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水の大陸編
新たな力
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アルデバランがアリエッタの背後から放った魔法の矢は、無情にも陽介の体を貫いた。赤く広がっていく生温い血溜まりに、ゆっくり沈むように倒れていく。
「陽介! 陽介!!」
薄れていく意識の中、陽介はフラムが呼んでいる声と、アルデバランの高笑いが混じった雑音を聞いていた。
気がつくと、陽介は何もない真っ白な空間に浮かんでいた。横腹に大きな穴が空いており、自分は死んでしまったのかと悟る。フラムとアリエッタは無事逃げられただろうかと考えながら、目を閉じると声を掛けられた。目を開くと、真紅のスーツに身を包んだ男が立っていた。
「どーもー。自分、死神の赤屍っす。以後お見知りおきを」
やけに軽いノリの死神は、適当に挨拶して近づいてきた。
「死神……? ああ、お迎えってやつ?」
「いや、キミはギリ生きてるっす。今アリエッタのお嬢さんが、頑張って治療してくれてるとこっす」
赤屍が手をかざすと、空中に映像が映し出された。倒れて動かなくなった陽介に治癒魔法をかけるアリエッタと、アルデバランの魔法攻撃に応戦するフラムの姿があった。
「よかった、二人に怪我はなさそうだ」
「随分のんきっすね陽介クン、あのままじゃやられちゃうっすよ? まぁここは時間の流れが違うから、まだ大丈夫っす」
名を呼ばれて驚く陽介の様子を、赤屍はケラケラ笑って映像を切った。
「そりゃ死神っすから、キミの経歴くらいすぐわかるっすよ、日比谷 陽介クン。警備の仕事帰りに異世界に飛ばされてチーターの尻拭いなんて、難儀っすね」
「ちーたー?」
意味がわからずに首を傾げる。動物のことを言っているのではないのはわかる。
「エルメスのことっす、キミと同じ現代日本から転生してきて、この世界をチート使って好き勝手したやつっす」
「チートって、なに?」
「ええっ、そっからっすか!?」
チートとは簡単に言えばズル、不正行為のことで、努力せずに高い能力を得たり、本来ありえないことを可能にする、万能な力のこと。エルメスがそれを使ったことにより、世界が壊れ始めたことを知った。
「自分、ヤツの魂を回収しにきたっす。でも訳あって会えない。だから、キミを失うわけにはいかないっす」
と言って、赤屍は顔を近づけてくる。
「取引しましょう。体を貸してくれたら、死神の力でステータスを爆上げして、アルデバランをやっつけてあげるっす。もちろん返した後も効果は永続的。どうっすか? この先のことを考えたら、悪い話じゃないと思うっすけど」
「……うーん。それって、そのチートってやつと大して変わらないじゃん。そんな力には頼りたくない! 努力しても報われる世の中じゃないけど、楽して最強なんてごめんだぜ! それに、あんたが体を返してくれる保証なんてないしな」
その答えを待っていたかのように、赤屍はニヤリと笑った。
「いいっすね、キミのこと気に入ったっす。でもピンチはピンチ、この場を切り抜けられそうなスキルを教えてあげるっす」
赤屍は指先に赤い光を灯すと、陽介の額に当てて呪文のような言葉を呟いた。赤い光は陽介の体に吸い込まれて、ふわりと暖かい感触に変わった。
「そろそろお時間っすね」
と言って、赤屍は陽介の腹を指差す。
「……穴が塞がってる! アリエッタが治してくれたんだ」
信じられないといった顔で摩ってみたが、傷すら残っていない。
「さあ、行くっすよ。スキルは目が覚めたら使えるようになってるっす」
赤屍が手を叩くと陽介の視界は暗転し、眠るように意識が薄れていった。
「陽介! 陽介!!」
薄れていく意識の中、陽介はフラムが呼んでいる声と、アルデバランの高笑いが混じった雑音を聞いていた。
気がつくと、陽介は何もない真っ白な空間に浮かんでいた。横腹に大きな穴が空いており、自分は死んでしまったのかと悟る。フラムとアリエッタは無事逃げられただろうかと考えながら、目を閉じると声を掛けられた。目を開くと、真紅のスーツに身を包んだ男が立っていた。
「どーもー。自分、死神の赤屍っす。以後お見知りおきを」
やけに軽いノリの死神は、適当に挨拶して近づいてきた。
「死神……? ああ、お迎えってやつ?」
「いや、キミはギリ生きてるっす。今アリエッタのお嬢さんが、頑張って治療してくれてるとこっす」
赤屍が手をかざすと、空中に映像が映し出された。倒れて動かなくなった陽介に治癒魔法をかけるアリエッタと、アルデバランの魔法攻撃に応戦するフラムの姿があった。
「よかった、二人に怪我はなさそうだ」
「随分のんきっすね陽介クン、あのままじゃやられちゃうっすよ? まぁここは時間の流れが違うから、まだ大丈夫っす」
名を呼ばれて驚く陽介の様子を、赤屍はケラケラ笑って映像を切った。
「そりゃ死神っすから、キミの経歴くらいすぐわかるっすよ、日比谷 陽介クン。警備の仕事帰りに異世界に飛ばされてチーターの尻拭いなんて、難儀っすね」
「ちーたー?」
意味がわからずに首を傾げる。動物のことを言っているのではないのはわかる。
「エルメスのことっす、キミと同じ現代日本から転生してきて、この世界をチート使って好き勝手したやつっす」
「チートって、なに?」
「ええっ、そっからっすか!?」
チートとは簡単に言えばズル、不正行為のことで、努力せずに高い能力を得たり、本来ありえないことを可能にする、万能な力のこと。エルメスがそれを使ったことにより、世界が壊れ始めたことを知った。
「自分、ヤツの魂を回収しにきたっす。でも訳あって会えない。だから、キミを失うわけにはいかないっす」
と言って、赤屍は顔を近づけてくる。
「取引しましょう。体を貸してくれたら、死神の力でステータスを爆上げして、アルデバランをやっつけてあげるっす。もちろん返した後も効果は永続的。どうっすか? この先のことを考えたら、悪い話じゃないと思うっすけど」
「……うーん。それって、そのチートってやつと大して変わらないじゃん。そんな力には頼りたくない! 努力しても報われる世の中じゃないけど、楽して最強なんてごめんだぜ! それに、あんたが体を返してくれる保証なんてないしな」
その答えを待っていたかのように、赤屍はニヤリと笑った。
「いいっすね、キミのこと気に入ったっす。でもピンチはピンチ、この場を切り抜けられそうなスキルを教えてあげるっす」
赤屍は指先に赤い光を灯すと、陽介の額に当てて呪文のような言葉を呟いた。赤い光は陽介の体に吸い込まれて、ふわりと暖かい感触に変わった。
「そろそろお時間っすね」
と言って、赤屍は陽介の腹を指差す。
「……穴が塞がってる! アリエッタが治してくれたんだ」
信じられないといった顔で摩ってみたが、傷すら残っていない。
「さあ、行くっすよ。スキルは目が覚めたら使えるようになってるっす」
赤屍が手を叩くと陽介の視界は暗転し、眠るように意識が薄れていった。
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