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序章
9. エバーライフ家との邂逅
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「えぇと…とりあえず敵対しないんで、武器、下ろしてもらえますか?」
盗賊集団を撃退した後、ぽかーんとしている貴族一行に俺はそう言う。
まあ驚くの無理はない。いきなり盗賊に襲われたと思ったら、訳の分からない少年が現れ、更に神獣を使役しながら武器を使って撃退する恐ろしく強い光景を目にしたのだから。それと神獣と思われているイナヅマを警戒しているせいでもあるが…
「(あっ、彼女に掛けた結界魔術を解かないと…)」
雷属性を織り交ぜた感電トラップ式の結界魔術を少女にかけたままという事を忘れていた。俺は両手をパンッ!と合わせて解術する。すると、少女の周りを囲っていた結界が消えた。
「お嬢様!ご無事ですか?」
「アルナ、大丈夫?」
「はい、ありがとうございます。殿方の結界で何とも…」
結界が消えた数秒後、少女に触れても大丈夫と護衛と母親らしき夫人が無事を確認する。
そういえば、さっき盗賊たちがこいつらの事を"エバーライフ家"と呼んでいたな…。それに、あの少女の事をアルナって……ん??"アルナ・エバーライフ"…あれ、この名前は確か"アウェイクスピリットオンライン"じゃあ…
「君、危なかったところを助けてくれて感謝する。我々はこの森の向こうにある帝国で、エバーライフ商会という商業をしている一行だ。私は商会長を務めている"ノーマン・エバーライフ"というものだ。宜しければ、名前を教えてもらってもいいだろうか?」
髭を蓄えている男性が剣を鞘に収め、こちらにそう言った。
やっぱりそうだ!
エバーライフ商会…"アウェイクスピリットオンライン"で登場している商会の名前で間違いなかった。メインストーリーでも幾度となく出ているし、サブイベントなど護衛やらに協力すれば、主人公にアイテムなどくれる。ひょっとして、サブストーリーの途中だったのだろうか?それをクリアしたって事なのかな?
「…君?」
「えっ、あ すみません、俺…私はオルタ・クリムゾンと言います!」
俺が考え込んでいるのを、ノーマンさんの一言で現実へ戻される。まずい、怪しまれたか…?
「そんな丁寧な言葉遣いは不要だよ、君は我々の命の恩人だ。あまり気にせずに話してくれていい」
子供が分不相応の丁寧語を怪しまれるかと思ったが、助けてくれた恩もあって気にしてはいなかった。するとノーマンさんは俺の隣にいるイナヅマをチラッと見る。やっぱり気になるよねー…。
「それと…そこにいる巨狼は、君の使い魔なのかい?」
「あっはい、コイツは俺のパートナーで―――」
「うぐッ!」
「カイナッ!?」
俺がイナヅマを紹介しようとした矢先、後ろに居た兵士の一人が腹を抱えて苦しそうにしていた。
よく見れば、腹から刃物で切り裂かれたのか血が出ている。それにどことなく顔色も悪い…さっきの盗賊に斬られて毒を盛られたか!?
「しっかりしろカイナ!」
「うぅ…」
「まずいわね、急いで解毒をしないと…」
傷ついた兵士に近づく夫人。確か、この人がノーマンさんの奥さんで"アルリス・エバーライフ"さんだったな。確か帝国では、魔術に関する機関で働いている役人…それほど地位が高い設定だと記憶している。その人がカイナさんに近づいて、魔術を使った解毒を開始する。
何かの呪文を言ったのち、"アウェイクスピリットオンライン"でよく見る特有の回復魔術の光が見られた。やがて光が収まり解毒に成功するも、本人は腹を切られたのでこのままだと出血多量で死ぬかもしれない。
「誰か、包帯で応急処置を!どこか、休める場所を…」
「無理ですよ奥さん!ここから帝国の病院までまる一日かかります!」
「あっ…それなら、俺のログハウスを使いますか?」
護衛が死ぬという絶望的な状況で、俺の放った一言でまたもや全員がぽかーんとする。いや急患なんだから一刻を争うのは当然でしょ?他の兵士も何人かは怪我をしている。ならば、丸一日でも安静して休める場所が必要だ。
「いいのかい?」
「あっはい、ここから近くに俺の家があります。一人用なんで小さいかもしれませんが、集中して治療することはできますよ?」
「旦那様!」
「すまない、是非使わせてくれ!」
ノーマンさんから、是非にと必死の形相でお願いされた。
「分かりました、それじゃ途中でモンスターに出くわさないよう俺とイナヅマが先導して家まで案内します…!」
「頼む。負傷した者は無理をせず馬車に乗り込め!歩ける者はそのままついてこい、彼が場所まで先導してくれる!」
ノーマンさんは部下全員にそう命令し、それを聞いた全員が急いで支度する。俺は皆の準備が終わるのを確認すると、イナヅマの背に乗って、先導してログハウスに帰路する。
「あの子に会えたのは本当に幸運でしたね、旦那」
「ああ、ここで彼に会わなかったら間違いなく我々は助からなかったろう」
「それにしても、彼は一体何者なのでしょうか?我々の知らない武器や魔術を使って、それに森の神獣まで従わせているとは…」
先導している間、後ろの方からヒソヒソとノーマンさんと兵士長の男が会話しているのが聞こえる。おーいバレバレですよー、怪しむのは分かるけどさ…
「彼の素性については後でもいい、それどころか儂は何者だろうと構わん。我々の命恩人である事に変わりはないのだからな」
「…ごもっともです」
ノーマンさんの寛大すぎる心に感謝と申し訳ない気持ちで一杯になった。そして、一行はログハウスの前まで辿り着く。
やっと落ち着く…と思っていたが、その前に何体かの獣が何かに焼かれた姿で死んでいるのが見えた。
「これは一体…!?」
「あぁ大丈夫ですよ。コイツらがまた罠に引っ掛かっただけですから。今、解除しますね?」
「「「!?!?」」」
俺以外「罠?」一瞬考えたが瞬間、俺がもう一度両手を合わせると、ログハウス前の景色が歪んだ。
それは、ブロックのような無数の結界がレンガ式の家のようにログハウスの周りを囲っていたのだ。死体となっていた獣達はこれに気づかずログハウスに近づこうとして、先程と同じ雷魔術が組み込まれたこの結界ブロックに触れてしまったのである。
バラバラになって上空をフワフワと漂うかと思えば、まるで統率するように形を変え、一行を取り囲むように積み上げられた。
「結界をこんなに……」
「結界とは言え、あれほどの数を操れるとは…」
「私の魔力感知にもかからないなんて…」
オルタがイナヅマの背から飛び降りて、ログハウスの中へ案内する。そして、重傷者を中に入れ部屋で休ませ、軽症である者はメイドと兵士が建てたテントで休ませる事になった。
「(ふーん、この世界でもテントくらいはあるんだな…)」
万が一、ログハウスが失ったりしたらテントの内装が広くなる結界魔術でもかけてみようかな、と思ったオルタなのであった。
盗賊集団を撃退した後、ぽかーんとしている貴族一行に俺はそう言う。
まあ驚くの無理はない。いきなり盗賊に襲われたと思ったら、訳の分からない少年が現れ、更に神獣を使役しながら武器を使って撃退する恐ろしく強い光景を目にしたのだから。それと神獣と思われているイナヅマを警戒しているせいでもあるが…
「(あっ、彼女に掛けた結界魔術を解かないと…)」
雷属性を織り交ぜた感電トラップ式の結界魔術を少女にかけたままという事を忘れていた。俺は両手をパンッ!と合わせて解術する。すると、少女の周りを囲っていた結界が消えた。
「お嬢様!ご無事ですか?」
「アルナ、大丈夫?」
「はい、ありがとうございます。殿方の結界で何とも…」
結界が消えた数秒後、少女に触れても大丈夫と護衛と母親らしき夫人が無事を確認する。
そういえば、さっき盗賊たちがこいつらの事を"エバーライフ家"と呼んでいたな…。それに、あの少女の事をアルナって……ん??"アルナ・エバーライフ"…あれ、この名前は確か"アウェイクスピリットオンライン"じゃあ…
「君、危なかったところを助けてくれて感謝する。我々はこの森の向こうにある帝国で、エバーライフ商会という商業をしている一行だ。私は商会長を務めている"ノーマン・エバーライフ"というものだ。宜しければ、名前を教えてもらってもいいだろうか?」
髭を蓄えている男性が剣を鞘に収め、こちらにそう言った。
やっぱりそうだ!
エバーライフ商会…"アウェイクスピリットオンライン"で登場している商会の名前で間違いなかった。メインストーリーでも幾度となく出ているし、サブイベントなど護衛やらに協力すれば、主人公にアイテムなどくれる。ひょっとして、サブストーリーの途中だったのだろうか?それをクリアしたって事なのかな?
「…君?」
「えっ、あ すみません、俺…私はオルタ・クリムゾンと言います!」
俺が考え込んでいるのを、ノーマンさんの一言で現実へ戻される。まずい、怪しまれたか…?
