125 / 157
123 夢見ていた以上に、もっと——。 *性的な描写があります*
しおりを挟む「……ダンジァ……こ……これで終わり……では、ないのだろう……?」
啄むような口付けの合間、頬を染めながら尋ねると、ダンジァの唇がピクンと震える。暫し間があった後、
「……お辛くありませんか」
顔を上げ、伺ってくる。
シィンは「平気だ」と応えると、恋しい相手の身体に自身の身体を擦り寄せた。
「騎士なのだし、このぐらい全然平気だ。それに……お前、なのだし……」
辛くない、と続けると、ダンジァはじっとシィンを見つめ、やがて幸せそうに目を細める。
大切なものを見るときの目だ、とシィンは思った。自分もきっと同じ目をしているだろう。
シィンは胸が熱くなるのを感じながらダンジァを引き寄せると、乱れて額に落ちかかって来ている髪をかきあげる。そしてその額に、ちゅっと音を立てて口付けた。
「……もっと気持ちよくなりたい……お前と一緒に……」
そして間近から瞳を覗き込む。
ここにも星があるのだな、と思っていると、その星が輝いて瞬いた。
「シィン様は……本当にわたくしを幸せにするのが上手なのですね……」
「……お前も、わたしを幸せにするのが上手いぞ」
「お褒めに預かり光栄です」
畏まった口調に、どちらからともなく笑みが溢れる。
「力を抜いていてくださいませ」
ダンジァが優しく言った。
「どうぞ——お任せ下さい。……少々恥ずかしいことになるやもしれませんが、決して痛くは致しませんので」
「は、恥ずかしいのも——」
嫌だ、と言い終える前にぐいと膝を掬われ、大きく脚を割り開かれ、シィンは息を呑む。
あまりにあられもない格好だ。
「ダ……」
「ご辛抱ください。少し準備を致しませんと……」
みるみる真っ赤になるシィンに、ダンジァは落ち着いた口調でそう言うと、露わになったシィンの秘部に——普段は慎ましく閉ざされた双丘の間にそっと触れてくる。触れた途端、くちゅんと秘めやかな音がした。
ダンジァの指に残っていた体液——先刻の手淫でシィンが零した精液と、扱かれていたうちに性器から滴っていた体液のためだろう。既にしっとりと濡れていた窄まりを、ダンジァの指がゆるゆるとなぞる。
「力を抜いていてください」
そう言われたかと思うと、指はゆっくりとシィンの中に挿し入ってきた。
「んっ……」
一瞬感じた違和感に、思わず声が溢れる。ダンジァと目が合う。
「大丈夫」と、シィンは首を振った。
「平気、だ……ちょっと、びっくりして……」
「苦しくはございませんか」
「少し……だけ……でも、大丈夫、だ……から……」
指はじりじりと探るようにシィンの奥に入ってくる。
動かされるたび次第に違和感は和らぐものの、今度はそれがダンジァの指なのだということを強く意識してしまい、恥ずかしさにどんな顔をすればいいのかわからない。
なのに気づけば、そんなシィンの顔をダンジァが見つめている。
心配そうな気遣うような貌。それが近づいてきたかと思うと、そっと口付けられた。
「絶対に……傷つけたりはいたしません」
「ん……」
ちゅ……ちゅ……と口づけを重ねていると、強張りかけた身体も自然と弛んでいく。柔らかな粘膜を弄られているのに、相手がダンジァなのだと思うと全く怖くなかった。むしろ、丁寧すぎるぐらい丁寧に扱われて、なんだか気恥ずかしいほどだ。
「ぁ……んっ」
そうしていると、後孔に感じる圧迫感が増した。
埋められている指が増えたのだ、と気付いたのはそれが中で動き始めた時。
体奥を優しく執拗になぞられるたび、背筋が甘く痺れる。
粘液が絡むようなグチュグチュとした音が聞こえるたび耳が熱くなるのに、繰り返される口付けは蜜のようで、いつしか夢中にさせられる。
「は……ぅ……ぁ……」
一度達したはずの性器も、再び力をもって頭をもたげ始めている。
自分の身体の中を探られることが、こんなに気持ちいいなんて——。
「ダ……ンジァ……っ……」
でももっと——もっと彼が欲しい。もっと触れたい。触れられたい。夢見ていた以上に、もっと——。
「ダンジァ……」
腕をぎゅっと掴む。自分の身体の「準備」が整ったのかどうか、自分ではわからない。でも心はもう待てない。待ちきれない。
視線でそう訴えると、ダンジァが困ったように眉を下げる。
「もう少し……お身体の様子を見てからの方が……」
「嫌だ」
「シィン様……」
「焦らすな……馬鹿もの。…………欲しいのだ、お前が。もう……」
待てない——と言いかけた言葉は、深く重ねられた唇に攫われる。
埋められている指は、それでもひとしきり確かめるようにシィンの内壁を柔らかく抉り、やがてゆっくり抜き出される。
一層大きく膝を開かされ、のし掛かられたかと思えば膝が胸につくほど身体を畳まれ、代わりにそこに触れたのは、指よりもっと熱く、なんだか比べ物にならないほど大きなものだ。
一瞬、シィンは不安になる。
けれど今更「待て」とも言えず、シィンが思わず身構えてしまった時。
「んっ——」
その灼熱を思わせる塊が、グッと挿し入ってくる感覚があった。
予想していた以上の質量を感じ、恐怖に思わず身体が竦む。途端、ぴたとダンジァの動きが止まった。
彼は何かを堪えるように険しい表情でぎゅうと目を閉じ、頭を振ると、ややあって瞼を上げ、息をつきながらそろそろとシィンの頬に手を伸ばしてきた。
