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序章
7. 対人戦という紛失フラグー②
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「ヒャッハー!そこのお前ら、後ろの荷物置いてけやぁ!」
「身ぐるみ全部ひっぺがしゃ命だけは助けてやらんでもねぇぜ?」
ログハウス近くの林道で、いつの間にやらトラブルが発生した。
てっきり街同士を繋ぐ馬車かと思ったが違う。一方が何かを運んでいる大型の馬車、それを反対側から盗賊集団が狙おうとしていた。現在その光景を隠れて見ている俺達。
当然、護衛をしている兵士が前に出て剣を構える。
「お前たちにやる品などない!そこをどけ!」
隊長さんらしき人が盗賊たちに威嚇する。しかし、それで怯む盗賊集団ではない。
「兄貴、こいつらエバーライフ商会の奴らじゃねーですか?」
「ほぉ?あの有名な…そりゃさぞかし良い品運んでそうだな?」
盗賊集団のリーダーらしき人物が前へ出た。隣にいる小柄な男と何やらコソコソ話しているようだが…それにしても、絵にかいたようなデブである。
「渡すつもりはないと言っているだろ!」
「そんな脅し通じるかよ!しかも、その馬車は貴族が良く使うやつだ。さぞかし大切な奴ら乗せてんだろ?」
「!!」
どうやら盗賊の中に、感知スキルを持っている奴がいるようだ。
そいつの情報を喋った途端兵士たちは顔色を変え、その反応を待ってましたと言わんばかりニヤッと笑う盗賊たち。
「お前ら!やっちまえ!!」
「「「うぉおおおおーーーーー!!!」」」
「迎え撃つぞ!」
盗賊団のボスの合図により、一斉に荷台を襲う。対する護衛の騎士達も全員が剣を抜き、迎え撃つ。うわぁすげえ迫力、一瞬時代劇と勘違いしてしまう程だ。しかし、数では盗賊の方に分があった。タイマン戦に持ち込めば、参戦していない盗賊の奴らは荷台を狙う。
「しまった!」
「ひゃはは!がら空きだぜ!」
騎士の一人がそう言うが……盗賊が馬車のドアに手をかけた、次の瞬間―――
ドォン!!
「ぐへぇ…!?」
盗賊がドアを上げた瞬間、ふっとんだのだ。
何故なら、中から火魔術の"ファイアーボール"を食らったのだから。
「アルリス、私が出よう!援護を頼む!」
「アルナ、私から離れないで!」
「は、はいお母様!」
馬車の中からこれはたまらないと悟ったのか、剣を持つ髭の男性、魔術杖を持つ高貴な女性、その隣で怯えている自分とそこまで変わらない少女が現れた。あの家族連れ……何処かで見たような…。
「旦那様!危ないですので下がってください!」
「何を言うか!部下が苦戦しているというのに、私も助太刀する!」
兵士たちの雇い主だろうか、髭の男性まで参戦してきた。うん、あーいう人は好感が持てるかも。それに腕も中々で、魔術を扱う女性の援護を受けて戦況は拮抗状態へと戻る。
「おい、あのガキを連れ去れ」
「へいボス!」
盗賊たちはいずれ不利になると思ったのか、女性に付いている女の子を狙い始めるように見えた。どうやら魔術を使用するには詠唱が必要なようだが…
「このッ!」
「"ファイアーボール"!」
「今だ!」
「キャッ!?」
「アルナッ!」
案の定女性が攻撃している間に、後ろから忍び寄ってきていた盗賊の仲間に一瞬のうちで少女が攫われた。不味い、このままだと人質にされてしまう!
「アルナッ!」
「おっと行かせねぇよ、お前ら全員武器を下ろせ!コイツがどうなってもいいのか!?」
「お嬢様!くっ…!」
少女に剣を突き付けられ、兵士たちは身動きが取れなくなってしまう。
仕方ない…!俺は銃を構える。
「(早くしないと…ここから狙えるか?でも…)」
狙いは少女を腕に捕えている男。確実に助けるには、一発で仕留めなければならない。
今回の相手はいつものモンスターじゃない、"人間"だ。前世"赤羽海斗"は当然殺人なんてやったことがない。銃を構えるが、引き金を引きあぐねいていた。だが、このままでは…
「へへ、大人しくしとけよ!コイツがいないと大したことないんだな!」
ブチッ…!と俺の中で何かが切れていた。
ピュンッ!