「そんな丁寧な言葉遣いは不要だよ、君は我々の命の恩人だ。あまり気にせずに話してくれていい」
子供が分不相応の丁寧語を怪しまれるかと思ったが、助けてくれた恩もあって気にしてはいなかった。するとノーマンさんは俺の隣にいるイナヅマをチラッと見る。やっぱり気になるよねー…。
「それと…そこにいる巨狼は、君の使い魔なのかい?」
「あっはい、コイツは俺のパートナーで―――」
「うぐッ!」
「カイナッ!?」
俺がイナヅマを紹介しようとした矢先、後ろに居た兵士の一人が腹を抱えて苦しそうにしていた。
よく見れば、腹から刃物で切り裂かれたのか血が出ている。それにどことなく顔色も悪い…さっきの盗賊に斬られて毒を盛られたか!?
「しっかりしろカイナ!」
「うぅ…」
「まずいわね、急いで解毒をしないと…」
傷ついた兵士に近づく夫人。確か、この人がノーマンさんの奥さんで"アルリス・エバーライフ"さんだったな。確か帝国では、魔術に関する機関で働いている役人…それほど地位が高い設定だと記憶している。その人がカイナさんに近づいて、魔術を使った解毒を開始する。
何かの呪文を言ったのち、"アウェイクスピリットオンライン"でよく見る特有の回復魔術の光が見られた。やがて光が収まり解毒に成功するも、本人は腹を切られたのでこのままだと出血多量で死ぬかもしれない。
「誰か、包帯で応急処置を!どこか、休める場所を…」
「無理ですよ奥さん!ここから帝国の病院までまる一日かかります!」
「あっ…それなら、俺のログハウスを使いますか?」
護衛が死ぬという絶望的な状況で、俺の放った一言でまたもや全員がぽかーんとする。いや急患なんだから一刻を争うのは当然でしょ?他の兵士も何人かは怪我をしている。ならば、丸一日でも安静して休める場所が必要だ。
「いいのかい?」
「あっはい、ここから近くに俺の家があります。一人用なんで小さいかもしれませんが、集中して治療することはできますよ?」
「旦那様!」
「すまない、是非使わせてくれ!」
ノーマンさんから、是非にと必死の形相でお願いされた。
「分かりました、それじゃ途中でモンスターに出くわさないよう俺とイナヅマが先導して家まで案内します…!」
「頼む。負傷した者は無理をせず馬車に乗り込め!歩ける者はそのままついてこい、彼が場所まで先導してくれる!」
ノーマンさんは部下全員にそう命令し、それを聞いた全員が急いで支度する。俺は皆の準備が終わるのを確認すると、イナヅマの背に乗って、先導してログハウスに帰路する。
「あの子に会えたのは本当に幸運でしたね、旦那」
「ああ、ここで彼に会わなかったら間違いなく我々は助からなかったろう」
「それにしても、彼は一体何者なのでしょうか?我々の知らない武器や魔術を使って、それに森の神獣まで従わせているとは…」
先導している間、後ろの方からヒソヒソとノーマンさんと兵士長の男が会話しているのが聞こえる。おーいバレバレですよー、怪しむのは分かるけどさ…
「彼の素性については後でもいい、それどころか儂は何者だろうと構わん。我々の命恩人である事に変わりはないのだからな」
「…ごもっともです」
ノーマンさんの寛大すぎる心に感謝と申し訳ない気持ちで一杯になった。そして、一行はログハウスの前まで辿り着く。
やっと落ち着く…と思っていたが、その前に何体かの獣が何かに焼かれた姿で死んでいるのが見えた。
「これは一体…!?」
「あぁ大丈夫ですよ。コイツらがまた罠に引っ掛かっただけですから。今、解除しますね?」
「「「!?!?」」」
俺以外「罠?」一瞬考えたが瞬間、俺がもう一度両手を合わせると、ログハウス前の景色が歪んだ。
それは、ブロックのような無数の結界がレンガ式の家のようにログハウスの周りを囲っていたのだ。死体となっていた獣達はこれに気づかずログハウスに近づこうとして、先程と同じ雷魔術が組み込まれたこの結界ブロックに触れてしまったのである。
バラバラになって上空をフワフワと漂うかと思えば、まるで統率するように形を変え、一行を取り囲むように積み上げられた。
「結界をこんなに……」
「結界とは言え、あれほどの数を操れるとは…」
「私の魔力感知にもかからないなんて…」
オルタがイナヅマの背から飛び降りて、ログハウスの中へ案内する。そして、重傷者を中に入れ部屋で休ませ、軽症である者はメイドと兵士が建てたテントで休ませる事になった。
「(ふーん、この世界でもテントくらいはあるんだな…)」
万が一、ログハウスが失ったりしたらテントの内装が広くなる結界魔術でもかけてみようかな、と思ったオルタなのであった。
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