「っ……お苦しいのでは? やはりもう少ししてからの方が……」
その声も、彼らしくなくたどたどしく乱れている。
堪えているのだ。激情を。一気に挿し貫き、快感を貪りたい欲望を。
シィンが我慢できなくなっているように、彼もまた充分に昂っているのだ。いや——一度達しているシィンより、よほど彼の方が。
なのにシィンの身体を気遣って——シィンのために。
「…………」
シィンの胸の中が、切ないほどの愛しさでいっぱいになる。
ゆっくりと、彼の首筋に腕を絡め、抱きしめた。草の香りに混じる汗の香りを胸いっぱいに吸い込む。
人の姿でも馬の姿でも、こんなに好きな相手はいない。触れ合って嬉しいと思う相手も。離れたくないと思う相手も。何をされてもいいと思う相手も。
「平気だ。初めてゆえ……慣れていなくてすまぬ」
「い、ぃえ。そこは謝られるところでは……」
むしろ嬉しゅうございます——。
微笑んで言われ、その笑みの鮮やかさに、瞬間、シィンはドギマギしてしまう。
気を取り直して続けた。
「だから……しがみついていて良いか? こうして……さっきのように……。お前にくっついているのは、気持ちがいい。それに、とても安心できる」
そう言って、全てを委ねるようにダンジァにしがみつく。と、そんなシィンの意を察したのだろう。応えるように、ぎゅっと抱きしめ返された。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
仮面王子は下僕志願
灰鷹
BL
父親の顔は知らず、奔放な母のもとで育った渡辺響は、安定した職業に就くために勉強だけはずっと頑張ってきた。その甲斐あって有名進学校に進学できたものの、クラスメイトとは話題も合わず、ボッチキャラとして浮いていた。クラスの中で唯一、委員長の川嶋昴陽だけが響のことを気にかけてくれて、面倒見のよい彼に秘かに恋心を抱いていた。しかし、修学旅行の最終日に川嶋が隣で寝ていた朝倉にキスしようとしているところを目撃し、反射的にそれを写真に収めてしまう。写真を消せと川嶋に詰め寄られるが、怒りをあらわにした彼の態度に反発し――。女子から「王子」と呼ばれる人気者優等生×寂しさを抱えるボッチな茶髪男子、の失恋から始まるハートフル青春BL。
※ アルファポリス様で開催されている『青春BLカップ』コンテストに応募しています。今回は投票制ではないですが、閲覧ポイントでランキングが変わるそうなので、完結後にまとめてではなくリアルタイムでお読みいただけると、めちゃくちゃ励みになります。
※ 視点は攻め受け両方で章ごとに変わります。完結した作品に加筆してコンテスト期間中の完結を目指します。不定期更新。
【完結】竜を愛する悪役令嬢と、転生従者の謀りゴト
しゃもじ
BL
貴族の間で婚約破棄が流行し、歪みに歪んだサンドレア王国。
飛竜騎士団率いる悪役令嬢のもとに従者として転生した主人公グレイの目的は、前世で成し遂げられなかったゲームクリア=大陸統治を目指すこと、そして敬愛するメルロロッティ嬢の幸せを成就すること。
前世の記憶『予知』のもと、目的達成のためグレイは奔走するが、メルロロッティ嬢の婚約破棄後、少しずつ歴史は歪曲しグレイの予知からズレはじめる……
*主人公の股緩め、登場キャラ貞操観念低め、性癖尖り目、ピュア成分低めです。苦手な方はご注意ください。
*他サイト様にも投稿している作品です。
聖者の愛はお前だけのもの
いちみりヒビキ
BL
スパダリ聖者とツンデレ王子の王道イチャラブファンタジー。
<あらすじ>
ツンデレ王子”ユリウス”の元に、希少な男性聖者”レオンハルト”がやってきた。
ユリウスは、魔法が使えないレオンハルトを偽聖者と罵るが、心の中ではレオンハルトのことが気になって仕方ない。
意地悪なのにとても優しいレオンハルト。そして、圧倒的な拳の破壊力で、数々の難題を解決していく姿に、ユリウスは惹かれ、次第に心を許していく……。
全年齢対象。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜
みやの
BL
ーー……俺は、本能に殺されたかった。
自分で選び、番になった恋人を事故で亡くしたオメガ・要。
残されたのは、抜け殻みたいな体と、二度と戻らない日々への悔いだけだった。
この世界には、生涯に一度だけ「本当の番」がいる――
そう信じられていても、要はもう「運命」なんて言葉を信じることができない。
亡くした番の記憶と、本能が求める現在のあいだで引き裂かれながら、
それでも生きてしまうΩの物語。
痛くて、残酷なラブストーリー。
大嫌いなこの世界で
十時(如月皐)
BL
嫌いなもの。豪華な調度品、山のような美食、惜しげなく晒される媚態……そして、縋り甘えるしかできない弱さ。
豊かな国、ディーディアの王宮で働く凪は笑顔を見せることのない冷たい男だと言われていた。
昔は豊かな暮らしをしていて、傅かれる立場から傅く立場になったのが不満なのだろう、とか、
母親が王の寵妃となり、生まれた娘は王女として暮らしているのに、自分は使用人であるのが我慢ならないのだろうと人々は噂する。
そんな中、凪はひとつの事件に巻き込まれて……。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる