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不老不死の定義 ※性的表現?あり

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 私は、呪われた女になっていた。 

 何がきっかけは忘れたが、自分と『ある儀式』をした人を、『不老不死』にする能力を持っていた。この能力のせいで、私はある男達と切っても切れぬ関係となってしまった。 

「俺、幾つに見える?」 

「えー? 20代後半かなぁ?」 

 シャワーを浴びて部屋へ向かう私の耳に、イサムと最近お気に入りの女の会話が聞こえてくる。 

「そうだね、俺が不老不死になったのは27の時だから、合ってるよ」 

「何それ? 中二病みたい」 

(飽きもせず同じやり取りを何度も出来るなあ…) 

 呆れつつ私は2人の居る部屋へ。2人は準備完了で、ベッドに居る。イサムは私の所へ歩いてくると、こう言った。 

「俺は27の時にある事をして、不老不死になったんだ。アイもこれから、23歳の姿のまま、俺と同じ不老不死になろう」 

 儀式が、始まる。 


 イサムは元々、有数の若手凄腕デイトレーダーだった。不老不死になった事で、終わりの無いマネーゲームが出来るようになり、巨額の金を稼ぎ、ひっそりと暮らしている。 

 とは言え、たった1人では他の雑務も回らないので、イサムの仲間4人も私と儀式を行い、道連れの様に不老不死となった。 

 そして、イサムは私を野放しにして他に不老不死の人間が出て来ないよう、決して離しはしなかった。私は、本物の悪魔の様な生き物をこの世に出現させてしまったのだ。 


 明くる日、炊事や家事をする私を尻目に、昨日の女は我が物顔でイサムと仲間達に混じって、取引のミーティングに参加していた。 

 きっと女は、私がイサムと男女の関係なのに家政婦扱いなのを憐れんでいるだろう。イサムは私に対し、最低限の情しかかけない(自分至上主義者だし、私も期待はしない)。
 そもそも、イサムの行うマネーゲームにも興味はない。 

 女とイサムはドライブに出かけるらしい。女は洗濯物を私に預ける。 

「コレ、お願いね」 

 女の後ろ姿を見送ると、イサムの仲間の1人:エイトが目を細めた。 

「可哀想にな。女の不老不死効果は1年だけで、来年の今日には必ず死んじゃうのに」 

「あの子に言っちゃダメよ」 

 イサムはこうして、1年ごとにパートナーを交換していた。 

「都子はさ、ここから逃げ出す事は考えないの?」 

 エイトは私に気があるようで、イサム達の目を盗んでは度々そういう話を持ち掛けて来た。 

「逃げ出しても連れ戻されるでしょ? アイツ頭も良いし」 

「つっても、別に反社会的組織とか外部の人間との直接的な関わりは無いよ? 不老不死だと不都合があるから」 

 大金を積んでも、何年も齢を取らない事への裏工作には限界がある。エイトは言った。 

「俺、夢があったんだ。老後は嫁さんと色んな所へ旅行するっていうやつ。結婚はおろか、こんな軟禁状態じゃ旅行も厳しいけどね」 

(そろそろ潮時かもしれない) 

「不老不死ってさ、言うけどどんなものだと思う?」 

「え? 刺されても何しても死なないとか?」 

「私の不老不死は、『寿命まで』不老不死なだけで、いつかは死ぬんだよ」 

(イサムの寿命は、あと少し…)


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