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炎の大陸編
洞窟に白銀の龍がいる
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異世界から来たというだけで、町を追われた陽介。逃げ込んだ先の洞窟は、壁に松明がかけられているおかげで暗さを感じない。足音が遠ざかり弾む息が収まるのを待ってからゆっくりと立ち上がり、他に人や生き物がいないか恐る恐る歩を進めていくと、狭い洞窟には明らかに不釣り合いな、大柄で白銀の竜がいた。時折体を起こしては苛立ちをぶつけるように鋭い尻尾で壁床を叩いている。
その足元に人間の頭蓋骨が転がっているのを見てしまい、陽介の思考は固まってしまった。
「最悪だ、早く出ないと」
大変な所へ転がり込んでしまったと慌てて引き返すが、外へ出ようとした瞬間、目の前に魔法陣の描かれた半透明の壁が現れ、弾き返されてしまった。
「痛ってぇ……で、出られない!?」
押せども叩けども壁はビクともしない。他に行ける道は無く、奥へ進むしか選択肢はない。まだ存在を気づかれていないようで、息を殺して様子を見ているうちに竜は暴れ疲れて眠りに落ちた。目を覚まさないよう祈りながら、そっと移動を始めた。
鋭い鱗が鈍く輝く脚の横を通り抜け、最奥部らしいところまで進むが出口はなく、絶望が深いため息となって出た。力なくへたり込み、それでも何かないかと周囲を見回したが、あるのは台座と安置された大きな水晶玉。よく見れば、その中に白いキツネのような生き物が閉じ込められている。陽介の姿を見ると驚いて飛び上がり、頭をぶつけて痛そうにさすった。
「君、人間か? 頼む、ここから出してもらえないか」
「うお、キツネがしゃべった!?」
コンコンと可愛らしい鳴き声を想像していたところから、凛々しい男性の声が出て、反射的に距離を取った。
「あー、聞いているかな? ここから出してくれたら、この洞窟から解放しよう」
「本当か!? どうやったら出られるんだよキツネ!」
解放という言葉に飛びつくように水晶玉に顔を押しつけ、キツネのような生き物ごと揺さぶる。
「おおお落ち着きたまえ! ……まったく、挨拶も無しに初対面で呼び捨てとは失礼だね。それに私はキツネではない、フラムという名前がある」
「俺は陽介。じゃあフラムさんよ、どうしたらいい?」
「この水晶を割ってくれ。君以外には壊すことが出来ないのだ」
陽介が手近にあった石を拾い叩きつけると、勢いよく破片を飛び散らして水晶は割れた。物音に目を覚ました白銀竜が、体の向きを変え陽介の姿を視界に捉えた。
「もっと気を利かせることは出来ないのかね、私に傷がついたらどうするつもりだ」
フラムは呆れた様子で、降りかかる残骸を払った。
「そんなこと言ってる場合か! 竜がこっちに来るぞ!」
しかし、水晶から出てきたフラムを前に竜はすっかり大人しくなり、むしろ忠誠を示すように頭を垂れた。
「ラルジャン、長い間すまなかったな。今、自由にしてやろう」
フラムが息を吸い込んで吐き出すと、灼熱の炎となって洞窟の結界を溶かした。白銀竜は雄たけびを上げ、幾年かぶりに取り戻した自由な空へ飛んでいった。
「すげぇ……」
小さな体から放たれた豪炎に驚く陽介をよそに、フラムは自慢気に一声鳴いた。
その足元に人間の頭蓋骨が転がっているのを見てしまい、陽介の思考は固まってしまった。
「最悪だ、早く出ないと」
大変な所へ転がり込んでしまったと慌てて引き返すが、外へ出ようとした瞬間、目の前に魔法陣の描かれた半透明の壁が現れ、弾き返されてしまった。
「痛ってぇ……で、出られない!?」
押せども叩けども壁はビクともしない。他に行ける道は無く、奥へ進むしか選択肢はない。まだ存在を気づかれていないようで、息を殺して様子を見ているうちに竜は暴れ疲れて眠りに落ちた。目を覚まさないよう祈りながら、そっと移動を始めた。
鋭い鱗が鈍く輝く脚の横を通り抜け、最奥部らしいところまで進むが出口はなく、絶望が深いため息となって出た。力なくへたり込み、それでも何かないかと周囲を見回したが、あるのは台座と安置された大きな水晶玉。よく見れば、その中に白いキツネのような生き物が閉じ込められている。陽介の姿を見ると驚いて飛び上がり、頭をぶつけて痛そうにさすった。
「君、人間か? 頼む、ここから出してもらえないか」
「うお、キツネがしゃべった!?」
コンコンと可愛らしい鳴き声を想像していたところから、凛々しい男性の声が出て、反射的に距離を取った。
「あー、聞いているかな? ここから出してくれたら、この洞窟から解放しよう」
「本当か!? どうやったら出られるんだよキツネ!」
解放という言葉に飛びつくように水晶玉に顔を押しつけ、キツネのような生き物ごと揺さぶる。
「おおお落ち着きたまえ! ……まったく、挨拶も無しに初対面で呼び捨てとは失礼だね。それに私はキツネではない、フラムという名前がある」
「俺は陽介。じゃあフラムさんよ、どうしたらいい?」
「この水晶を割ってくれ。君以外には壊すことが出来ないのだ」
陽介が手近にあった石を拾い叩きつけると、勢いよく破片を飛び散らして水晶は割れた。物音に目を覚ました白銀竜が、体の向きを変え陽介の姿を視界に捉えた。
「もっと気を利かせることは出来ないのかね、私に傷がついたらどうするつもりだ」
フラムは呆れた様子で、降りかかる残骸を払った。
「そんなこと言ってる場合か! 竜がこっちに来るぞ!」
しかし、水晶から出てきたフラムを前に竜はすっかり大人しくなり、むしろ忠誠を示すように頭を垂れた。
「ラルジャン、長い間すまなかったな。今、自由にしてやろう」
フラムが息を吸い込んで吐き出すと、灼熱の炎となって洞窟の結界を溶かした。白銀竜は雄たけびを上げ、幾年かぶりに取り戻した自由な空へ飛んでいった。
「すげぇ……」
小さな体から放たれた豪炎に驚く陽介をよそに、フラムは自慢気に一声鳴いた。
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