超レア消費アイテム生産者の異世界つえー物語~今ならもれなく全紛失したら死ぬ特典付きです~

安居 飽人

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序章

11. バレるフラグは続くよいつまでも

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「…先程の戦闘で、どうして盗賊集団から"レインボーオーブ"がドロップしたのかな?」

 ノーマンさんのこの一言で、先程の空気からまた一転氷点下まで下がったように感じた。やっぱり、このオーブの価値はこの人たちも知っているようだ。

「知っているんですか?この宝石の価値を…盗賊もこれを見た瞬間、一斉に俺を狙い始めましたよね?」

「うむ。これはレインボーオーブという。この世で現存するオーブの中でも最高峰の代物…万物を生み出す石、とも言われている非常に高価すぎる物だ」

「私も敵からドロップするのは人生で初めて見たかもしれないわ。でもね…それは、レベルの高い…例えるならそう…魔王やら神やら、そんな人の手に余りすぎている強者でしか手に入らないというの。あくまでこれは伝承に過ぎないけど…」

 やっぱり、"アウェイクスピリットオンライン"と同じ常識だ。
 "レインボーオーブ"は高レベルのモンスターが低確率でドロップする、非常に高価なアイテムであることは間違いない。それが、が倒れた時にドロップしたのだ。普通ならば絶対にありえない現象だ。尤も、あの盗賊が神に近い存在ならば話は別だが、誰がどう見たってそうは思えない。

「…そうだったんですね、そこまで凄いものだとは知らなかったです」

 破滅回避策その3、秘密は極力秘密にする。
 この人たちは俺が常にレインボーオーブを補給しなければ死んでしまう事と、どんなモンスター・敵からでもドロップすることが出来る事実を知らない。出来れば拡散は極力防ぎたいところだ。邪な奴らにこの特性がバレれば悪用されかねないし…。
 
「まあ君も知らなかったようだし、この事は保留にしておこう」
「そうね…こんな事実が世に出回ったら大事件どころじゃないわ。大丈夫、安心して。こう見えても私たち、魔術師に関する者達は神秘については慎重に取り扱う決まり鉄則があるの。と言っても、信じてくれるのはオルタ君次第だけど」
「い、いえ、そこまで話してくれるなら信じるも何も…」

 エバーライフ夫妻は、こちらの演技を見て本当に知らないと思っているようだ。それにこの事実を前向きに検討してくれるのであれば、こちらとしては非常に助かる。さて、質問はこれで終わりか?

「旦那様、俺からもこの子についてちょっと質問してもいいでしょうか?」
「ブログか、失礼な質問以外なら構わないだろう」

 ここで、兵士長のブログさんが名乗り出た。一体何の質問だ?

「質問っていうよりちょいとしたお願いなんだが…オルタ君、さっき盗賊で撃退した時に使った小さな砲を見せてくれないか?俺としては技術に凄い興味があるんだが」

 成程、俺の使っていた武器に興味を持ったか。
 そういえば銃を使った時、周りには珍しい目で見られていたな。大砲があるのはファンタジー世界としては当然だが、小型化とかはやっていないのだろうか?"アウェイクスピリットオンライン"は初期に近い段階からあったけど、この世界では普及されてないのか?

「えぇ、大丈夫ですよ。魔力を使ったものなんで、暴発はしないと思います」

 そう言って、俺は《ライジング・ノワール》をブログさんへ手渡す。流石にこの世界では既存の技術で再現するのは難しいか?

