超レア消費アイテム生産者の異世界つえー物語~今ならもれなく全紛失したら死ぬ特典付きです~

安居 飽人

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序章

8. 対人戦という紛失フラグー③(アルナ視点)

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 side アルナ

 私、エバーライフ家の一人娘【アルナ】は混乱しております。
 商人の娘として将来の為にと長である父を含む家族と一緒に、隣国への売り物に関しての取り引きを終えた帰り道…。案の定、林道にて賊に出会ってしまいました。

 勿論、こうなる事は想定済みでお父様が雇っていた私兵たちが立ち向かいます。リーダーである【ブログ】様を先頭に前へと展開していきますが…

「兄貴、こいつらエバーライフ商会の奴らじゃねーですか?」
「ほぉ?あの有名な…そりゃさぞかし良い品運んでそうだな?」

 盗賊集団のリーダーらしき人物が前へ出た。隣にいる小柄な男とコソコソ話しているようです。馬車中からだと何と言っているのか分かりません。

「渡すつもりはないと言っているだろ!」
「そんな脅し通じるかよ!しかも、その馬車は貴族が良く使うやつだ。さぞかし大切な奴ら乗せてんだろ?お前ら!やっちまえ!!」

 ブログ様が盗賊たちに対し立ち去るよう言っていますが…向こうの様子からして、この馬車が襲われるのは確実でした。私は反射的に、護身用としての魔術杖を握ります。これでも、幼いころから母親に鍛えられているのです。

「アルナ、ドアから離れて!」

 元々ドア近くに座っていた私ですが、お母様が私に身を護るために席を交替しました。盗賊が馬車のドアに手をかけた、次の瞬間―――

ドォン!!

「ぐへぇ…!?」

 お母様が、中から火魔術の"ファイアーボール"を盗賊の一人に食らわせたんです。

「アルリス、私が出よう!援護を頼む!」
「アルナ、私から離れないで!」
「は、はいお母様!」

 そう言いますが、目の前の戦場に少しながらも怯えてしまいました。
 しかしエバーライフ家の淑女たる者…私も負けられないと、杖をポケットから引こうとしたその時でした――

「今だ!」
「キャッ!?」
「アルナッ!」

 お母様が攻撃している間に、後ろから忍び寄ってきていた盗賊の仲間に一瞬のうちで捕まってしまったのです。丁度、男の腕が私の首に食い込むように…!締め付けられる力に圧され、ポケットの中にある杖をうまく取れない…!剣を向けられて…嫌、怖い…。

「へへ、大人しくしとけよ!コイツがいないと大したことないんだな!」

ピュンピュンピュンピュン!!

 剣を突きつけた男がそう言うと、突然頭から血を流して倒れてしまった。この場に居る全員が何が起きたのか全く分からない様子で、私はその死体を見てしまって更に怯えてしまいました…。

「大丈夫か?」
「……!」

 私とそこまで変わらない少年に声をかけられますが、何も喋らなくなっていました。お礼を言いたいところですが、あまりの早業に言葉が出なかったのです。私に手を翳し、周りを何かの結界魔術に閉じ込めました。

「そこから出ないで、出なければ安全だから」

 次に彼は正面に手を翳す。すると、倒した死体から少量のレインボーオーブが飛び出し、回収したのです!その様子に、その場にいる全員が眼が飛び出るくらいに驚愕していました!

「…さて、次は誰があの世に行きたい?」

 異空間魔術から取り出した剣?を片手に、盗賊団たちに向けて彼はそう言い放ったのです。

「このガキ、仲間を殺しやがって!ぶっ殺せ!!」
「先に襲ったのはそっちだろ?」
「ヒャッハー!レインボーオーブ寄越せやぁ!!」

 盗賊たちは、狙いをこちらから自分達を殺した少年に目標を変更しました。先程より減っているとはいえ、とても私と同じ子供ではまともに太刀打ちできません…!しかし、危険なのはこちらも一緒で…

「このガキが…!」
「キャッ!」

 バチチチチッ!!

「ぎゃあああああ!!!」

 完全に頭に血が上ったのか、盗賊の男が私を結界ごと叩き壊そうとしたら、結界に触れた瞬間、全身を雷のように攻撃されそのまま倒れてしまいました!

「お嬢様!」
「ブログ!その結界に触れるな!感電してしまう!」

 心配したブログが近づくが、結界に触れるなと遅れてやってきたお父様が注意をする。迂闊に触れてしまえば、この盗賊と同じ運命を辿るだろう。

「では、どうすれば…!」
「結界魔術のほとんどは術者にしか解除できないが…それにしても、この結界…」

 お父様はまじまじと真剣に結界を見つめる。そこまで凄いものなのだろうか…?

「あの少年に、問うしかないだろうな…」

 この結界を解除する為には、彼に聞くしかない。一方の彼はバン!バン!と手に持っている小さな大砲?を使いながら、盗賊の刃が届かないギリギリのところから確実に倒していく。対する盗賊側の弓兵が仕留めようとするが、その前に確実に仕留められてしまった。もう盗賊側はあと数名しかない…。

「ボス!このガキ強すぎでっせ!?」
「うぐぐ…ふざけるな!このブーダ様を嘗めるな!!」

 ここで巨漢のリーダ男が仕掛ける。手に持っている大きな棘付きの棍棒を持ちながら、少年を威嚇していた。が、対する少年はそんな脅しなんて通用しないと言わんばかりの涼しい顔をしている。

「ちょっと骨が折れそうだな…」
「折るどころか粉々にしてやんよォ!!」
「という訳で、相棒よろしく♪」
「「へっ…??」」

ドォォォ―――ン!!「「ぐへっぇえええ!?!?」」

 次の瞬間、巨漢と手下の男の上から巨狼が落ちてきたのである!しかもただの狼ではなく、毛色が桃色っぽく翼が生えていた狼竜だった。間違いない、この狼は…!

「な、兄貴コイツは!?」
「な、なななんで"赤い彗星"がこんなとこに居やがるんだ!?」
「なんでって、俺のペットなんだから当然だろうが?」

 この少年は何と言った?巷では有名な森の神獣が…ペット???

「へぇ、お前そんな異名をいつの間に取っていたのか?」
『いえ、人間達が勝手につけただけです。そんな異名に覚えはありませんよ?』

 それにしても、少年と仲良く話し合っているように見える。

「さてどうするんだ?このまま踏みつぶされるよ?」

 巨漢のブータは何とか脱出を試みるも、狼竜の大きすぎる体格から予想以上の体重に抜け出せずにいた。このままでは押しつぶされるが……

「…イナヅマ、放してやれ」
『よろしいのですか?』
「見ている奴もいるんだ。このまま皆殺しをしてしまったら、こちらの立場も危うい」
「(ギロッ!!)」
「ヒィィィィィーーーーー!!!」

 少年が語り掛けると、狼はその強靭な前足を退けた。そして、盗賊たちに一睨みを効かせる。それを見た盗賊たちは残った仲間たちと共に、悲鳴を上げながら一目散に退散していった。残った私たちは、その光景にぽかーんとしてしまう…。そして、私達を助けてくれた少年は髪を掻きむしりながらこう言った。

「さて、この人たちにどう説明しようかな…」
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