「えっ…?」
次の瞬間、男の頭から血が流れ倒れていた。優勢だと笑っていた盗賊たちも、悔しがっている兵士たちも呆気にとられている。その隙に、草むらの中をなるべく音を立てずに高速で移動する。そして、次の目標の頭に狙いを定めて引き金を引く。
ピュンピュンピュン!!
「おい!どこから狙われているんだ!?」
次々と仲間たちがやられていく盗賊のボスは、見えない攻撃にビクビクして怯えていた。対する兵士達も、音もなく人間達がやられる様を見てどうすればいいのかと慌てていた。動けば何処からか狙われると思っているのか?それは解放された少女も同じだ。目の前で信じられないものを見ているように唖然としている。
「…ッ!そこだ!」
ここで次に狙う盗賊の弓兵が、こちらの発している赤外線に気づいて一矢報いる為に弓矢を放つ。
「やべぇ!」
やむを得ず、俺は草むらの中から飛び出る。
「なんだ!?ガキじゃねーかコイツ!!」
盗賊のリーダーがこちらを見て驚いているが、俺は気にせず手薄になった未だに唖然としている少女に近づいた。少女の周りにいる男たちから倒したので、すぐにでもこちらに攻撃するかと思ったが…盗賊たちは突然現れた武器を持った少年に驚くばかりであった。
「大丈夫か?」
「……!」
俺は座っている少女に声をかけるが、何も喋らなくなっている。確か、アルナと呼ばれてたっけ?このままだと再び狙われる。彼女に手を翳し、周りを即席の結界魔術に閉じ込めた。
「そこから出ないで、出なければ安全だから」
よし、これで少女の安全は確保された。次に俺は正面に手を翳す。すると、俺が倒した死体から少量のレインボーオーブが飛び出し、回収する。その様子に、その場にいる全員が眼が飛び出るくらいに驚愕した。
「あの少年は、一体…?」
貴族の男が、そう呟く…。
「…さて、次は誰があの世に行きたい?」
異空間魔術から取り出した<煉獄紅刀>を片手に、盗賊団たちに向けて俺はそう言い放った。
「身ぐるみ全部ひっぺがしゃ命だけは助けてやらんでもねぇぜ?」
ログハウス近くの林道で、いつの間にやらトラブルが発生した。
てっきり街同士を繋ぐ馬車かと思ったが違う。一方が何かを運んでいる大型の馬車、それを反対側から盗賊集団が狙おうとしていた。現在その光景を隠れて見ている俺達。
当然、護衛をしている兵士が前に出て剣を構える。
「お前たちにやる品などない!そこをどけ!」
隊長さんらしき人が盗賊たちに威嚇する。しかし、それで怯む盗賊集団ではない。
「兄貴、こいつらエバーライフ商会の奴らじゃねーですか?」
「ほぉ?あの有名な…そりゃさぞかし良い品運んでそうだな?」
盗賊集団のリーダーらしき人物が前へ出た。隣にいる小柄な男と何やらコソコソ話しているようだが…それにしても、絵にかいたようなデブである。
「渡すつもりはないと言っているだろ!」
「そんな脅し通じるかよ!しかも、その馬車は貴族が良く使うやつだ。さぞかし大切な奴ら乗せてんだろ?」
「!!」
どうやら盗賊の中に、感知スキルを持っている奴がいるようだ。
そいつの情報を喋った途端兵士たちは顔色を変え、その反応を待ってましたと言わんばかりニヤッと笑う盗賊たち。
「お前ら!やっちまえ!!」
「「「うぉおおおおーーーーー!!!」」」
「迎え撃つぞ!」
盗賊団のボスの合図により、一斉に荷台を襲う。対する護衛の騎士達も全員が剣を抜き、迎え撃つ。うわぁすげえ迫力、一瞬時代劇と勘違いしてしまう程だ。しかし、数では盗賊の方に分があった。タイマン戦に持ち込めば、参戦していない盗賊の奴らは荷台を狙う。
「しまった!」
「ひゃはは!がら空きだぜ!」
騎士の一人がそう言うが……盗賊が馬車のドアに手をかけた、次の瞬間―――
ドォン!!
