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私達の犯罪 ※犯罪行為&血液表現あり

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 私は15歳の中学3年生になっていた。 

 そして、私と7名の友人で殺人を犯した。相手は私達の大事な友人を、自殺に追い込んだ学校の男性教諭。 

 私達は知恵を出し合い、計画を立て、機を窺い実行に移した。アリバイも鉄壁、目撃者も居ない。完全犯罪の筈だった。 

「司法解剖の結果、被害者の身体には生前に暴行を受けていた痕跡がありました」 

 男性教諭には、8人でリンチを加えていた。素手でやったが、骨折などがあったらしい。犯行を誤魔化そうと灯油を撒いて火を放ったが、隠しきれなかった。 

「この灯油って、現場近くにある倉庫の燃料タンクの? 誰が持って行けるの? 本当は教室のストーブから抜いたんじゃないの?」 

 刑事は最初から私達を疑っている。 

「君らさぁ、学校行事の準備で自主的に登校してたのは分かるよ? でもこの8人が、一瞬たりとも1人にならなかったって、おかしくない? 女子はまあ置いといて、男子も揃って連れション? 昼間なのに怖いの?」 

 私達は黙り込む。刑事は更に追及する。 

「君らが昨日今日と着てたジャージ、見せてくれない?」 

 学校指定の体育着は、上下とも深緑で血痕は見えにくい。 

「薬品使って、血液反応を調べよう」 

 私は口を開いた。 

「だとすれば、私を含めて皆のジャージは反応します。私のせいです」 

 皆が呆気に取られてこっちを見る。刑事が尋ねる。 

「君のせい?」 

「私、皆が大好きでこの先、高校が別になっても仲良くしていたいので、おまじないをしたんです」 

「はぁ?」 

「本で読んだんです。自分の血を、相手の服に付けると縁が切れなくなるって」 

「それで何? おたくの血を付けたの?」 

「はい…。ごめんね、みんな。キモいよね? 私、こんな事してでも、皆と一緒に居たくて…」 

(刑事はきっと、ルミノールって言えば、観念して自白するって思っただろうけど、ルミノールだけじゃ証拠にならないの知ってるんだよね) 

 そして、犯行時に着てたのは私服で、もう既に燃やしてあるのだ。 


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