「ふごぉ!?!?」

 次の瞬間、ブログさんが銃を渡された時に彼がまるで重い物を持っているような仕草をしたのだ。
 
「ブログさん!?」
「な、何なんだこれ!どんだけ重いんだよ!?」

 因みに銃には何も細工はしていない。嘘だと思った兵士達は続け様に持ってみたら皆同じ反応になってしまった。全員がこう思っただろう。こんな物を軽々と扱う彼は一体…?と。




「はぁ…今日は初めて街に行った以上に疲れたぜ」

 その日の夕方…。
 会議は一旦お開きになり、続きは夕食を食べながらする事なったので、俺は気分晴らしにイナヅマと一緒に外へ出ていた。因みに夕食の支度は全てメイドさん達がやってくれるので、夕食自体を作らないのは久々な気がする。

「はわわわ…」

 そして、少し離れたところにアルナちゃんがいる。大方予想はついてるが、彼女はイナヅマに興味津々だった。しかし子供より何倍も大きく、オマケに肉食獣である狼系なので怖がって近づけなかった。近くにいた兵士達はお嬢様が襲われるのではと気が気でなく、いつでも抜刀できるよう震えている。

「アルナさん。コイツは俺の使い魔だから、度が過ぎた事でもしない限りは襲って来ないから大丈夫だよ」
「はわわわ……」

 俺はそう言って安心させるが、子供の恐怖心は簡単に拭えない。中身が大人である自分と違って、アルナちゃんは純粋な子供だ。仕方ない、ここは荒療治で慣れてもらうとしますか。

「大丈夫だって、ほら触ってみる?」
「えぇーー!?いやいやいや無理です!私なんかが触れるなんて!!」

 俺はぐいぐいと片手で彼女の背中を押し、もう一方の手でイナヅマを呼ぶ。全体重を使って離れようとするアルナちゃんだったが、イナヅマの方からノシノシと歩いて来て、気づけば目の鼻の先にいた。
 俺は彼女の手を握って、涙目になりながら震えてる彼女を他所に一番近い鼻の先に触れるよう誘導する。ピタッと鼻先に触れ、微かな鼻息が彼女の手に伝わる。俺が「ほらな?」と危険がない事を伝えると、鼻の周りを撫でる様に自分から触れていった。

「驚きました。オルタ様はこんなに大きな狼をテイムする事が出来たんですね…」
「あぁ。イナヅマとはここで出会ったんだけど、こいつがまた癖のある奴でさ」
主人マスターほど癖のある奴ではないと思うぞ》

 イナヅマがテレパシーを響かせると、アルナは驚いたような顔になって、周囲を見回した。

「オルタ様、聞こえましたか?」
「何が?」
「今、女の人の声がしたんです。オルタ様は聞こえませんでしたか?」

 どうやら、イナヅマのテレパシーはアルナにも送られていたようだ。あまり他人に話しかけると、混乱させて騒ぎを起こすかもしれないから、話しかけるのはやめろと言っているのに…まさか驚かせているのか?

「そのテレパシーの正体なら、すぐそこにいるよ」
「え、どこですか?」
「こいつだよ。君が聞いていた女の人の声っていうのは、イナヅマのテレパシーなんだ」

 俺達の目の前にいる狼竜に指を向けると、アルナは「え?」と言ってイナヅマを見つめた後に、大きな声を出して驚いた。

「えぇぇ――!!? 狼の声!? この子、喋れるんですかぁ!!?」
「え?喋るんじゃないの?」
「喋りませんよ! ビーストテイマーの使い魔が喋ったなんて言いだした人はオルタ様を除いて一人もいませんでしたよ! 一体、どうやって喋ってるんですか、そもそもなんで使い魔が喋れるんですか!?」
《おい、少し慌て過ぎではないか、アルナよ》
「うわ、また喋ってきたぁ!!」

 慌てふためくアルナに思わず苦笑いしてしまう。

「お、落ち着いてくれアルナさん。やっぱり、使い魔が喋るなんて事はないんだな?」

 俺の声にアルナちゃんは若干落ち着きを取り戻し、先程よりも小さな声で言った。

「使い魔は喋りません。喋らないはずなんですが、イナヅマ様は喋ってます。成る程、流石は神獣様なんですね!」

 アルナはイナヅマのような使い魔は見た事が無いらしい。確かに考えてみれば、モンスターが心を持っているかのように喋り出すなんてありえない話だけど…実際こうして喋って、思いを伝える事が出来ている。
 それから彼女が発した大きい声で騒ぎと思い込んだ夫妻に謝罪したのは言うまでもなかった。

 
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