「ぐへぇ…!?」
盗賊がドアを上げた瞬間、ふっとんだのだ。
何故なら、中から火魔術の"ファイアーボール"を食らったのだから。
「アルリス、私が出よう!援護を頼む!」
「アルナ、私から離れないで!」
「は、はいお母様!」
馬車の中からこれはたまらないと悟ったのか、剣を持つ髭の男性、魔術杖を持つ高貴な女性、その隣で怯えている自分とそこまで変わらない少女が現れた。あの家族連れ……何処かで見たような…。
「旦那様!危ないですので下がってください!」
「何を言うか!部下が苦戦しているというのに、私も助太刀する!」
兵士たちの雇い主だろうか、髭の男性まで参戦してきた。うん、あーいう人は好感が持てるかも。それに腕も中々で、魔術を扱う女性の援護を受けて戦況は拮抗状態へと戻る。
「おい、あのガキを連れ去れ」
「へいボス!」
盗賊たちはいずれ不利になると思ったのか、女性に付いている女の子を狙い始めるように見えた。どうやら魔術を使用するには詠唱が必要なようだが…
「このッ!」
「"ファイアーボール"!」
「今だ!」
「キャッ!?」
「アルナッ!」
案の定女性が攻撃している間に、後ろから忍び寄ってきていた盗賊の仲間に一瞬のうちで少女が攫われた。不味い、このままだと人質にされてしまう!
「アルナッ!」
「おっと行かせねぇよ、お前ら全員武器を下ろせ!コイツがどうなってもいいのか!?」
「お嬢様!くっ…!」
少女に剣を突き付けられ、兵士たちは身動きが取れなくなってしまう。
仕方ない…!俺は銃を構える。
「(早くしないと…ここから狙えるか?でも…)」
狙いは少女を腕に捕えている男。確実に助けるには、一発で仕留めなければならない。
今回の相手はいつものモンスターじゃない、"人間"だ。前世"赤羽海斗"は当然殺人なんてやったことがない。銃を構えるが、引き金を引きあぐねいていた。だが、このままでは…
「へへ、大人しくしとけよ!コイツがいないと大したことないんだな!」
ブチッ…!と俺の中で何かが切れていた。
ピュンッ!
「えっ…?」
次の瞬間、男の頭から血が流れ倒れていた。優勢だと笑っていた盗賊たちも、悔しがっている兵士たちも呆気にとられている。その隙に、草むらの中をなるべく音を立てずに高速で移動する。そして、次の目標の頭に狙いを定めて引き金を引く。
ピュンピュンピュン!!
「おい!どこから狙われているんだ!?」
次々と仲間たちがやられていく盗賊のボスは、見えない攻撃にビクビクして怯えていた。対する兵士達も、音もなく人間達がやられる様を見てどうすればいいのかと慌てていた。動けば何処からか狙われると思っているのか?それは解放された少女も同じだ。目の前で信じられないものを見ているように唖然としている。
「…ッ!そこだ!」
ここで次に狙う盗賊の弓兵が、こちらの発している赤外線に気づいて一矢報いる為に弓矢を放つ。
「やべぇ!」
やむを得ず、俺は草むらの中から飛び出る。
「なんだ!?ガキじゃねーかコイツ!!」
盗賊のリーダーがこちらを見て驚いているが、俺は気にせず手薄になった未だに唖然としている少女に近づいた。少女の周りにいる男たちから倒したので、すぐにでもこちらに攻撃するかと思ったが…盗賊たちは突然現れた武器を持った少年に驚くばかりであった。
「大丈夫か?」
「……!」
俺は座っている少女に声をかけるが、何も喋らなくなっている。確か、アルナと呼ばれてたっけ?このままだと再び狙われる。彼女に手を翳し、周りを即席の結界魔術に閉じ込めた。
「そこから出ないで、出なければ安全だから」
よし、これで少女の安全は確保された。次に俺は正面に手を翳す。すると、俺が倒した死体から少量のレインボーオーブが飛び出し、回収する。その様子に、その場にいる全員が眼が飛び出るくらいに驚愕した。
「あの少年は、一体…?」
貴族の男が、そう呟く…。
「…さて、次は誰があの世に行きたい?」
異空間魔術から取り出した<煉獄紅刀>を片手に、盗賊団たちに向けて俺はそう言い放った。
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