているのか

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 私が21歳くらいの頃の話。

 高卒で働き始めた会社は、車通勤が原則であった。場所が市街地から遠く離れている上に、夜勤があり公共交通機関を物理的に使えない。
 3月まで夜遊びすれば怒られる高校生だったのに、夜中に出歩いて車の運転かぁなどと思いつつ、若い私は通勤したものだ。

 深夜から夜明けの時間帯に車を走らせていると、昼間とは違う景色が見えた。
 夜間だけ行なう道路工事、夜遊び帰りの若者(土日限定)、長距離トラックだけが行き交うバイパス道路、終電後も通る貨物列車…、などなど。

 通勤ルート上に墓地や心霊スポットは無いが、あまり良い感じのしない場所があった。
 そこは両側に住宅の立ち並ぶ、平凡な300メートル程の直線で何の変哲もない道路なのだが、昼はともかく夜に通ると嫌な感じがした。

 入社初年度、そこの道路で2回も轢かれた猫の死骸に遭遇。2年目は、道路の突き当りの線路(私は途中で曲がるのでそこまで行かない)で、飛び込み自殺が発生。そして3年目のこと。


 いつもの様に深夜に通勤していると、車のライトに照らされ、路上に謎の物体があるのが見えた。それは燭台つきの蝋燭2本と、点した線香を挿す鉢だった。
 蠟燭は片側車線の両端に配置され、その丁度真ん中に鉢が置かれ、まるで道路が巨大な仏壇みたいな状態だ。

(え、ええ⁉)

 咄嗟に止まれず、反対車線に避けるにも遅すぎて、鉢をまたぐようにハンドル操作をして何とか場を通過した。

(何あれ、何かの儀式?)

 いま考えると趣味の悪い悪戯なのだろうが、嫌な汗をかいたのと線香は挿されてなかったのを、私は覚えている。


 それから半月後。また深夜にそこを通ると、車の遥か前を何かが横切った。丸く光る何かが3回ほど円を描く様に横切ったので、自転車のタイヤに付けられた反射板かと思ったのだが。

(タイヤだとしたら、大き過ぎるな。道路の速度標識と同じの高さに光が来てたぞ…?)

 しかも、走れどもその道路を横切った自転車は見当たらない。

(多分どこかの家に入ったのだ。きっとそうだ)

 私は自分を誤魔化し、運転に集中した。


 4年目、その道路が立体交差になるため、段階を経て封鎖となった。私はそれから会社を辞めるまで、別のルートで通勤した。

 現在その道路は消失し、大規模な区画整理で付近の住宅もほとんど建て替えられ、当時の面影は一切無くなった。
 ストリー○ビュー的なもので見てみると、元道路はそのまま高架橋の橋脚となり、建物はおろか人の立ち入りが出来ないようになっていた。

 月に数回その高架橋を通るが、特に何も感じず。1つだけ気になるのは、その立入禁止区画がそのまま元道路とそっくり同じ幅、同じ距離くらいであること。たまたまかもだけど。

 何か事情があるからそうなっているのではと疑う、今は無き道路のお話。




(現高架橋下にあたる旧道路の画像。引用はストリート某より、2012年くらいのもの。蝋燭があったのも光る玉を見たのも、左の手前から4つ目の電柱の辺りだった)
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